スーパーマーケットの野菜売り場を120%楽しむ!4つの秘訣―アグリビジネス論Vol.2

スーパーマーケットの野菜売り場を120%楽しむ!4つの秘訣―アグリビジネス論Vol.2
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2019.12.11

食卓の野菜が一番多く買われているのはどこでしょうか?データから見ても、やはり「スーパーマーケット」です。では、スーパーマーケットの野菜売り場はどんな使い方をするとより楽しいのでしょうか?見るポイントも解説します。

目次

買い物の傾向

こんにちは。大学でフードツーリズム、フードビジネス論の講義もしているフードマーケティングコンサルタントの片桐です。今日は、野菜を買う場所として大切なスーパーマーケットの話をさせていただきます。

皆さんは、どこで食べ物を買い物されていますか?
食料品の購入先の変化は総務省が統計を取っていますが、その数値で見ると、多くの世帯はスーパーマーケットを使っていることが分かります。近年は通信販売での購入も増えていますが、送料等お金の負担がネックなのでしょうか、まだ主流にはなっていないようです(次の2つの図を参照)。

食料品の購入先の変化 単位%(出典:総務省 全国消費実態調査
※1994年、99年は、二人以上世帯と単身世帯の購入先別支出および集計世帯数から、著者が再計算した数値

生鮮・加工成果物の購入先別消費支出比率 単位%
(出典:総務省 平成26年全国消費実態調査

これからも私たちの食卓で重要な位置を占めるであろうスーパーマーケット。その野菜売り場をどう使うことがいいのか。これまでのスーパーマーケットの野菜売り場の構成と、消費者の食生活の変化から説明していきます。

スーパーで販売されている野菜の種類

スーパーマーケットで販売されている野菜の種類はどのくらいなのでしょうか?お店の規模にもより、そのお店の特徴が大きく表れるため、一概に言えないところはありますが、50種類程度だと思われます。もちろん、トマトでも産地によって品ぞろえがあったり、ハーブ類などが細かく品ぞろえがある所、タケノコの水煮などの加工品で通年販売されているものなども含めると、100種類を超えることも多くあるかと思います。ジャガイモでも、男爵ジャガイモやキタアカリメークインなどの種類は料理によっても使い分けができます。一つの種類(ナスなど)でも、多くの種類があると料理によって使い分けができますし、旬の時期に、いかに多くの品種をそろえてくれているかどうかが、野菜売り場の一つのチェックポイントかもしれません。

では、どのくらいの野菜の種類があるといいのでしょうか?
料理に使うとなると、葉物野菜、根菜、トマトなどの果菜類がバランスよくある方がいいかと思います。しかし、スーパーマーケットからすると、「その季節に美味しい野菜の品ぞろえ」のバランスとは違い、毎日の料理のために品ぞろえのバランスを保つ「全体的な品ぞろえ」をするのは、非常に難しい事なのです。夏場でも白菜やホウレンソウなど、本来は冬場に出荷がピークの野菜を育ててくれている農家さんはいますが、その分当然値段は高くなります。しかし、売り場に日常の食卓で使う野菜が全くないわけにはいかない、ということで野菜売り場では日々の品数が変わります。一日に多くのお客様が訪れるスーパーマーケットならではの課題と言えます。

もちろん、旬の時期でない野菜を入手するのは困難ですし、値段も高くなりがちです。ましてや、仕入れたその野菜の品質が保持される期間中に売り切れるとも限りません。スーパーマーケットの野菜売り場は、日々品ぞろえの充実と、品質管理に追われているのです。

野菜売り場で見るポイント

前述のように、スーパーマーケットに並んでいる野菜は、その季節に応じて種類やボリュームが変化していますが、その細かな割合などは現場の担当者やその店、バイヤーの考え方によって大きく変わっていきます。旬の野菜がたくさん、多くの種類が並んでいるスーパーマーケットもあれば、旬の野菜をそろえつつも、なるべく多くの野菜をそろえようとしている売り場、季節感よりも利便性を重視し、カット野菜などの「手間のかからない」野菜を多くそろえる野菜売り場など、それぞれで特徴を出す傾向が強くなっているように思われます。

 買う側としては、その特徴をいかにつかんで、自分の食事の、料理のスタイルに合わせていけるかが大切でしょう。チラシなどで値段が安いものが多い野菜売り場が良いとはいえません。

現場をよく知るスーパーマーケットの品ぞろえや接客をしている方にヒアリングしました。お客様の多くは、一つのスーパーマーケットだけを使うわけではなく、2つないし3つのスーパーマーケットを使い分けているのだそうです。その使い分ける理由として、セールの内容や値段という方も多いと思います。 ただ、値段だけで使い分けるのは、加工食品(お菓子や冷凍食品、保存食品など)ならまだしも、生鮮食品についてはあまり大きな意味をなさないのではないかと思います。なぜなら、野菜の価格は日々変動し、そのチラシの日に値段が「ちょうど」お買い得となるということはあまりないのです。 つまり、この日に野菜が安くなるからではなく「この日にこの野菜を安くチラシで発信することで多くのお客様に来てもらおう」というプロモーションの目的である場合が多いです。そのため、その安くした分、生産者にしわ寄せが来たり、そのスーパーマーケットの他の野菜にしわ寄せが来たりします。

野菜売り場で見るポイントは、「常に鮮度の良い野菜が並んでいる」ということに尽きると思います。しかし、その流れを作ることは非常に大変です。お客様に来ていただこうと、多くの野菜をお買い得価格で並べても、その日に激しい雨が降ればお客様の来店の数が減り、その分仕入れた野菜がだぶつき、その野菜の価値が日々下がってしまいます。

スーパーマーケットの野菜売り場は日々そういった「想定外」をいかに防ぐか、もしくは「想定外」をいかにカバーするかという戦いでもあります。もしたくさん仕入れた野菜が売切れたらいいのですが、残ってしまった場合、何とかしてでも売り切る必要があります。そのためには、値段を下げる、カットして手ごろなサイズで売るなどの方法があります。ただ、その売り切るまでの期間「新鮮な野菜」を仕入れることはどうしても少なくなってしまいます。「買う側」は、いかに見極め、時にはそういった野菜も理解して買ってみたりすることも必要だと思います。

具体的に野菜を見るポイントは、葉物野菜なら葉がしおれていないか、レタスやキャベツなら切り口が茶色く変色していないか、野菜全体に言えることはみずみずしさがあるか、持った時に重量感を感じるか(他の野菜と比べた時に同じ大きさでも重さを感じるか)などの選別ポイントがあります。一方で、そのスーパーマーケットが常に新鮮、かつ良い産地の野菜を仕入れているかということもあわせて大きなポイントとなります。では、それをどこで見極めればいいのでしょうか。

日々野菜売り場を訪れる際に、どれだけの種類があるかを調べてみることで分かります。種類が多ければ多いほど野菜の管理が大変なので、多くの人手が必要です。そうでないと、鮮度が落ちてしまった野菜などの見極めができなくなってしまいます。売り場では頻繁に誰かが品出し(野菜を並べていること)をして、回転を良くするためには、スタッフが野菜を見ているシーンも多くなります。売り場に多くのスタッフがいて、常に野菜を並べてくれていることは、そのお店の野菜がよく売れていることを表しています。

最近の売り場の工夫や仕組み

さて、そんな野菜売り場では、お客様のニーズに合わせていろいろな変化が起きています。


(1)品揃えの変化、(2)カット野菜や少量野菜の増加 です。

「品揃えの変化」とは、言葉の通り、並んでいる野菜の種類が変わってきているということです。前回の「この20年、どんな野菜の流通が増えているのか」記事でもお話しした「西洋野菜」はもちろん、豆苗などの「スプラウト」の品ぞろえも増えてきました。しかしその分、大きくて重量のある野菜の品ぞろえは少しずつ減っている傾向にあります。スーパーマーケットの現場担当者の話では、すいか、かぼちゃなどの大きな野菜や、調理に手間や時間のかかるさつまいもや里芋などは、陳列する量や種類が段々減っているそうです。さつまいもはてんぷらなどでも美味しいですが、最近は、自宅で揚げ物をすることが減っていることも少なからず影響しているようです。

「カット野菜」について、その種類は日を追うごとに増えています。サラダ用の野菜からキャベツの千切り、玉ねぎの乱切り、皮をむいた里芋、堅くて切るのが難しいかぼちゃのスライスなど。袋から出してそのまま特定の料理に使えるようなセット(八宝菜や焼きそばなど)もどんどん増えています。そして「少量野菜」については、葉物野菜でその傾向が見て取れます。保存がしずらいため、1回で使いきれる量を販売している店舗が増えています。例えば、白菜では1/4のさらに半分、8/1のサイズを見ることも多くなりました。

こうした種類が増えた理由は、もちろん高齢化や核家族化などが影響しています。家族の構成人数が減れば使う野菜の量は減ります。高齢化が進むと食欲が細くなるため、一度に多くの買い物が難しくなります。また、共働きなどもあり、料理をする時間も減っています。そういった家族構成やライフスタイルの変化も影響して、手間のかからないカット野菜や半調理品、自分の欲しい量だけ変える少量野菜などの購買が増えているのです。

もちろん、料理好きで野菜は丸のまま買いたい人も多くいらっしゃると思います。しかし余った野菜の対応は大変です。スーパーマーケットでも、野菜に対して相談を受け付けるコンシェルジュのような人を配置したり、保存方法を包装紙やPOPで説明するなどして理解促進を試みています。お店によっては「ご当地野菜農家直売コーナー」「有機野菜コーナー」などの特別なコーナーやイベントをしつらえて、鮮度をアピールしたり、品ぞろえの充実や人のライフスタイルに合わせた売り場にしようと努力している姿がうかがえます。

どんな野菜売り場が良い野菜売り場かという問いに対して答えるとすれば、「野菜についての説明が充実しているところ」だと言います。それは人でもPOPでも良いと思います。

前述の少量野菜などは、産地ではなく、野菜売り場のバックヤードでカットしている場合が多く、その分どうしても人手が取られます。野菜売り場にスタッフがいないからその売り場が良くないということではなく、お客様の買いたい量に合わせて適宜調整しているため、という場合もあります。美味しい野菜を食べてもらいたいと思っているのはどこの野菜売り場も同じで、そのためのひと手間や工夫をしているお店はよい野菜売り場として評価してよいと思います。

最後になりますが、スーパーマーケットの野菜売り場も、それぞれで違いがあります。

同じ会社のスーパーマーケットの野菜売り場でも、担当者が違うと品ぞろえや売れ行きが大きく違うこともあります。自分自身の料理スタイル、家族の好きな料理、料理にかけられる時間を考慮して、それぞれの時にちょうどいい野菜をそろえているスーパーマーケットの野菜売り場を2つ3つ使い分けるほうが、美味しい野菜を効率よく買い求めることができると思います。

今回の記事の参考文献:食品の消費と流通(建帛社 公益社団法人日本フードスペシャリスト協会編)

Rakuten Ragri(ラグリ)でも、新鮮で多くの種類野菜を取りそろえています。ラグリの野菜も楽しんでみてはいかがでしょう。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :知恵袋

ライター情報

  • Noumusubi
  • 片桐新之介

    フードビジネスコンサルタント。京都文教短期大学と吉備国際大学でフードツーリズム、フードビジネス論の講義もしています。得意分野はお酒と魚。百貨店食品部での経験を活かし、様々な面で農家や水産業者を支援。6次産業化プランナー、兵庫県マーケティングアドバイザー。まちづくりのコンサルも行っています。