中学2年生の虫博士Daiyaがはちみつ王子を取材!ミツバチはなぜ蜜を集めるの?味の違いも解説
中学2年生の虫博士Daiyaによる「ミツバチ調査」。第二弾は、千葉県のはちみつ王子へ取材に行ってきました。ミツバチはなぜ蜜を集めるのか?養蜂家の苦労話や、はちみつの味くらべも交えてご紹介します。
はちみつ王子を訪問!女王バチと対面!
僕は将来の夢のひとつに養蜂家というのがあって、ミツバチの調査を続ける中で、もっと養蜂の現場のことを知りたくなりました。
そこでYouTubeでミツバチの飼育の方法や、ミツバチを使った企画を立てて、面白い実験と検証をする動画の配信をしている、はちみつ王子を見つけました。僕はさっそくアポをとり、千葉県君津市にある養蜂場の「はちみつ工房」へ取材に行ってきました!
はちみつ工房にいくと、さっそくミツバチの巣箱をみせてくれました。みなさんは女王バチをみたことがありますか?女王バチは自然界では滅多にいないそうで、この巣箱も6箱のうち1箱しか女王バチがいないそうです。さて、僕は女王バチに出会えるのでしょうか?
なんと偶然にも、6分の1の確率で引き当てて、ふだんは養蜂家でないとみられない女王バチを、目の前でみる機会に恵まれました。とてもうれしかったです!
女王バチの説明はミツバチ調査の第一弾をご覧ください
味くらべ!はちみつの種類と違い
世界には、1,000種類以上の豊富なはちみつが存在すると言われていいます。
今回は、日本で採取することができる代表的な3つの「はちみつの味くらべ」を体験しました。
――それぞれの「はちみつ」の特徴は?
①アカシア
高級かつクセのないスッキリした味わい。「はちみつの女王」と呼ばれています。
②百花
様々な花の蜜を集めたハチミツです。味わいに花の香り風味があり、一般的に親しまれています。
③そば
香りが独特で濃厚な味わいで、他のハチミツに比べ鉄分50倍!世界で最も栄養価が高いそうです。
僕は3種類の中で、独特な味がクセになる黒いはちみつ「③そば」が好きでした。それを言うと、はちみつ工房のスタッフの方から、めずらしい!と驚かれました。
なぜ、ミツバチは蜜を集めるの?
――ミツバチはなぜ蜜を集めるのですか?
ミツバチは女王バチや人間のためではなく、ミツバチ全体の保存食や子供の餌として、巣を存続させるのが目的で、蜜を集めています。
そして、人間はその恩恵を受けています。つまりミツバチの習性を利用するには人間の知恵と工夫が必要で、甘くて美味しいはちみつができる秘訣は、人間とミツバチの共同作業が肝となります。
――はつみつはどうやってできるのですか?
はちみつは、働きバチたちが色々な花の蜜を吸い、体内に溜めたものです。
それを巣に持ち帰って、密の貯蔵を担当するハチに口移しで受け渡し、巣の中の蜜を貯める部屋へ集められます。何度か部屋の移動を繰り返して、濃縮された状態になると長期保存用の場所に移されます。
その際に、蜂が分泌する酵素が混ざることで化学反応が起こり、とろみがかったはちみつに変化していきます。さらに蜜に含まれる水分が、羽をつかった扇風で除去されて糖度があがります。
――料理が美味しくなるはちみつの魔法は?
【1】お肉が柔らかくなる
→お肉料理にはちみつを加えると、加熱でたんぱく質が固まるのを防ぎます
【2】ご飯がふっくら炊ける
→ごはんにはちみつを入れると酵素の働きで甘味と旨味が増します (※米2合に小さじ1杯が目安)
【3】チーズのはちみつがけ
→チーズをのせたトーストやピザにはちみつをかけると、おやつにも、おつまみにもなります
ちなみに僕は、定番のホットケーキにバターとはちみつの組み合わせが好きです!
養蜂家の魅力や大変なことをインタビュー
――養蜂の魅力、そして大変なことは何ですか?
はちみつ王子の井嶋幸裕さん。「はちみつ工房」代表。IT系システム職から7年前に養蜂家に転身。
―井嶋さん
ミツバチは虫なので本能で動きます。だから機械的なところがあり、人間で操作できるところが多いのが魅力です。蜂を増やそうとしたら、システム化して育てる事ができるところが面白いですね。うまく行った時の喜びも、機械がうまくできたというのに似ているところがありますね。
大変なところは、「作業として」と「事業として」、大きく2つあります。
まず作業として大変なのは、屋内作業ではないので、夏は暑く、養蜂の服は全身を覆うので蒸れてしまい、熱中症になる危険もあります。また、蜂に刺されると、人によってはアレルギー反応がでる場合もあるので注意が必要です。僕も、最初は刺される度に、パンパンに顔が腫れ、腕が2倍ぐらいになり、腕が曲げられないくらいになってしまいました。
そして次に、事業として大変なのは、技術の習得としてハードルが高いことです。なぜなら、養蜂をやっている人は業界的にも少なく、教えてくれる人を探すのが大変なのです。
また商売で行うとすると、半径2キロ以内に他の養蜂家がいるとNGという決まりがあります。日本ではちみつが多くとれる地域では、なかなか場所がみつかりません。逆に、簡単にみつかる場所は、はちみつがあまりとれないかもしれません。
その「技術」と「場所」が、養蜂家のハードルとなる大変なところになります。
―氏家光さん
養蜂家の魅力は、自然豊かな街で育って、もともと動物が好きだったので、自然たっぷりの環境で仕事ができることですね。ただ蜂が好きか?と聞かれると、そこまで好きではないのですが、仕事をしていると蜂がかわいく思えてきます。
大変なのは夏の暑さと、ミツバチの箱の管理です。多い時は800箱近くを管理するので、それら全ての病気や、ダニやスズメ蜂などの害虫対応をしていくことが大変です。
―金子直哉さん
本音をいうと、蜂が好きという理由でこの仕事を始めたわけではありません。だけど生き物だから、人間がどれだけ手を加えるかによって、増え方が影響してきます。蜂を育てる上で大切な基礎がなければ、次には繋がりません。そういうところの面白さや楽しさが養蜂家の魅力かと思います。
養蜂で大変なことは、自然には抵抗できないことです。自然災害は、どうしても防ぎきれません。去年に起こった千葉の台風では、3分の1の箱がひっくり返ってしまいました。そして今年は全体的に蜂不足と、関東だけでなく日本全域で言われています。やっぱり自然には勝てない、それは一番大きいです。
――農業におけるミツバチの役割は、どんなもの?
―氏家さん
野菜やお花の受粉、例えば、イチゴ・メロン、スイカ、梨、ナスなど用途によって変わります。受粉の期間には、農家さんへミツバチを配送し、貸し出し(レンタル)をしています。
―井嶋さん
ポリネーター(交配者)としての役割が大きいです。交配(受粉)をするものとしてミツバチは優秀で、人の手では時間のかかる作業に大きく貢献します。農作物の成長に大切な存在です。
―金子さん
農業においてミツバチは、とても重要です。ミツバチの活躍場所として、たとえばイチゴ狩りで食べ放題ができるのは、ミツバチが働いてくれているからと言っても過言ではありません。
以上、僕が3名の話を聞かせていただいて驚いたのは、蜂は好きではないけど仕組みが好きという点でした。そして仕事に対する誇りと厳しさを通じて、ミツバチへの優しさが伝わってきました。本やインターネットでは知れないことがたくさんあったので、勇気をだして行ってみてよかったです。
ミツバチについて学ぶパリ
先日、養蜂家の船橋康貴さんのドキュメンタリー映画「みつばちと地球とわたし」を観ました。
はちみつの本場といわれるパリでは、学校の課外授業で希望した子供たちは、委員会の施設でミツバチについて学ぶことができるそうです。その目的は「自然に畏敬の念を持つこと」で、小さい頃に自然を敬う気持ちが育まれると、青少年の犯罪や非行を減らす事につながるという考え方とのことでした。
僕の希望としては、日本の学校でもそんなミツバチの学びを積極的にとり入れてほしいと思います。
編集後記
家庭菜園で育てた苺が実りました。 僕が手作業で受粉を行ったので大変でした!
- この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
- 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
- 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。