高校生の秘伝レシピ『米粉パン』のご紹介とおもしろ失敗談:よしこ先生の農業高校だよりVol.2

高校生の秘伝レシピ『米粉パン』のご紹介とおもしろ失敗談:よしこ先生の農業高校だよりVol.2
このエントリーをはてなブックマークに追加
2020.01.22

農業高校の現役教師がお届けするリアルな話。今回は群馬県立藤岡北高校の生徒の取り組むパン屋さん「藤北ベーカリー」の人気メニュー「米粉パン」のレシピ紹介と、生徒の生の声をお伝えしていきます!

目次

高校の授業でパン修業

こんにちは。群馬県立藤岡北高校でフードビジネスコースを担当している田中よしこと申します。
農業高校で食品を学ぶフードビジネスコースでは、授業の一環として「藤北ベーカリー」というパン屋さんを運営しています。生徒が、製造から販売、経営までを学ぶ研究活動です。

1年生は、年が明けた1月頃よりパン作りの修業がスタートします。まずはパン生地の成形練習です。
先生がこね上げたパン生地を、表面がつるっとなめらかで綺麗な丸にする練習をします。上手に丸めることができるようになったら、ロールやツイストの形を繰り返し練習します。

成形が上手になった頃、重要な2つの係を決めます。
1つめが『天板係』
成形チェックや発酵、焼成を行うため、天板を持って動く係です。
2つめは『生地係』
パン生地を一からこね上げる係です。

この2つの係を担当する生徒は、自分の手元だけではなく、的確に状況を判断する力と、全体を見て、きめ細かく動ける能力が必要です。その年の藤北ベーカリー全体の動きがスムーズにいくかどうかが、天板係と生地係の手腕に掛かっているといっても過言ではありません。

そして3カ月の修業を経て、2年生になった4月に初めて、自分たちで作ったパンを、藤北ベーカリーの商品として世の中に出すことになります。

2年生は、月に1度、藤岡市内の情報発信施設「会遊亭」と校内販売所において、パンの定期販売会を行っています。これは授業の中で作った米粉パンを、放課後に販売するという流れです。毎月、繰り返すことで、製造はもちろん、会計や接客の練習になっています。

3年生になると、外部に出て行うイベントも担当します。そこでは、パン以外にスイーツの販売にも力を入れています。
詳しくは、前回の記事をご覧ください。

藤北ベーカリー現役生徒の話

〈2019リーダー Rさん〉

――フードビジネスコースを選んだきっかけは?

私はとにかく接客と販売がしたかったんです!中学生の時、何かのイベントで先輩達を見かけたのですが、笑顔が良くて、とにかく楽しそうにやっている姿が印象的でした。私も自分で作ったものを売って、お客様に喜んでもらいたいな~なんて思いました。

――入ってみて実際どうでしたか?

楽しいですよ!楽しいけど・・・大変です(笑)。やることが多いし、放課後も毎日残らなくちゃいけないし、イベント前は、やること多すぎ!超忙しすぎ!ただ、作った商品が完売するとうれしいし、お客様においしいと言われるともっとうれしくて、最終的にはやっぱり楽しいかな。一生懸命がんばるから、達成感が半端ないです。

――いちばん印象的な授業は?

高校生販売甲子園※のために、3年生のみんなで学校に2泊3日したことです!夜中まで作り続けて、朝早く起きてまた作って…を二晩くり返して、三日目は寝不足で本当にやばかったな~。
でも、販売時間には人がいっぱい並んでくれてうれしかったし、何より2年生も含めてコース全員で協力した結果、優勝できて、感謝と感動で胸がいっぱいになりました!

※熱血!高校生販売甲子園・・・高校生が商品の売り上げや接客の技術を競う大会。令和元年は県内外から31校が参加。運営は高崎経済大学。

〈2019サブリーダー Fさん〉

――コースを選んだきっかけと実際入ってみての感想は?

将来は調理の道に進もうと決めていたので、調理の勉強ができるこのコースを選びました。入ってみたら、先生から聞いていた以上に忙しく、内容も難しく、やるべきことが多かったので大変でした。

――何か失敗談はありますか?

販売用のシフォンケーキを作っていた時、メレンゲを作るためにハンドミキサーを使っていたら、横から来た人がミキサーのコードにつまずいて、ボウルごとひっくり返しちゃったんです。卵20個分です。泣けました・・・。
他にも、バニラシフォンケーキなのにバニラオイルを入れ忘れたり、水分量を間違えてパッサパサのケーキになっちゃったりして、もちろん失敗作は売れないので、全部ロスになりました。でも、安心してください。みんなで食べました(笑)

――Fさんはパン生地係でしたよね?

はい。パン生地を担当していたんですけど、いつもと同じように作っても、生地の状態が気温や湿度などで変化するので、その調節が難しかったです。水温を変えてみたり、こねる時間を増減したり、色々工夫してみるんですけど、成形を担当するみんなに「固い」とか「柔らかい」とか色々言われ放題でした。生地は生ものだから、常に同じ状態を作り出すっていうのが難しいんです。でも、成形の進み具合を見極めながら、次の生地を作り始めるタイミングを判断できるようになると、先生やみんなから頼りにされるし、やりがいはありましたね。成長したな~とも思えました。面白かったです。

――フードビジネスコースを選んでよかったことは?

イベントなどでは計画をほぼ一から立てて、製造、販売までを一手に担うので、製造はもちろん企画、開発まで学べてよかったです。おススメします!!

みんな大好き♡米粉パンのレシピ

藤北ベーカリーの一番人気、米粉パンの秘伝レシピを特別に公開します。

<材料 約10個分>
・パン用米粉 250g
・無塩バター 37g
・砂糖 37g
・脱脂粉乳 5g
・食塩 5g
・ドライイースト 4g
・ぬるま湯 160~165ml

<作り方>
① ボウルにパン用米粉、砂糖、食塩、脱脂粉乳をふるって入れ、よく混ぜ合わせる。
② ぬるま湯で溶かしたイースト水を①に加え、指を立てながら水気がなくなるまで混ぜ合わせる。
③ 一塊になったら、台の上に移してこねる。
④ 表面がきれいになってまとまってきたら、グルテン膜をチェック※する。
⑤ 膜が張ったら、生地を平たくしてバターを中央に置き、四方の生地でバターを包み込むようにしてこねる。全体にバターがなじむように、ひきちぎりながらこねる。
⑥ 表面がきれいになり、まとまってきたらグルテン膜をチェックする。膜がしっかりと張っていたらこね上がり。
⑦ 生地を50gに分割、成形をして天板に並べ、生地の表面に霧吹きをして発酵させる。 発酵温度35~40℃、湿度75~80%、時間45~60分程度※
⑧ 1.5~2倍程度に膨らんだら、生地の表面に卵をハケでまんべんなく塗り、オーブンで190℃12分間焼く。

※グルテン膜のチェック方法・・・少量の生地を取り、薄く伸ばして膜の張り具合をみる。伸ばしたときに切れたり、荒い膜だったりする場合はこね方が足りない。
※自宅で行う場合は、生地を並べた天板をビニール袋の中やラップで包んで、温かいところで湿度をあげると発酵できます。

以上、みんな大好き米粉パンレシピのご紹介でした。

もし高校生の作る藤北ベーカリーのパンが食べたい!という方は、藤北ベーカリーのTwitter(https://twitter.com/fk_onishi)をチェックしてみてください。片手でぱくっと食べられる直径6cm程度のサイズで、5個入り100円です。売り切れごめん!!!

編集後記

農業高校は、全国47都道府県のすべてにありますので、これを機に、皆さんのお住いの近くにある農業高校に興味を持ってもらえると、とてもうれしく思います。よろしくお願いします。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :知恵袋

ライター情報

  • Noumusubi
  • 田中よしこ

    群馬県の高校教師。東京農業大学卒。OLなどを経て、現在は藤岡北高校勤務。生徒の「やりたい!」気持ちを引き出して、自ら挑戦する力を育てることを大事にしております。趣味はDIYと家庭菜園。ジュニア野菜ソムリエ、パンシェルジュ検定3級、大型特殊(農耕車)などの資格を持っています。