高校でパン屋さん!フードビジネスコースって楽しい:よしこ先生の農業高校だよりVol.1

高校でパン屋さん!フードビジネスコースって楽しい:よしこ先生の農業高校だよりVol.1
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2020.01.15

農業高校の現役教師がお届けするリアルな話。今回は群馬県立藤岡北高校のフードビジネスコースについて、生徒の取り組むパン屋さん「藤北ベーカリー」の活動をもとに、農業教育の楽しさをお伝えしていきます!

目次

一番人気!生物生産科フードビジネスコース

はじめまして。群馬県立藤岡北高校でフードビジネスコースを担当している教師の田中よしこと申します。

若さ溢れる高校生のより良き人生のために、そして、日本の農業を教育面から支える端くれとしての使命感を胸に、心血注いで教育に励んでおります。

私の担当するフードビジネスコースは食品について学べるコースです。食品のコースは、全国どこの農業高校でも人気が高く、新入生の希望も一番多いと思います。

フードビジネスコースは、野菜畑や果樹園で栽培管理を行い、作った野菜などを加工して商品を作り、販売もする、いわゆる6次産業を実践しているコースです。

フードビジネスコースの一番の特色は、やはり『販売』まですることです。

藤岡北高校では「藤北ベーカリー」という屋号で、生徒が作ったパンやお菓子の販売をしており、地域からイベント依頼が数多く舞い込みます。

最近では、藤岡市がその昔、麦の産地であったことから、群馬県産小麦粉を使った商品を作って藤岡市を盛り上げようと、商店街で組織された「藤岡麦府」という団体に参画し、様々なPR活動をしています。

学習が学校内で完結するのではなく、地域の大人たちの中に入って、大人顔負けのマーケティング戦略を行い、経営を意識した販売ノウハウを学べるのが、フードビジネスコースのおもしろいところだと思います。

〈フードビジネスコースの目標〉
安全な食材、良質な食品、豊かな食生活を提供するフードビジネスの諸活動に主体的に取り組む能力と態度を育てる

〈フードビジネスコースで学べる専門科目〉
農業と環境、課題研究、総合実習、農業情報処理、作物、野菜、農業経営、食品製造、微生物利用、食品流通、フードデザイン※、調理※
※家庭科科目

調理室とは違う食品加工室

みなさん、これはなんと呼ばれている教室でしょうか?
答えは、食品加工室です。家庭科の調理室(家庭科室)ではありません。

調理室は一つの調理台にコンロやオーブン、流しが付属しており、ほとんどがその調理台だけで実習が完結するという優れものです。最近ではテーブルコーディネートを調理室で学んだりします。

では、農業科専門の『食品加工室』という実習室はどんな教室でしょうか。

調理室と大きく違う点は、大量製造を想定して、作業台の周りに、大きなミキサーやオーブンなど大型の調理機器がいくつも入っています。いうなれば給食室のような感じです。

ここは製菓の販売許可を取った施設なので、ここで作ったものは外部へ販売することができます。そのため、調理室に比べて衛生管理が厳しくなっており、手洗いや消毒、清掃など衛生面を意識した施設管理が求められます。髪の毛一本、異物混入のないよう目を光らせ、緊張感を持って製造しなくてはなりません。

白衣に着替えて、帽子、マスクを装着し、手洗いを行ってからビニール手袋を装着、作業台の上をアルコール消毒して、ようやく授業が開始となります。

つまり、一般的な調理室と決定的に違うのは、食品加工室で作ったものは、その先に必ずお客様がいるという視点です。お客様の口に入るものだからこそ、最大限、安全面に配慮した材料を使い、衛生的な施設で製造された安全な商品でなければいけません。

パンやお菓子を販売!行列のできる藤北ベーカリー

「みんなに食べてもらわなくっちゃもったいない!実際に外に出て販売したい!」

藤北ベーカリーは、そんな生徒の声から生まれました。

保健所から販売許可をもらうため、施設を整え、生徒の意識を変え、2011年4月にスタートしました。まもなく9年経ちますが、今ではすっかり地域から愛される藤北ベーカリーに育ちました。地域の皆々様あってこそです。ありがとうございます。

藤北ベーカリーとは、フードビジネスコースの生徒が、製造から販売、経営までを学ぶ研究活動です。藤北ベーカリーの商品は全て歴代の生徒たちが考案、開発した商品であり、先輩から後輩へと受け継がれている秘伝レシピによる伝統の味となっています。

一番の人気商品は米粉を使ったパンで、丸パン、ロールパン、メロンパン、トマトツイストパンの4種類があります。また、その他にも季節によって変わる菓子パンを用意し、お客様が飽きることのないよう工夫しています。

パン以外にも、スイーツの商品開発や販売にも力を入れています。生徒たちが地域の方の声をきいて、群馬県や藤岡市のPRにも一役買っています。

これまで作った商品は、地元の世界遺産・高山社跡のPR商品「桑の実タルト」「桑の実ティラミス」、冬桜で有名な鬼石地域PR商品「桜花まんじゅう」「みかんパウンドケーキ」、群馬県産小麦を使った様々な種類の「シフォンケーキ」、綺麗な緑色の「桑の葉パスタ」など、すべてが自信作であり、現在の主力商品です。

長期保存の研究をしているチームは、詰め合わせのギフトボックスを開発し、味や包装など季節ごとに来場者の目を楽しませる工夫をしています。味も見た目もお菓子屋さんに負けないようなクオリティが維持されるようになってきました。

その年その年によって、生徒の個性光る様々な商品が開発され、多いときには一つのイベントで、パンを含む40種類を提供することもあります。そういった生徒の一生懸命さと熱気が、さらにお客様を呼び込み、毎度、どこへ出店しても大行列となっております。

ぜひ群馬にお越しの際は、藤北ベーカリーのTwitterをチェックしてみてください。

来週は、一番人気の米粉パンのレシピと生徒の楽しい失敗談をご紹介します。

編集後記

藤岡北高校は群馬県内でも2校しかない農業教育を中心とした専門高校です。3つの学科と6つのコースがあります。自分の進みたいコースをじっくりと選べるように、入学後、各コースの体験を通して、9月にコースを決定し、10月からコースの専門学習が始まります。
これからしばらくの間、そんな藤岡北高の取り組みを通して、農業教育の魅力を発信していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :知恵袋

ライター情報

  • Noumusubi
  • 田中よしこ

    群馬県の高校教師。東京農業大学卒。OLなどを経て、現在は藤岡北高校勤務。生徒の「やりたい!」気持ちを引き出して、自ら挑戦する力を育てることを大事にしております。趣味はDIYと家庭菜園。ジュニア野菜ソムリエ、パンシェルジュ検定3級、大型特殊(農耕車)などの資格を持っています。