インタビュー 日本最高峰のみかん産地、八幡浜の2トップに聞く「うまいみかん」

Ragriで人気のみかん農家といえば、日本最高峰のみかん産地と名高い愛媛県八幡浜市の【左】コウ果樹園の二宮 江(にのみやこう)さんと、【右】三代目みかん職人の菊池真太(きくちしんた)さん。Ragri楽天市場店でも美味しいと評判で、1日2,000箱も売れ、週間ランキング1位も獲得しました。

そんなみかん農家2トップが仲良しだということで、みかんのプロに「うまいみかん」について聞いてみました。

ライバルだけど助け合う、山のお向かいさん

三代目 うちら遠いけど、お互いの動きがみえるけん。

コウ 真太さんは、大雪、大嵐の日に、みかんとりよるんですよ。なにしとんすか?って思ってましたよ。

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三代目 あの大きなビニールハウスがある辺りがコウの畑です。

コウ 真太さんのところは日照時間が長くて、僕らは夕方になったら日が陰るんですけど、真太さんのところはまだ日が当たってるから、収穫も長くできるんですよ。

三代目 美味いみかんができる、そういう土地をもったよ。

コウ 八幡浜のみかんが美味しいと言われるのは、海に面して、南向きやけん。
あと真太さんの木は老木。みかんは5年や10年じゃ、うまいもんは作れないんですよ。先代、先々代が植えてくれた木が、今すごく美味しいみかんをならせてくれている。そういうおじいちゃんの木を、生かさず殺さずのところで、真太さんが水やら肥料やらをちょうどええ塩梅にして作っている。
やけん、日照やら環境もあるとおもうけど、やっぱり作り方もあるけん、そこがめちゃめちゃ上手なんやなって思う。

三代目 言いたいことはコウの頭に入っとる。広辞苑、大辞林、秘書みたいなもん。値段をだすときもコウに出してもらって、じゃ合わせるわってしとる。

コウ 1年かけて育てたみかんを、自分で持って帰って、1個ずつ選別して、自分でお客様に届ける。愛媛県八幡浜のみかんではなく、三代目みかん職人、コウ果樹園のみかんとして送り出すのが僕らの強みで、真太さんがその方法を全て教えてくれました。

三代目 ライバルだけど一緒に成長したい。人手が足りなければパートさんをまわすんすよ。お互い困ったときは協力っすよ。

温州みかんの三代目、華まどんなのコウ

――――――おふたりの違いってありますか?

三代目 うちはまず、今とりよる普通のみかん、温州みかんの「頂(いただき)」が一番力いれよるところかな。

コウ 僕は「華(はな)まどんな」だな。

三代目 温州みかんは、外で作る三代目。華まどんなは、ハウスで作るコウ。そこの違いかな。

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三代目 うちの子供らは、みかんをよく食べるんで、みかんを持って帰ったら「やったー!」って喜ぶんですよ、みかん農家なのに。
先日は小学生がみかん収穫体験にきたのですが、自分で収穫したみかんを山で食べるのは最高だったみたい。

コウ 真太さんの「頂みかん」は、みかんと言えども別格のみかん。甘みだけでなく、酸味もある、コクのあるみかんを追い求めてるのが三代目。

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三代目 コウの「華まどんな」は通称:紅まどんなっていうんですけど、そこに子供の名前:華菜(はな)ちゃんの華をいれることで、本当に愛しているんだと。

コウ そうですね。コウ果樹園も自分の名前を入れてるし(笑)
まどんなの作り方って色々あって、露地でもAPハウスでも作れるけど、一番美味しいのが作れると選んだのがAPハウスです。
伊勢丹や高島屋で紅まどんなを買って食べた人が、絶対に僕の「華まどんなのほうが美味しい」って。同じ品種だけど、なぜ美味しいか?食べてもらえればわかるけん。感じてほしい。

1本1本 性格が違う華まどんな

――――――あれ?帽子を脱ぐと…

コウ ちょんまげ!どうしてそんなにちょんまげなんですかってタイトルでどう?(笑)

――――――ははは。なぜ農家に?

コウ 大学で経営学や顧客心理、商品のブランディングを学びましたが、介護の仕事を3年間やって介護師の資格を取りました。
ただ家業は“柑橘王国”愛媛県の八幡浜市で、創業60年を超える伝統ある柑橘農家。
命を懸けて今の蜜柑山を守り続けてきた両親に、両親が作っているみかんは、こんなにも美味しいと言ってくれる人がいるんだよ!と伝えたくて、柑橘農家になりました。真太さんと同じ、僕も三代目です。

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コウ コウ果樹園の園地は、先々代、先代が雑木林を切って山を切り開いてつくりました。
このAPハウスは雨風が入らないから、温度管理と栄養管理、水分コントロールができます。水は川からタンクにポンプアップして、一番美味しくなる水分にしています。みかんが甘くなる一番はストレスだから、枯れるか枯れないか位にすると、甘い美味しい華まどんなになるんです。

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コウ 絶景でしょ?
植物の養分は上に上に行くから、垂れているところは味のノリが悪いし、上過ぎると養分が行き過ぎて実ばっかり大きくなる。だからちょっと垂れるような感じがいい。
実が多いと重いけん、バーッと垂れるから1個ずつ全部しばってるんです。この枝つりは相当にめんどうくさい。

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コウ しかも、柑橘ってとげがあるんですよ。こういう新しく出た枝に、とげが大きいのがでてるじゃないですか?こういうとげを1個1個切るのですよ。顔に似合わず、修行みたいなことばっかりしてます。
そして華まどんなは、1本1本、木の性格が違うんで、1本1本の具合をみて、この木は10秒くらい水やろうとか、この木は20秒くらいみてやろうとか、そういう風に1本1本に目をかけている。だから高くて当たり前だし、美味しくて当たり前です。

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コウ ハウスのデコポン(しらぬい)は露地のに比べて、肌が違うんですよ。肌の厚さとキメの細やかさが違う。左がハウス、右が露地。ここの樹齢は20年、ハウスも20年。おやじの代から続いてます。

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コウ デコポン(しらぬい)の何がええっていうたら、剥いた時のこのにおいが、めっちゃええんですよ!

――――――すごくいい香り!新鮮!

コウ すごいやろ?まだ収穫早いので、酸が抜け切れてないですけど、美味しいみかんというのは、酸と糖度のバランスだと思う。甘いだけというのは、採って2週間くらいたって酸がぬけた状態。
とりたてのフレッシュ感っていうのは、このとった直後だけだから!美味しいみかんは糖度と酸度の黄金比。
大事に育ててまるで子供のように、送り出しています!
(するとお客様から電話が…「華まどんな美味しかったー!子供が覚えたらあかんわー!」と、受話器の向こうから聞こえてきました。よっぽど感動したみたいです。)

美味しさの秘密は四つの太陽

三代目 みかん大好き、みかん栽培超好き。60年続くみかん農家の三代目です。
こうして夫婦で作業していると、いろいろなことが話せて毎日楽しいですね。Ragriのお客さんとのコミュニケーションは、何でも妻に相談しています。

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三代目 美味しさの秘密は“四つの太陽”です。1つ目は「空から降りそそぐ太陽の光」。
園地は南向きに面していて、太陽の光を一日中たっぷり浴びています。 また地が浅く岩盤や砂礫の上に表土が浅くかぶっている状態ため、水捌けが良く、みかん栽培に適しています。

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三代目 2つ目は「宇和海の海面に反射する光」。

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三代目 3つ目は「みかん園地に積まれた石垣からの照り返しの光」。

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三代目 4つ目は「タイベックシートからの反射の光」。温州みかんは夏場に木の下をマルチシート(白い布のようなもの)で覆います。こうすることで、樹に水分ストレスを与え、さらに糖度が上昇します。またマルチシートからの反射光もあるのでさらに着色も良くなります。
夏場は照り返しで、暑くてふらふらになることもありますが、美味しいみかんのために頑張ってます。

袋詰めは、おばあちゃんのプライド

三代目 倉庫では父が中心になって、母と91歳のばあさんと、4人で2回ずつ確認しながら選別しています。

――――――え、おばあさま91歳?こんなにシャキっとされてるけど…

三代目 ばあさん、めちゃくちゃ忙しいです。僕にそうとう使われとんで。朝いって、ばあさん起こして、おい仕事はじまるぞー、たのむぞ言って、一日中仕事してますよ。うちのばあさん、売上600万あるけんね。

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三代目 ばあちゃんも昔は農業しよって、歳とって山はいけんくなったけど、手は余らしとる。頭も元気というところで、ばあさんに袋づめさせよる。

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コウ 真太さんが、ばあちゃんに袋づめさせよるよーっていうのを聞いて、僕もばあちゃんも頼んでみたんですよ。なんもしてなかったけん。そしたらできることならやるよーってやりだして、めっちゃ丁寧なんですよ。

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コウ 袋にコウくんの名前が書いとるみかんやけん、めっちゃきれいに入れてくれるんですよ。
荷物がないときとかも、今日はないん?って聞いてくる。ばあちゃんが入れてくれたみかん、売れて売れてしょうがないけん、入れてくれんと間に合わんのよっていうと、よっしゃわかったっていうて、ずーっとやってる。そうするとじいちゃんがやってきて、飯まだなん?って。

三代目 なるよな。こういうことすると、お年寄りの生きがいにもなるよね。うちのばあさんも、本当にはりきっておって、それを誰かがしようとすると、ええよ、これは私やるけんっていう。

コウ プライドもっとるよね。ばあちゃんも嬉しいんですよ。
僕らが柑橘農家をできよる礎を築いてくれたのは、おとんおかんのまえに、じいちゃんばあちゃんが苗を植えてくれとった、山を広げてくれとったからやし。昔って山はめちゃ高かったんですよ。そこに投資して、こうして二代目、三代目と繋げてくれてね。

三代目 そのプライドにかけても、甘くて濃厚な超絶うまいみかんを作っていこう。

まさかの大雪!マイナス2度が分かれ目

――――――つい最近、三代目さんのはるかコウさんの清美オレンジともに、大雪の写真がアップされましたが大丈夫ですか?

コウ 雪は1月11日から3日ほど降り続いて、結構つもりました。その後も凄く寒かったけん、もしかしたら「せとか」とか「清美オレンジ」が凍ってしまうかもしれない。
マイナス2度になったら凍るんですけど、凍ってしまったら味が苦くなるんですよ。そして実がぱさぱさになる。やけん、もう市場にはだせん。

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コウ 凍っとったら、もう全部廃棄。ジュースにもできんけん、苦いし。捨てるしかないということで…今年はどうやろうと?
雪の重さで木の枝が何本も折れとるというのもある。折れた枝はもう枯れますね。
あとは風とかでつく傷だったら一部の被害で済むんやけんけど、もう気温の問題だったら園地全体になるんで、ちょっといけんな思うたら、もう全部いけんけん。
見た目ではわからんし、お客さんに送って苦かったなんてなったら、それが一番いけんけん。そうなったらもう一個も送れませんということになるんですよ。

三代目 対策のしようがない天災の場合は、とりもどしがきかん。

コウ 本当はここでみなさんに、僕たち自慢の柑橘をどどーんと紹介したかったのですが、少し様子をみている状況です。

三代目 そこで、市場にはなかなか出回らない「貯蔵しらぬい(デコポン)」をご用意しました!味、香り、食べやすさ3つ揃ったしらぬい(デコポン)は、さらに一定温度で管理することで、甘みが増し、酸味が抜けて、食べやすくなります。 とても貴重なしらぬい(デコポン)です。

コウ 農業は毎年の天候や作柄によって出来が左右されます。ですがそこが面白いところだと思うし、やり方一つで伸びしろも大いにある業種だと考えます。僕たち若い世代がこうして奮起することで、農家っていいなって思ってもらえるように、いつでもきらきらしてエネルギッシュでいたいです。

編集後記

まるでホストか?というほどノリのいいお二人。一緒にいるとみかんが食べたくなります。私は美味しさを知っているから余計です。
今回の取材ではお二人のご家族ともお会いすることもでき、農業ってあったかいな、農家ってあったかいなと感じました。
私がみつけたお二人の共通点は、お二人とも奥様が美人ってことです♪

こうして皆様にお届けする直前に、大雪とという事態になり、追加でお話をお伺いしました。深刻な中でもデコポンの木に登り、電話にでてくださる優しさに感動です。なんとか無事でありますように…。
(担当:Motty)