沖縄県知事賞の有機アテモヤ&パッションフルーツ!介護×子育てをしながら農業を楽しむ天才がいた

沖縄県知事賞の有機アテモヤ&パッションフルーツ!介護×子育てをしながら農業を楽しむ天才がいた
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公開日:2024.02.06

沖縄県恩納村で有機パッションフルーツ、有機アテモヤを栽培するてるてるファームの照屋和江(てるやかずえ)さん。南国フルーツの魅力、「楽しみを自分で見つける」照屋さんの素敵な生き方を取材しました。

目次

子育てと介護に忙しい自分へ癒しをくれた農業

子育てと介護に忙しい自分へ癒しをくれた農業

――なぜ農業をはじめたのか?
はじめは美容師をしましたが性に合わず事務職へ転職し、その後に寿退社をしました。
その頃、両親が高齢で農業を続けられなくなり、荒れてゆく農地を見て嘆く母に「私が畑を耕すから」と就農することになりました。
そして親戚にパッションフルーツを勧められ、お花も綺麗で実も美味しいパッションフルーツを栽培することに決めました。

当時は子供が生まれたばかりで、子育てと両親の介護も重なっておりとても大変でしたね。

――農作業する時間はなかったのでは?
時間調整は難しかったのですが、農業は自分に合った仕事でした。
別の仕事も考えましたが、子育てと介護もあり、まず正社員になることは難しかったです。恩納村は観光地ですのでホテルでパートも考えたのですが、急にお休みをとることを想定すると、農家だったら自分のペースでできる仕事なので働きやすかったですね。

月に1~2回、母親の病院まで付き添い通院していたのですが、病院の近くにパッションフルーツを栽培している人がたくさんいたので、点滴治療中の母親を看護師さんにお願いし、農家さん巡りを楽しみながら学ませてもらいました。
農家さんそれぞれの作業方法の中から、自分に合った方法を取り入れる事ができてよかったです。

――介護の時間も楽しみに変えてしまったんですね。
そうそう。楽しみは自分で見つけることを大切にしていますね。
農業の好きなところは自分のペースでできるところですが、誰かと一緒に仕事をしているわけではないので、怠けていたら全部自分の責任になります。
言い訳はできないからシビアですが、やり方を工夫して栽培できるのは楽しいですね。

なめらか食感のアテモヤ!樹になるアイスクリーム

なめらか食感のアテモヤ!樹になるアイスクリーム

――アテモヤとは
アテモヤは沖縄県内でも食べたことがある人は少ない、恩納村が産地指定されている高級フルーツです。12~3月の冬が旬になります。

――外見もインパクトがありますよね。
まるで怪獣の卵みたいでしょ。イガイガしていて、クイズ番組のモヤッとボールを思い出す人もいるかもしれません。

――中身は白いのですね?
そうなんです。アテモヤは切ってみるとさらにびっくり!ほんのりバニラの香りがして、まるでバニラアイスクリームみたいなんですよ。だから「樹になる!気になるアイスクリーム」と言われています。

――どこをどうやって食べるのですか?
白いところをスプーンですくって食べます。アテモヤは高糖度で20~25度もあるので、味わいも濃厚で、冷たすぎないバニラアイスクリームといった感じでしょうか。とにかくオススメです。

華やかな香りのパッションフルーツ

華やかな香りのパッションフルーツ

――パッションフルーツはどんな作物?
パッションフルーツはフルーティーな香りで酸味も甘味も兼ね備えたパンチの効いたフルーツです。

――どこをどうやって食べるのですか?
果肉をタネごとすくってお召し上がりください。ぷちぷち弾ける食感で甘酸っぱく爽やかな味わいです。
外皮は硬くて食べられませんが、器として使うこともできます。沖縄の酒好き殿方の中にはパションフルーツの上部を蓋の様にカットし、泡盛を注ぎ入れオシャレに飲む方もいます。

――色鮮やかですよね。赤や紫などさまざまな品種があるのですか。
はい。品種によって味わいが異なります。
紫系は他の品種に比べると栽培が容易で、食味が良いので多くの方が栽培しています。楽天ファームでは紫色の品種をお届けします。

虫を敵と味方に分ける?自然と共存した農業を実践

虫を敵と味方に分ける?自然と共存した農業を実践

――栽培のこだわりは?
てるてるファームの栽培こだわりは主に3つあります。

 1つ目は<天敵農法栽培を実践>
アテモヤやパッションフルーツには使用可能な登録農薬が少ないのが現状です。
ですので、以前から天敵である虫を使って害虫を対処する自然農法を実践しています。

農業における害虫(敵)とは、農作物を食べたり病気を媒介する虫のことです。反対に、その害虫を食べる生物が自然界にはいて、これを天敵(味方)とよんでいます。

例えば、花や葉につく害虫のアブラムシを天敵のてんとう虫が捕食します。このような天敵農法を実践し、農薬に頼らず、虫には虫で対処するようにしています。

また、害虫にとって条件の悪い環境を作ることも虫対策として行っています。

――敵と見方はどのように見分けているのですか?
虫がくっついている場所、穴が空いている箇所を観察し、気になったものは家に持ち帰って育てています。分からないものは、虫が好きな研究員に聞いて勉強しています。

こだわりの2つ目は<自家製肥料を使用>
資材費が高騰しているため、経費を抑え栽培できるよう工夫しています。
経費を抑えると少しの難儀もくっついてきますが、時間と知恵を使って最適な栽培方法を模索しています。

具体的には桑の実やマンゴーの皮から採った自家製天然酵母菌と納豆菌を肥料としています。これらには有機物を分解すると同時に、アミノ酸やビタミンなどを作り出す働きがあり他の善玉菌を増殖させるエサとなり、作物の抵抗力を高め、病害の抑制、土壌改良に効果的なのです。

3つ目は<太陽熱養生処理の実施>
太陽熱養生処理とは、太陽熱と微生物の力を利用して行う土づくりのことです。太陽熱と有用菌の働きにより、病気、害虫、雑草を抑制します。

微生物の餌や住処となる有機資材のすき込みを行い、適量の水を与えた上でマルチをかけて、毎日の平均気温を合計した積算温度450~900度を目安に養生処理します。微生物により土壌の有機物の分解が進み根の張りが良くなり、作物の繊維が強化され健康な体を作ることができます。

そうすることで農薬を使用せず、人にも作物にも優しい有機栽培ができています。

華やかな香りのパッションフルーツ

赤色のパッションフルーツの「ルビー」も流通量は少ないですが栽培しています。黄色の「ミズレモン」は家庭用に作っています。

赤い品種「ルビー」は紫系の品種に比べると酸味が強く、爽やかで美味しいです。黄色い品種「ミズレモン」は、熟した果実はとても甘く酸味はほとんどないので、食べやすいと思います。

パションフルーツ、アテモヤ共にマイナーフルーツでは有りますが、南国沖縄の魅力をPRする最高のフルーツだと思っています。

有機JASを取得&沖縄県知事賞などを受賞

有機JAS認証

――なぜ有機農業をすることに?
農業をはじめて3~4年の頃、恩納村地区が推進していた特別栽培認証を取得しました。これが有機JAS認証取得のステップになっていたと思います。
特別栽培認証とは、農薬・化学肥料の使用量を慣行栽培(一般的な栽培方法)の50%以下に削減して栽培する方法です。

環境に優しく栽培できるよう環境を整えたり、害虫をいかに防げるかを考えていくなど、農業に励む姿勢が認められ、地域の女性リーダーとして活躍する女性農業士の認定もいただきました。

その後、沖縄県の農業指導員に有機JAS取得の話を聞きました。金銭面や書類作成に難しさを感じていましたが、幸いにも近隣に有機JAS所得事務所があり、周りのサポートが手厚かったおかげで有機JAS認証を取得することができました。

沖縄県果樹フェスティバル果樹品評会

――品評会でも数々の賞を受賞されているそうですね!
はい。沖縄県果樹フェスティバル果樹品評会でアテモヤ、パッションフルーツ共に沖縄県知事賞、内閣府沖縄総合事務局長賞など数々の賞に選んでいただきました。

去年より今年、今年より来年はもっと良い物をと精進していたら県内での大きなコンテストで賞を頂く事ができ、頑張りが認められた気がして嬉しく思いました。

アテモヤとパッションフルーツの食べ頃

アテモヤは到着後、常温(室温20度以上)で1週間前後、置いてください。

アテモヤは追熟させることで美味しく食べられます。
商品到着後、常温(室温20度以上)で1週間前後、置いてください。甘い香りが強くなり、触った時に柔らかさを感じたら、食べ頃のサインです。

食べる直前に冷やしてお召し上がりください。
贅沢にスプーンですくって食べたり、カットして家族で分けるのもおすすめです。
また冷凍して、牛乳や豆乳と混ぜてスムージー状にするとバニラシェイクのような味わいを楽しめますよ。

お客様からは「初めて食べましたが、甘くてクリーミーで美味しい」「思っていたよりも甘くて見た目とのギャップが面白い」など嬉しいお声いただいております。

パッションフルーツは追熟

パッションフルーツも追熟することで甘みが増して美味しくなります。
甘い香りが強くなり、皮の表面にしわが出始めた時が食べ頃のサインです。タネも美味しく食べられるので、まずはスプーンですくってそのままお召し上がりください。

ヨーグルトやアイスにかけたり、固めてゼリーにするのもおすすめです。

楽しい農業を実践する、匠になりたい

これからも楽しい農業を実践していきたい

――5年後、10年後はどうなりたい?
これからも楽しい農業を実践していき、安定して良い作物栽培が出来る匠になっていたいです。

私は現在、沖縄県の女性農業士と恩納村の農業委員も兼任しています。
農業士としては、新規就農される方々へのアドバイスや指導できる事があれば力をお貸ししています。
農業委員としては、使っていない遊休地の解消や農地の貸し借りに力を注いでいます。
昨今、国内の農業を見直す風潮があるなかで、私も微力ながらお役に立てたらと思います。

そして、安全安心に重きを置いて選んでくれる人たちが増えるよう有機JAS認証の認知度を上げることができたらと思っています。


以上、いかがでしたか?
照屋さんとお話すると元気になれる!そんなあたたかいお人柄の照屋さんが作る南国フルーツは、環境にも人にも優しさをお届けします。ぜひご自宅で南国気分を味わってみてください。

◎てるてるファームの南国フルーツは楽天市場で購入いただけます。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :農家さん

ライター情報

  • Noumusubi
  • 清水麻衣

    楽天農業株式会社の農地スタッフ。静岡生まれ静岡育ち。食べ物で人を幸せな気持ちにしたくて農業を始めました。食べてくださる方とのつながりを大切にしたいなと思っています。農むすびでは野菜の生長する様子、栽培の驚きや嬉しさ、静岡での楽しい農業の日々をお届けします。趣味は朝ラーです。

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