味わいの違う3種の有機パイナップル!石垣島の自然と共存しながら作る、とまらない美味しさの秘密

味わいの違う3種の有機パイナップル!石垣島の自然と共存しながら作る、とまらない美味しさの秘密
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最終更新日:2023.09.28 公開日:2023.05.31

沖縄県石垣島で有機パイナップルを栽培するのは、やえやまファームの山中広久(やまなかひろひさ)さん。農業との出会いから3種の味わいの違うパイナップルの美味しさの秘密までたっぷりお話を伺いました。

目次

止まらない美味しさ!味わいの違う3種のパイナップル

止まらない美味しさ!味わいの違う3種のパイナップル

――有機パイナップルの紹介をお願いします。
沖縄県石垣島で、有機JAS認証を取得したパイナップルを栽培しています。ピリピリ感を感じにくく、とまらない美味しさのパイナップルですよ。お子様が食べたあとに「これじゃないとだめ」って言っくれたこともあるんです。笑

白子たけのこ 地中に留まって成長

――ピリピリ感を感じにくいのですね。営業担当の仁志さんはいかがでしょうか。
仁志さん(写真右):
そうなんですよ。石垣島の有機パイナップルはすごくおいしいんです。
1年中あたたかく、酸性の赤土で水はけのよい土地なのでパイナップルの生育にかなり整った環境で、糖度と酸味のバランスが絶妙の美味しいパイナップルができます。

ハワイ種、ピーチパイン(ピーチ種)

――3種のパイナップルを栽培されているんですよね。
仁志さん:
はい。3種類栽培しているので、品種によって違った味をお楽しみいただけると思います。

ハワイ種は、しっかりとした甘みと酸味とジューシーさを兼ね備えたバランスの良いパイナップルで、定番の美味しさです。

ピーチパイン(ピーチ種)は、クリーミーな白い果肉と桃のような甘い香り、ねっとりとした食感で甘くてジューシーなので、他のパイナップルは食べられないほど絶品です。

スナックパイン(ボゴール種)

スナックパイン(ボゴール種)は、酸味が少なめで甘さが引き立つ美味しさで、手でちぎって食べられるのでお子様やパイナップル初心者の方も食べやすくておすすめですよ。

――パイナップルもさまざまな種類があるんですね。食べてみたいです。
山中さん:
ぜひ食べてみてください。購入してくださったお客様からも「甘くて美味しいです」「農薬を使用していないので子供にも食べさせやすいです。」「プレゼントで利用して喜んでもらえました」「またリピートします」などたくさんの嬉しい声をいただいています。

美味しくて当たり前の世界の中、農薬を使用できないので、栽培管理がとても難しいですが、苦労している分そういった声がとても励みになるし、より一層頑張ろうという気持ちになりますね。

東京出身で農業未経験。農業を始めたきっかけ

農業をはじめたきっかけ

―――農業をはじめたきっかけを教えてください。
東京出身で農業未経験でしたが、農業を志したきっかけは、今思えば実家の近くで有機野菜を育てている農家さんとお会いしたことだと思います。その有機野菜を食べたとき、本当に美味しい野菜!と感動したことを覚えています。

後日その農家さん野菜畑へ手伝いにいき、農作物を栽培する仕事をするのもいいなと思いました。
それで生産者法人でレタス栽培を半年経験したのですが、農薬を散布している時に体調が悪くなることがあり、最初に出会った有機野菜を思い出したんです。

そんな経験から安全・安心なものが作りたいと思い、果物の中でもマンゴーが好きだったので、『有機』と『マンゴー』をキーワードに職を探したときにやえやまファームと出会いました。ただ、入社したら既にマンゴーは栽培しておらず、パイナップルの栽培をしていました。

やえやまファームで初めて口にした有機パイナップルは、口当たりが良く、気が付いたら何玉も食べていた自分がいました。そのときには有機パイナップルのファンのひとりになっていましたね。
そんな美味しい有機パイナップルを求め、自ら栽培することを選び、今も栽培を続けています。

栽培していくうちに有機栽培とは何かという理解が少しずつ進み、そして、更に自然に近い果物の美味しさに惹かれ、有機パイナップルの魅力に引き込まれていきました。

――作業は何名くらいでされているんですか。
現在は正社員2名で1万玉収穫を目標にパイナップルの栽培を行っています。
より安全・安心なパイナップルを食べていただきたいという想いに加え、生産者自身の健康にも配慮した有機栽培の取り組みもスタートしました。

SDGsという言葉がありますが、その言葉が世間に知られる前から自然に優しい農業を心掛けてきたと思います。約15年前、有機JAS認証を取得した時点からオーガニックで栽培することにこだわっています。

農業のここが好き

――農業のここが好き、ここが面白いと思うところは?
毎年、天候が違えば管理方法も違いますので、味も香りも微妙に異なるところが面白いですね。1つの農家さんの畑の中でも、味にそれぞれ特徴が出てきます。

自然を相手にしなければなりませんが、実は相手になりません。自然の力をお借りし栽培していくことで、自然を感じながら栽培しています。
人の無力さを感じるとともに、自然や植物の生命の力強さを感じることができます。自然に身を任せ、パイナップルとともに生活をするようなイメージです。

そんなパイナップルを栽培している時間が好きですね。

「有機パイナップル」への挑戦

「有機パイナップル」への挑戦

――有機で栽培するのは難しいのでは?
とても難しいです。入社した当初、作付け面積に対して青果としての出荷できた割合は7%程度でした。試行錯誤を重ね、ある程度は技術的にも安定してきて去年は加工品も合わせてですが40%ほど出荷できるようになりました。

パイナップルは収穫するまで2年かかる

――パイナップルは収穫するまで2年かかるんですよね。
そうなんです。収穫するまでおよそ2年間かかります。

収穫を終えた7~9月ごろに植え付け作業を行うのですが、有機パイナップルでは特に不足しがちな栄養分を補って成長をサポートすることが大事です。
化学肥料であれば2週間くらいで葉っぱの色が変わったり、植物が成長し始めたり、目に見えて効果が表れてきますが、有機の場合はそうもいきません。土の微生物であったり、地力をあげることで栽培しているので肥料が効いてくるまで時間がかかります。

有機パイナップル肥料は、石垣島の酒造所から泡盛の製造過程で出る酒かすの泡盛蒸留粕を引き取り、肥料にしています。泡盛蒸留粕には、アミノ酸、クエン酸、糸状菌、乳酸菌などパイナップルの栄養になるものがたくさん含まれているので、島の廃棄物の削減をしながらパイナップルが育つための肥料として有効活用しています。

泡盛蒸留粕をまいてから反応が出てくるのがだいたい1~2カ月後くらいですので、常に数カ月先を予測する必要があります。日々、パイナップルの株の状態を見ながらかなり神経を使って栽培をしています。

パン酵母・ヨーグルト用乳酸菌・納豆菌を培養した微生物資材である「エヒメAI(エーアイ)」

――病気への対策はどのようなことを行っていますか。
パン酵母・ヨーグルト用乳酸菌・納豆菌を培養した微生物資材である「エヒメAI(エーアイ)」を使用して病気の対策をしています。土壌にある様々な菌を活発化させることで、パイナップル本来の生命力をアップさせ、病気に強いパイナップルを育てつようになるんです。一度病気が蔓延してしまうと4,000株、6,000株、1万株と簡単にすべて枯れてしまいます。

私が入社した当初、エヒメAIをまくのが遅れたがために8,000株すべて枯れてしまったこともありました。オーガニックで栽培する難しさを感じましたね。

――他にも大変だったエピソードはありますか。
台風の被害はつらかったですね。
植え付けた1万株すべてが直後の台風により流されたことがありました。

だからまた最初から1万株の植え直しを行ったんです。生育途中に台風の被害にあうと、実が折れてしまい出荷できないことにもなったり、降水量が多くなると早く熟しすぎてしまい、発酵臭がしてくるため出荷できなくなってしまったり、沖縄の台風被害は本当に大変です。

美しい石垣島を守るため“循環型農業”

美しい石垣島を守るため“循環型農業”

――美しい石垣島を守るため循環型農業をされていると聞きました。
そうですね。自然を保全する取り組みも行っています。
やえやまファームでは畜産業もしているので、家畜の糞から堆肥を作ることができます。そして栽培したパイナップルは、ジュースなどに加工した際に搾りかすがでるので、それが家畜の肥料になるんです。
循環型農業として、「ファームの外から可能な限り持ち込まない、可能な限り捨てない」ということを目指して日々取り組んでいます。

他にも島の廃棄物削減に協力しています。石垣島には多くの泡盛の酒造所があり、製造過程で大量の泡盛蒸留粕が発生しています。その泡盛蒸留粕を引き取り、栽培に利用することで、本来捨てられてしまうものを活用し、島の廃棄物削減につながります。

また、サンゴ礁を脅かす赤土流出を防ぐため、農地の随所に沈砂池を設置し、降雨で流れる赤土を沈殿させて海への流出を防止し、石垣島の自然環境の保全にも努めていますよ。

ベストな状態でお届け!サラダとの相性も抜群

【ベストな状態でお届け!サラダとの相性も抜群

パインは追熟しない果物ですので、手元に届いたらできるだけ早めに食べてください。
切り方は、頭からお尻まで細長く切り分けるのがオススメです。
食べ方としては、酸味が強い頭の部分からはじまり、お尻の甘味が強い部分へ食べ進んでいくのがいいですね!味が変わっていくパイナップルを楽しんでもらえたらと思います。

切り分けた後は、タッパーなどに入れて冷蔵庫で保存してください。冷凍する場合には、玉丸ごとを冷凍庫に、もしくは切り分けてから冷凍庫にいれましょう。

おすすめの食べ方の1つとして、ピーチパインを細かく切って、野菜の上に散りばめて食べると美味しいです。ゴマドレッシングとの相性も良いいので、ぜひ試してみてください。

美味しく食べる工夫は

パイナップルは追熟しない果物ですので、ぎりぎりまで熟したものを収穫しています。
そして石垣島の天候や気温、本州の天候や気温、さらに発送からお届けまでの日数を考慮しながら、毎日収穫タイミングを変え、お客様にベストな状態でお届けできるよう発送しています。
梱包作業の際は、打音することで中の水分量などをある程度把握できるため、発送できるかできないかはそれで判断します。

パイナップルは、丈夫そうに見えて実は打撲するんです。収穫時は、かごを背負ってその中に入れていくのですが、打撲しないよう葉っぱの部分を下に入れてクッションになるようにして収穫していきます。打撲してしまうと汁が漏れてしまったり、果肉が柔らかくなってしまいます。

ですので、打撲しないよう収穫から梱包、発送まで細心の注意を払い慎重に箱詰めしています。

有機パイナップルのファンを増やしたい

【ベストな状態でお届け!サラダとの相性も抜群

――毎年石垣島フルマラソンに参加されているんですよね。
長距離を走ったことはなかったのですが、その年の収穫を無事に乗り越えられるよう、ゲン担ぎとして30歳から6年間、石垣島フルマラソンに毎年参加しています。

農業を60、65歳といわずに80、90歳になっても携わっていたいと思っており、農業は体が資本ですので体力をつけたく、気持ちを維持していく上でもフルマラソンを走っています。

――フルマラソンのためにどのくらい練習しているんですか。
普段は畑を結構歩いていて、多いときは1日で20㎞くらい歩いているので、特にフルマラソンのための練習はしていないですね。ですが、毎年5時間50分ほどで完走しています。

最近は沖縄に自生する植物の月桃(げっとう)を使った編み物にもはまって、月桃の葉っぱでパイナップルのポーチなども作ったりしています。月桃は独特の香りがあり、抗菌や消臭、殺虫剤として利用されているので、虫よけにもなるんですよ。
プライベートで身に着けるものも気づけばパイナップルばかりになっています 笑

【ベストな状態でお届け!サラダとの相性も抜群

――今後の目標を教えてください。
5年後の目標は、有機パイナップルのファンを増やせたらと思っています。ひとりでも多くの方に有機パイナップルを食べていただきたいです。
そして10年後、取り扱い品種を10種まで増やすのが目標で、パイナップルファンの中でも品種ごとのファン作りができたらと思っています。

また、その地域やその環境を守っていけるような農業が増えていればと思います。個人的には、自然農法のような考えがあり、最近ではアグロフォレストリー※などと表現されることもありますが、その小さな畑だけで循環するような農業もあって良いと思っています。パイナップルだけではなく、その畑には他の作物もあるような自然豊かな畑にしたいと思っています。

※同一の土地で樹木と野菜などを栽培し、農業と林業を複合経営すること(「環境省 環境白書」より)


以上、いかがでしたか?
山中さんのパイナップル愛を伺って、有機パイナップルを食べてみたくなったのではないでしょうか?ぜひ一度、ピリピリが少ない甘いパイナップルを召し上がってみてください。

◎やえやまファームの有機パイナップルは、楽天市場で購入できます。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :農家さん

ライター情報

  • Noumusubi
  • 清水麻衣

    楽天農業株式会社の農地スタッフ。静岡生まれ静岡育ち。食べ物で人を幸せな気持ちにしたくて農業を始めました。食べてくださる方とのつながりを大切にしたいなと思っています。農むすびでは野菜の生長する様子、栽培の驚きや嬉しさ、静岡での楽しい農業の日々をお届けします。趣味は朝ラーです。

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