中学1年生の虫博士Daiyaによる畑の土づくり調査!良い土は微生物と虫に任せよう!
中学1年生の虫博士Daiyaが「土づくりの調査」をレポートします。土の中の世界は、一体どうなっているのでしょうか。その秘密を探ります!今回も僕が農業体験にいっている山梨県の早川町で調べてきました。
虫博士Daiyaが土づくりに興味を持ったわけ
こんにちは。虫博士Daiyaです!
僕が土づくりに興味を持ったのは、農業の大事な土台だからです。そう考えた、きっかけになる出来事が3つあります。
1つ目に、テレビでカブトムシの幼虫の糞(ふん)が肥料になることを知りました。園芸店では「カブ糞(かぶふん)」として販売されています。僕は、家でカブトムシを飼っていたので、庭で育てているイチゴに蒔いてみることにしました。すると、カブトムシの幼虫に含まれるリン酸のおかげで、甘酸っぱい実をたくさんつけました。使用前は、イチゴの実は少なく、味も水っぽいだけで甘くなかったです。
その違いを知った体験から、土に興味が湧いてきました。
2つ目に、農業体験で山梨県早川町の「伝統味噌づくり復活プロジェクト」活動を通じて、おいしい大豆を育てました。前回の記事に書いたように、畑の生態系や栄養素のバランスを心得た、農薬を使わない畑づくりの大切さを知ったからです。
3つ目は、映画『いただきます ここは発酵の楽園』を観たことです。
その内容は、農作物や人間の体と深く関わりある微生物をテーマにしたドキュメンタリーでした。「奇跡のりんご」で有名な木村さんをはじめとした、オーガニックファーマーの方たちが、口を揃えて、土づくりの偉大さを伝えていたからです。
土の中にある生き物の静かな世界
土は、岩と生き物からできています。岩は、長い歳月の間に自然の力で砕かれ、削られ、細かくなっていきます。そうして、雨や風に侵食され砂や泥になり、そこに、生き物の力が加わって土になります。
その土の中には、とてもたくさんの小さな生き物が生きています。これらの生き物は、落ち葉や動物の遺体、虫の死骸、排泄物などの有機物を分解し、物質の循環に役立っています。そして植物が土から養分を吸収するのを助ける微生物たち土壌菌もいます。
土づくりの方法はたくさんありますが、僕は植物性堆肥の一つである腐葉土づくりをしました。腐葉土は、主に落ち葉を分解・発酵して作られます。堆肥を土壌にすき込むことで、物理的に土の中の仕組みを活性化させます。土は奥深くって面白いです!
土と生き物が助けあって植物を育てています。それが繰り返されることで命が循環して、土は豊かになって土壌となります。これが、食物の育ちやすさの違いに影響します。
「土」について、素朴な疑問を調べてみました。
―― なぜ、色の違う土があるの?
赤玉土(赤土)は火山灰が風化して、その中の鉄分が酸化することで赤味が出ます。黒土は、火山灰と枯れた植物が混ざり合った土で腐食が繰り返されて黒くなります。黒い色は、微生物の働きによって分解された有機物の色で発酵の証です。
―― 良い土の基準は何だろう?
保水性、排水性、通気性、保肥力があり、微生物の働きが活性化しているのが良い土です。そのため作物の形が整い、元気に根張りがよく、生育がしやすくなります。
―― 農薬漬けの土との違いは?
農薬によって土の中で土壌菌が殺菌されてしまうと、植物の根が育たず土が痩せていきます。そのため作物は栄養失調になり、害虫や病気、連鎖障害の発生が高まります。
畑の中で虫がいるゾーンといないゾーンの謎
実は、虫には弱った野菜を食べて分解するという特性があります。つまり、畑の中で虫がいるゾーンといないゾーンの謎は、単純に、元気がある野菜には虫が近寄らず、元気のない野菜によってくる違いです。
もうひとつ説明すると、日光をよく浴びて育った野菜は、紫外線や虫から身を守るために第七の栄養素と言われる「ファイトケミカル(抗酸化成分)」を多く合成するそうです。だから元気な野菜ほど、虫は食べることが難しくなってしまいます。
意外と、虫は謙虚でグルメではないのかも知れません。
おいしい味噌を支える小さな生命体
土の中で生息する微生物たち=土壌菌は、発酵食品にも含まれています。日本の文化には欠かせない発酵食品といえば「味噌」です!
僕は初めて、農作業に関わり育て収穫した大豆で、味噌づくりを体験しました。酵母や細菌・カビが素材となる大豆に働きかけることで、独特の旨味や香りが生まれ、発酵食品の手作り味噌が出来上がります。発酵することで健康に役立つ成分が増えると、山梨県の早川町に住む地域の方に教えてもらいました。微生物の活動が、人間にとって良いものを作ってくれていることを知ると感謝の気持ちになりました。おいしい味噌を支える縁の下の力持ちは、小さな生命体です!「どんな味になっているのか?」ワクワク待ち遠しくて食べ頃が楽しみです。
「土と植物と人のお腹」は健康につながる
人の身体にも微生物は存在して、100兆個を超える「常在菌」として住みついているそうです。もし身体に必要な常在菌がいなくなってしまうと、体調も悪くなってしまいます。つまり、人も細菌という微生物がいないと生きていられません。
その点から、田んぼや畑を発酵させる土壌菌の働きは、人間のお腹にいる腸内細菌の働きと似ています。オーガニックの畑は、土の中にある「土壌菌」がいます。
それは、植物の中にある「内生菌」や、そして、人のお腹にある「腸内細菌」と同じ、共通している『菌』という微生物が活動することで元気にして健康につながることを知りました。
『菌』というと、悪者扱いされて汚いイメージがつきものだけど、視点を変えてみると生きるための役割を補ってくれてもいます。人の腸も、植物も、土も、いろんな微生物の働きによって絶妙のバランスで保たれているのです。
農業の基本は、田や畑で、良い土を作ること。良い土を作るのは、土に住むいろんな生き物たちだから、「土づくり」は微生物と虫たちに任せよう!そのために、人間にできること、いろんな生き物を増やすコツや住みやすくする工夫や配慮の方法を、僕は、もっと知りたくなりました。
調査・取材協力「NPO法人早川エコファーム」
編集後記
大豆を蒸した時に大きな釜の中から、冬眠中のてんとう虫が出てきました。 「起こして、ごめんね」という気持ちになりました。
- この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
- 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
- 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。