介護の資格もとれる!心やさしき園芸福祉コース:よしこ先生の農業高校だよりVol.3

介護の資格もとれる!心やさしき園芸福祉コース:よしこ先生の農業高校だよりVol.3
このエントリーをはてなブックマークに追加
Viberで送る
最終更新日:2021.07.27 公開日:2020.02.12

園芸福祉や農福連携について、ご存知でしょうか?今回は群馬県立藤岡北高校のヒューマン・サービス科 園芸福祉コースの心あたたまる地域との交流活動を通して、福祉からみた農業の力をお伝えしていきます!

目次

笑顔をお届け!ヒューマン・サービス科 園芸福祉コース

みなさん、こんにちは。群馬県立藤岡北高校で教師をしている田中よしこと申します。若さ溢れる高校生のより良き人生のために、そして、日本の農業を教育面から支える端くれとしての使命感を胸に、心血注いで教育に励んでおります。

今回は、将来の日本の福祉を支えたい!という志を持ち、介護と農業について学んでいる心優しき天使、園芸福祉コースの生徒たちの取り組みについてご紹介します。

外の空気や植物に触れて清々しい気持ちになったり、綺麗に咲き誇る花に思わず見とれたり、自分が育てた野菜を収穫した時に感動を覚えたり、皆さんにもそんな経験があると思います。

園芸福祉とは、植物に触れることで心が癒やされたり、ストレスが軽減されたりする心理的な効果や、自然が持つ心身の健康増進作用を利用した社会福祉活動です。
こうした社会福祉活動を念頭に置いた園芸福祉コースは全国的にも非常に珍しく、群馬県内においても、この藤岡北高校にしかありません。

園芸福祉コースでは、草花や野菜の栽培方法について学んだ上で、人々の心を癒す一つの方法として、園芸を取り入れたコミュニケーション技術やレクリエーション活動を学習します。
また介護の世界への入門資格である「介護職員初任者研修」を取得するため、3年間で200時間以上の講義を受け、介護についての専門的な学習をしています。

園芸と介護といった両面の学習を生かし、地域にある福祉施設に行き、どうしたら高齢者や子どもたちに楽しんでもらえるかと、あの手この手で工夫をしながら交流活動をしているのです。

生徒は言います。
「交流している中で、自分たちの活動が褒められたり、交流相手のすごく楽しそうな笑顔を見たときに、自分自身も心から幸せな気持ちになれる。」
そんな生徒の優しさが、多くの人に伝わり、将来の日本の福祉に明るい光を与えてくれているような気がします。

〈園芸福祉コースの目標〉
草花園芸や福祉に関する基礎的・基本的な知識・技術を活用して、社会福祉の充実・発展に主体的に取り組む能力と態度を育てる。

〈園芸福祉コースで学べる専門科目〉
農業と環境、課題研究、総合実習、農業情報処理、草花、バイオセラピー、園芸セラピー、家庭科科目:生活と福祉、福祉科科目:社会福祉基礎・介護福祉基礎・コミュニケーション技術・生活支援技術

福祉からみた農業の力!

園芸福祉コースでは、地域の様々な福祉施設において、園芸の知識を活かした交流活動を行っています。
1年生の後半から草花や野菜について学習し、2年生からそれらに加え、福祉の勉強が始まります。障がい者が農業の新たな担い手として、生き生きと社会参画できるような取り組み「農福連携」などについても、実際の具体例を通して学習します。3年生になると課題研究という授業の中で、生徒はグループ毎に施設を担当し、利用者に楽しんでもらうための様々なレクリエーションを企画し、療育活動として実践します。

今年度の課題研究は、放課後デイサービスや特別支援学級の子どもたち向けに、遊びを通して草花を身近に感じてもらおうと、フォトフレーム、牛乳パック電車、うちわ、スノードーム作りを企画しました。また、中学校の花壇を借りて、野菜の栽培交流を行ったこともあります。

グループホーム(小規模な介護施設)では、敷地内にある畑を借りて、ミニトマト、キュウリ、ジャガイモなどの栽培を通して、施設利用者とのコミュニケーションを深めました。
車椅子の方が畑に入れるように、平らに整地して防草シートを敷いて通路を作ったり、車椅子に座ったままでも収穫できるように、手の届きやすい目の高さ位に野菜が実るよう工夫しました。
利用者の方と一緒に野菜を収穫しながら、「この品種は何ですか」「どうやって食べればいいですか」「大きく育っているね」「色が綺麗だね」など会話も弾み、お互いが顔を見合わせて、自然と笑顔が生まれます。

園芸福祉コースに入ると、「相手の立場に立って考える」ことを多く求められるので、自然と、思いやりや優しさを持った生徒が育っていくのだと思います。

介護の世界で、園芸を福祉の面からコミュニケーションツールとして活用することができる人材。これが、藤岡北高校園芸福祉コースの何よりの強みです!

現役生徒と先生の話

〈現役生徒 Wさん〉

――園芸福祉コースに入ったきっかけは?

私は将来、介護福祉士になりたかったので「介護職員初任者研修」の資格が取得できるこのコースを選びました。祖父母が介護施設でお世話になっているのですが、そこにいる介護士の方がとても親切で、みんなに平等に優しくて、色んな人に笑顔を与えていて、ステキだと思いました。とてもカッコイイと思いました。

――実際に入ってみてどうでしたか?

講義が大変でした!もちろん休んだらいけないし、進むスピードが速くて、ついていくのが大変でした。でも、最初は難しいと思っていたおむつ交換や食事介助などの実習が、何回も練習することでスムーズにできるようになっていくのがとてもうれしかったです。
11月にあった施設実習では、今までの知識や技術を生かしながら実習を行うことができました。利用者の方からの「ありがとう」「助かった」といった感謝の言葉が聞けたとき、何よりうれしく、やりがいを感じました。

――卒業後の進路は?

この3年間で学んできた介護を活かしながら、障がいについてもっと知りたいと思い、障がいのある方や高齢者の方と関わることができる介護福祉施設に就職を決めました。4月からは介護福祉士の資格取得を目指して頑張りたいです!


〈実習担当 中島先生〉

――園芸福祉コースのここがスゴイ!


やっぱり一番の魅力は、高校のカリキュラムの中で「介護職員初任者研修」の資格が取れることです。一般の養成課程で取ろうと思うと、結構な時間とお金がかかります。介護を学ぶことは大変な面も多くありますが、これからの時代に求められる実践的な資格と専門的な知識を武器に、社会から求められる人材になれると思います。

園芸福祉コースを選ぶ生徒の多くは、「誰かの役に立ちたい!」という思いを持って入ってきます。2年生の時にはデイサービス、3年生になると特別養護老人ホームで合計6日間の施設実習を経験します。実際の現場の中で学ぶことは、生徒の思いやりを育み、言葉遣いや対応の仕方を学ぶ貴重な機会になっています。帰ってくると生徒の顔つきが、良い意味で変わってきます。

今年からこども園との交流も新たに始まりました。小さいこどもから、小・中・高校生、高齢者に至るまで、幅広い世代と交流できることが何より強みだと思います。小さい子には教育的効果も盛り込んでみたり、お年寄りには季節を感じながら楽しくやれるようなものを取り入れたりと、世代別による交流の仕方を学習することもできます。もちろん農業も勉強できて、一石二鳥です!

ハーバリウムの作り方

インテリアとして最近人気のハーバリウムを園芸福祉の生徒が在籍する「園芸ボランティア部」より紹介いたします。

ハーバリウムの作り方
<材料>
・瓶
・ドライフラワー(もしくはプリザーブドフラワー)
・ハーバリウム専用オイル
・ピンセット

<準備>
① 瓶は洗っておく。※アルコール除菌をすればカビ防止になります。
② 好みの花材(ドライフラワーやプリザーブドフラワー)を用意しておく。

<作り方>
① まずはデザインを考える。瓶を寝かせ、瓶の横に花材を並べて、瓶全体のバランスをみる。
  【ポイント】花は軽くて浮いてしまうので、短い花を下部にして仕上げるとキレイ
② つぎに瓶を立てて、ピンセットを使い、花材を瓶の底から順番に、詰め込むように入れていく。
③ 全部入れ終わったら、専用オイルを瓶に注ぎ入れる。
  【ポイント】花にかからないよう側面からゆっくりと流し入れる。オイルは口いっぱいまで入れない。
④ 気泡が抜けたらきつく蓋をし、お好みで瓶を飾り付けたら、完成!!!

※ガラスサンドやビー玉などを入れてもキレイです。
※ハーバリウム専用オイルはホームセンターや手芸屋さんで購入することができます。

以上、手軽にできるハーバリウムの作り方のご紹介でした。

ドライフラワーを手作りする場合、必ず完全に乾いた状態にまで仕上げるようにしてください。専用オイルに浸すことで1年くらいはキレイな色合いを保つことができます。
窓辺に置いて、きらきらとゆらめくような光と花の美しさをお楽しみください!

編集後記

園芸福祉コースの3年生は、1月23日に「介護職員初任者研修」の修了式があり、無事!全員に修了証書が授与されました。お世話になった交流施設をはじめ講師の先生など多くの関係者の前で、研究発表を行い、その堂々たる姿にじーんと感動しました。立派だったね!本当にお疲れ様でした!(藤岡北高等学校教師 田中よしこ)

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :知恵袋

ライター情報

  • Noumusubi
  • 田中よしこ

    群馬県の高校教師。東京農業大学卒。OLなどを経て、現在は藤岡北高校勤務。生徒の「やりたい!」気持ちを引き出して、自ら挑戦する力を育てることを大事にしております。趣味はDIYと家庭菜園。ジュニア野菜ソムリエ、パンシェルジュ検定3級、大型特殊(農耕車)などの資格を持っています。

ページ上部に戻る