フード・マイレージとは?Co2排出削減から考える地球に優しい生活ーアグリビジネス論Vol.6

フード・マイレージとは?Co2排出削減から考える地球に優しい生活ーアグリビジネス論Vol.6
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最終更新日:2022.03.08 公開日:2022.03.04

SDGs(持続可能な開発目標)が身近になり、地球温暖化を食い止めるための具体的な動きも活発になってきました。今回は「フード・マイレージ」を解説し、あなたにもできるCo2排出削減の行動をお伝えします。

目次

フード・マイレージって何?

フード・マイレージって何?

フード・マイレージとは、食糧の総輸送量に対して、距離を掛け算したものです。
例えば、北海道の千歳空港から東京の羽田空港まで飛行機で、北海道のお米1t(トン)を輸送したとしましょう。千歳空港から羽田空港までは約510マイル≒820㎞なので、この場合フード・マイレージは

1t×820㎞=820 t・km(トン・キロメートル)と表されます。

※実際は、千歳空港までの輸送距離や羽田空港から皆さんの食卓までの距離なども加算する必要があります。

この数字からわかることは、以下のようなことです。
① 食料の供給構造を物量とその輸送距離により把握することができる
② 食の安定供給 、安全性の確保(トレーサビリティ)の必要性がわかる
③「食」と「農」の間の距離の計測ができる
④ 食料の輸入が地球環境に与える負荷の把握ができる

例えば、皆さんがよく耳にする言葉としての「食料自給率」においては、距離という概念が含まれていません。「フード・マイレージ」を理解することで、遠くから食料を輸送していることによって二酸化炭素が発生し、地球環境に負荷を与えている、ということが分かります。

ちなみにこの「フード・マイレージ」という言葉は日本国内で作られた造語で、大元の考え方はイギリスにおける「フード・マイルズ」運動から来ています。それはFood Miles(食料の量×輸送距離)を意識し、なるべく地域内で生産された食料を消費することにより環境負荷を低減させていこうという市民運動です。例えばイギリスでは、有機食品の認証機関が、飛行機輸送を経た食品については有機認定を見直そうという動きもあります。環境に負荷を与えないようにする有機農業ですが、輸送の段階で大きな環境負荷を与えては意味がないという考え方です。

日本におけるフード・マイレージ

フード・マイレージをいかに理解するべきか

日本においてフード・マイレージはどのような状況なのでしょうか。
2020年9月に、食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会等の合同会議で示された資料によると、世界の国の中でも日本は群を抜いてフード・マイレージが高い(=食料を遠くから運んで消費している、すなわち環境負荷が高い)ことが分かります。
※資料引用元:食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会等の合同会議資料「フードマイレージ」について

日本において圧倒的にフード・マイレージが高くなる理由として、穀物の輸入が原因ということが、上記の図からわかるでしょう。麦、畜産飼料用のトウモロコシなど穀物の大部分を輸入で賄う日本においては、どうしてもフード・マイレージが高くなります。

一人当たりのフード・マイレージ

また、一人当たりのフード・マイレージに注目すると、韓国も一人当たりでは比較的フード・マイレージが高いことが分かります。これもやはり大豆や小麦などの資源を北米、南米の国に頼っている分、輸送距離が大きくなり、フード・マイレージが高くなってしまうことが理解できるかと思います。

しかし、パンやパスタ、ラーメンといった食事はすでに日本においては欠かせない食生活の一部になりつつあり、こういった食生活を続ける限りはフード・マイレージが高いまま推移していくことは避けられないものとなります。

資料の中で示されている「我が国の食料輸入に伴うCO2排出量」は、16.9百万トン、これは日本国民一人当たり約130㎏になり、これを削減しようとするととても難しい量です。例えば、夏の間の冷房時間を1時間短縮することを19年間継続して、やっと16.9百万トンになると計算されています(計算式は環境省チームマイナス6%HP 2007年度冬の「うちエコ!」を元にしている)。

フード・マイレージを下げるためには?

フード・マイレージを下げるためには?

フード・マイレージを下げるためには「地産地消」はもちろん、少なくとも「国産の材料を使っている食事を選んでいく」ことが大切になります。

例えば、埼玉県小川町で地元産大豆を使って豆腐5,000丁を作った場合、アメリカ産の大豆を使うことに比べてどのくらいCO2排出を削減できるかを計算した結果、CO2排出量は約400分の1(輸入に要するCO2排出量 245.9㎏⇒小川町産0.6㎏)、フード・マイレージについては約6,000分の一(同19,968t・㎞⇒3.4t・㎞)になることが分かりました。1丁あたりに計算すると50gのCO2削減効果になります。これは、先述した「夏の間の冷房時間を1時間短縮すること」に近い削減効果です。(短縮では約60g削減)

こうした地産地消の取り組みは、地元の経済活性化に効果があるだけでなく、地域の農業者への理解・活性化、食文化や伝統料理の継承、そして地球環境問題への理解度促進という高い効果が期待されています。

地球環境と農業のさらなる理解をするために

環境負荷が高いのは飛行機、次いでトラックの順となり、船や鉄道は環境には優しい輸送手段

しかし、地産地消でCO2排出量が削減できるように思えますが、実はもう少し考えておかなければならないことがあります。それは、その食品を生産するための環境負荷などです。説明してきたように、フード・マイレージは食物の輸送の距離に関連していますが、その生産された小麦や大豆の生産ではどのような環境負荷があったかを示しているわけではありません。

例えば、100kmの距離を運ぶ場合、何をもって輸送されたかによってもCO2排出量は変わります。二酸化炭素排出係数という指標では、もっとも環境負荷が高いのは飛行機、次いでトラックの順となり、船や鉄道は環境には優しい輸送手段です。

環境負荷をなるべく与えないで栽培した作物を、環境負荷をなるべく与えない輸送手段で外国から運んだ方が、日本国内で栽培して輸送するよりもCO2排出量は低くなる可能性もあります。また、その作物をなんらかの商品(例えば豆腐)として食べる場合、工場での加工(水やエネルギーを消費します)、パッケージにかかわる原材料(石油を使ったプラスチック包装材など)、そしてそのパッケージや食品残渣をごみとして処理することなど、ありとあらゆる場面でCO2排出が行われてしまいます。

国内では、新型コロナの影響で旅行者が減り、その対策として新幹線や飛行機に魚や野菜を乗せて遠くからでもすぐに運べるような新しい物流の取組を試しているものがありますが、これはあくまで空席率をカバーするための施策で、今後一般的になるかというと少し疑問が残ります。鮮度は大切ですが、もともと大量には運べないですし、かえって環境に負荷を与えていないかは今後検証されていくかと思います。

カーボンフットプリント

2050年までに温室効果ガスをなくして脱炭素社会の実現を目指す「カーボンニュートラル」に向けた取り組みとして、生産から最後の廃棄までに関わるCO2排出量を考慮した考え方で「カーボンフットプリント」という概念が登場しています。商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みです。
※説明引用元:CFP(カーボンフットプリント)とは

こうした取り組みは大企業の製品をはじめとして徐々に広がっていっております。スーパーに並ぶ大手企業の袋ラーメンやソーセージのパッケージに、そのカーボンフットプリントの数値を記したシールが貼られるようになってきました。

しかし、これは認知度が低く、他の商品と比較して何がいいのか?その数値はどのくらいだと良いのか?がわかりにくいので、消費者に浸透させていくにはまだまだ工夫が必要だと思われます。

大切なことは、やはり地産地消、少なくとも国産の野菜や果物、お米を食べることでしょう。お肉が食べたいときもあるでしょうが、健康も考えて魚も食べることを心掛けるのも一つかもしれません。(日本におけるフード・マイレージが高い原因は畜産の餌にあります。国産飼料の開発・生産支援も進んできていますが、まだまだ先の話のようです。)

またその中でも、生産において極力環境に負荷をかけないように配慮された有機栽培などの商品を少しずつでも日ごろの消費の中に加えていく、高めていくことが、我々ができる、地球にやさしい着実な環境対策だといえると思います。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。

ライター情報

  • Noumusubi
  • 片桐新之介

    フードビジネスコンサルタント。京都文教短期大学と吉備国際大学でフードツーリズム、フードビジネス論の講義もしています。得意分野はお酒と魚。百貨店食品部での経験を活かし、様々な面で農家や水産業者を支援。6次産業化プランナー、兵庫県マーケティングアドバイザー。まちづくりのコンサルも行っています。

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