中学2年生の虫博士Daiyaによる「あの人に会いたい!」東京⇄北海道どさんこ農業リモート対談

中学2年生の虫博士Daiyaによる「あの人に会いたい!」東京⇄北海道どさんこ農業リモート対談
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最終更新日:2021.07.05 公開日:2020.12.03

中学2年生の虫博士Daiyaがずっと会ってみたかった、農業家「ナツやさい」の佐野奈津子さん。今回は北海道と東京をオンライン会議でつなぎ、北海道の魅力から農業までお話を伺いました。

目次

約8割を占める砂糖の原料って?

こんにちは。虫博士Daiyaです!

今年も、農業活動でお世話になっている山梨県の早川町で、育てた大豆の収穫を迎えることができました。僕は東京から行って1泊したのですが、山に囲まれている土地で迎えた朝は、霜が降りて寒かったです。

寒い北国の大地で活躍している農家さんと言えば、農むすびライターの「ナツやさい」を経営する北海道のナッツさんこと佐野奈津子さん。まだ僕は、北海道に行ったことがありませんが、いつか訪ねて会いに行く!と心に決めている農家さんです。

 でも今年はコロナの影響で訪ねるのも難しそうなので、勇気をだして、リモートでのインタビューをお願いしてみました。

ナッツさんへ聞きたいことをお送りしたところ、すぐに取材OKの返事をくれて、とてもうれしかったです。
取材当日は、学校から早く帰って準備をしました。やはり、憧れの農家さんと話すのは緊張しました。

【Daiya】ナッツさん、本日はお時間いただきありがとうございます。後ろの写真は大豆ですよね。

【ナッツさん】そうです!よくわかりましたね。

【Daiya】偶然にも、僕は今月、大豆の収穫へ行ってきました。
その大豆の籾殻(もみがら)は、全部、堆肥(たいひ)に使うのですか?

【ナッツさん】そうです。実は、大豆を収穫した畑で、来年は小麦を収穫するために、すでに小麦が撒かれているんですよ。カラカラになっている大豆の下には、既に小麦の若芽が育っています。

【Daiya】もう撒いてあるのですか!

【ナッツさん】ええ、今すでに北海道では雪が降っているので、雪の下に小麦がいる状態です。秋まき小麦っていうんですが、秋に種を撒いて、ちょっと芽が出た状態のまま雪の中で冬を越して、雪が溶けたら、また緑の葉っぱが出てきます。

【Daiya】同じ畑に、小麦の次は大豆と、違う作物を植えるのには何か理由がありますか?

【ナッツさん】北海道では、畑作4品と言われる作物があって、大豆・小麦・ジャガイモ・ビート(砂糖の原料になる甘いカブ:てんさい)、その4つを4年ごとに回していく方法を『輪作』と言います。同じものを同じ畑で育てていくと、作物が欲しがる栄養が偏るから、畑の土の栄養バランスまで偏ってしまうのです。そうすると病気が出てきてしまう恐れがあるので、違う作物を植えて、畑のバランスを整えています。

例えば、大豆→小麦→緑肥という肥料になる葉っぱを植えたり、また次の春にはジャガイモを植えたり、ビートを植えたりして、輪作を行なっていくんですよ。

【Daiya】上手く計算して育てるのですね。そういえば、北海道には「ビート」という砂糖の原料があると聞いて驚きました。てっきり僕は、すべての砂糖が沖縄のサトウキビからできていると思っていたので。

【ナッツさん】サトウキビが有名なんですけど、北海道は面積がたくさんあり、今は北海道のビートが砂糖の原料の約8割を占めているので、多分、Daiyaくんも食べていると思います。

【Daiya】ええ!そんなに!!

【ナッツさん】このビートは、絞った殻が牛の餌にもなって、余すことのない北海道を支える野菜です。

【Daiya】調べてみます。

北海道の水の味は?

【Daiya】質問ですが、ナッツさんが農業を始めた理由は何ですか?

【ナッツさん】私は大学を卒業して、就職で東京へ行き、広告代理店系の営業職をしていました。それを2年弱で辞めて、そのまま東京で接客業を3年ぐらいやっていました。北海道には5年前に帰ってきましたが、その時はまだ農業をやっていなかったです。
北海道に帰ってきた理由は、「もうちょっと自然を近くに感じられる場所で生活がしたい」と思ったからです。そして「何か自分で考える仕事がしたい。北海道でも何かやりたい」と考え、ずっと探していました。なので農業とは全く考えていなかったんですよ。

ただ、実家の農家を継ぐことを考えた時に、「土地がある、マシンもある、農業をやってきた熟練者や経験者も私の近くにいる」このことが、私の中で財産に思えたのです。「何かしたいなら、それを活かさない手はない!」と思ったので、農業をやることにしました。正直に言うと、めちゃめちゃ野菜づくりが好きでという感じではなかったですね。

【Daiya】「財産を活かす」という決心が、すごくて尊敬します。うらやましいな、僕も農業を早くやりたいなと思いました。
次の質問です。ずっと気になっていたのですが、ナッツさんの記事に書いてあった、北海道の水は、どんな味ですか?

【ナッツさん】甘い!甘みがあって滑らかです。口当たりが柔らかくて、まろやかな感じですね。私の家の方は、湧き水で消毒もせずに飲める水は、結構、珍しいです。本当に美味しいですよ!

【Daiya】僕も飲んでみたいです!

【ナッツさん】そのお水でお米を炊いても味が違うし、味噌汁作っても味が違うし、コーヒーとかも全然味が違います。Daiyaくん、お水を飲みにおいで!

【Daiya】はい、北海道へ行く時に、ぜひお願いします。ナッツさんの野菜は、そのお水で育てているのですよね。

【ナッツさん】潅水(かんすい)と言って、ハウスものはすべて水を撒いています。水は有限ではあるのですが、そこから湧き水を引いているところは3軒ぐらいしかないので、うちは豊富に使っています。

ビンクの軽トラが映える!

【Daiya】ナッツさんが思う農業の大変なところと、好きなところは何ですか?

【ナッツさん】大変なところは、機械操作を覚えたりすることです。また、機械で収穫が出来ない野菜は、手作業で収穫をしないといけないので、とっても手間がかかります。
好きなところは、野菜に付加価値をつけるため、ピンクの軽トラで八百屋さん販売やSNSを活用して紹介できるところです。2年目になって、買ってくださったお客様から「これナッちゃんが苦労して採れたジャガイモなんだよ」と、食卓の中で話題になっているという声を聞いたりして、それがすごくうれしいです。日々、いろいろ試行錯誤してよかったと、その野菜が、ただのジャガイモではなく、「思い出になるジャガイモ」に変わってくれていることが、別の付加価値をつけられたなって思うことです。ちょっとずつ積み重ねているなと感じる、喜びがありますね。

【Daiya】すごい!いい話で感動しました。野菜を育てるだけでなく、食べてもらうための販売方法を考えて、「自家ブランド野菜」にする価値を高める挑戦や努力をして、「人」との出会いを大切にする。

とても勉強になります。ピンクの軽トラの話ですが、それは、ナッツさんのアイディアですか?

【ナッツさん】そうです!なんか、車を塗ってみたかった、やってみたかったと言うのもあります。八百屋をやる依頼や準備もしていたし、インスタ映えもするじゃないですか!あとはピンクの軽トラが通ることで、「ナッツのナツ野菜が通ったよ」と町の人が指を差してくれたり、話題になったらうれしいなと思って塗ってみました。

【Daiya】なるほど!ピンクに塗ったら目立つし、注目の的でインパクトありますね。

【ナッツさん】実は、水色にしようか、赤にしようか、ちょっとマットな黒にしようか、黄色にしようかとか、いろんな案はあったのです。だけど、北海道の景色は春夏秋冬でどんどん変わって、冬は白銀の世界、春になると緑の芽が出て花が咲き始め、夏は山々の新緑に青空、秋になると黄色や赤の紅葉、その四季の中で一番映える色って何だろう?また、街中とかグレーを背景にも走るので、その全ての場面で映える色は何だろう?って、考えた時に、ピンクしかない!同化しなくて目立つ色、かわいい色はピンクだ!と発見しけたんです。

【Daiya】確かに!そこを、よく考えるってポイントですね。

【ナッツさん】そう、ちゃんと考えたんですよ!あとは、ノリですね!

【Daiya】それは、自分で塗ったのですか?

【ナッツさん】そうです。自分で塗料と刷毛をサイトで探して、いい色のピンクを見つけました。できれば、レンジャーものがあるじゃないですか!ゴレンジャーみたいな感じで、周りの人が、いろんな色をやってくれたら楽しいのになって思っています。

【Daiya】僕だったら、青を塗ります!ナッツさんが農業のイメージを変えて、かっこ良くオシャレにできる部分を取り入れて、いろんな工夫をして楽しく仕事をすることに、僕も賛成です!

【ナッツさん】いいですね。メタリック系やいろんな青がありますから、やりましょう!

冬支度と獣害対策の準備

【Daiya】霜や雪の対策や冬支度は何をするのですか?

【ナッツさん】冬支度は、ハウスのビニールを全部はがして、骨組みの状態にします。ハウスって中が空洞のパイプでできているので、雪が積もると重みで潰れてしまうのです。

あとはジャガイモや玉ねぎとか、採った野菜を家の玄関にある「ムロ」という扉が開く場所に保存しておきます。家の中にいれることで凍らずに食べられます。
そして、私の実家は薪ストーブなので、夏の間に乾燥させた薪を小屋に運んで積む作業もありますね。

また10月中旬に入ったところで、ブロッコリーやキャベツとか寒い中でも採れる野菜が、霜にやられないように、お布団みたいに不織布より薄い「パオパオ」というシートを上にかけます。そうすると、あたたかくなるので霜にやられずに済むのです。

【Daiya】冬の前にたくさんやることがありますね。ちなみに、ナッツさんの記事の中に夏が好きって書いてありましたが、夏の好きな理由は何ですか?

【ナッツさん】まず景色が良いし、北海道の夏は、夜が涼しいです。そんな場所で、みんなで焼肉をしながら、飲んだり食べたりするのが好きですね。緑の香りって分かりますかね?山の香り、森の香り、私は、それが好きです。その香りを感じながら、野菜を育てられるのがうれしい。そして良い野菜ができたら、なおさらうれしいです。

【Daiya】素敵な場所の様子が伝わってきます。僕は虫が好きなので、ナッツさんと同じく、夏が一番好きな季節です。近くに、山や森があるのですか?

【ナッツさん】ここから1kmもないところ、すぐ近くにあります。虫もいるし、獣もたくさんいます。

【Daiya】鹿とか熊とかですか?獣害もあるんですか?

【ナッツさん】あります!今年の夏は、せっかく植えたブロッコリーの苗が100ぐらい鹿さんに食べられていました。レタスはウサギさんにやられていました。

【Daiya】ウサギ?

【ナッツさん】その足跡があるから分かるんですね。あと秋になると、トウモロコシとかスイートコーンを、狐が食べに来たりします。その他に、さっき話した砂糖の原料になるビートは熊が食べにきます。

【Daiya】えっ、熊!ヒグマですか?

【ナッツさん】ヒグマですね。甘くて美味しいから、抜いて食べるんです。荒らした跡が現場にあったりします。

【Daiya】怖いですね。それに関する対策は、どんなことしているのですか?

【ナッツさん】やはり網ですね。町の事業で畑の周りを全体的に沿うように張っています。ウサギとか狐は、どうしても入ってきてしまうので、その辺に関しては個人それぞれで網を張る対策をします。

【Daiya】なるほど大変ですね。僕が行っている山梨県の早川町でも同じように獣害対策をしています。でも柵にぶつかったり、ピョンと飛び越えたり、網を破ってしまったりします。

【ナッツさん】対策をしても、全部は難しいですね。熊の場合、網もワイヤーで作ったりしますよ。あとは、爆音機という機械があったり、銃のバーンという音を出す機械があったり、最後の手段として実はこの辺の農家さんはみなさん猟銃を持っています。どうしても荒らしてしまうときのために、始末をする資格を持っているという感じですね。

【Daiya】本当に熊とかに遭遇したら怖いですよね。

【ナッツさん】私は、生きているのを近くで見たのはないのですが、道路に土のついた足跡は見たことがあります。

【Daiya】熊とかの被害を聞いて、北海道の山ならではの話にビビります。

【ナッツさん】うかつに山とか入れないなって思います。

【Daiya】地元の方でもそうですよね。ナッツさん、本日は貴重なお話をたくさんありがとうございました。

冬を知らせる「雪虫」が舞う

「雪虫(ユキムシ)」という虫を見たことがありますか?
北海道では、雪虫の発生が冬の訪れを告げる風物詩とされているそうです。体調5mm前後で、おなかのところに白い綿のようなフワフワをつけて飛んでいます。実はこれ、アブラムシの仲間です。

夏に暑い日が続くと繁殖期間が多くなり、大量発生してしまうことから、一方で邪魔者扱いもされています。死骸が野菜に入ってしまうと、腐ったりカビが生えたりして廃棄につながる可能性もあるからです。また、大量の雪虫を吸い込んでアレルギーなどを発症する健康被害の危険性もあります。

雪虫の寿命は、なんと1週間!時期は10月中旬~下旬の間なのですが、暖冬の影響で今年は遅れたとテレビのニュースで取り上げられていました。ただ、雪虫が季節を感じるメカニズムについては、謎が多いようです。まだ科学的には解明されてない点もある虫たちが、小さな体で、人間にサインを送っている不思議なところも面白いです。

改めましてナッツさん、今回は、行ってみたい北海道の大自然や農業の話、ためになる話をたくさんしてくださり、ありがとうございました。とても楽しかったです。今度、ナッツさんの農園がある北海道へ農作業を手伝いに行かせてください。大好きな夏に、美味しい水を飲んでみたいです!それまで僕は、農業を深められる、いろんな挑戦をしてみたいと思います。

取材協力「ナツやさい」佐野奈津子さん:
https://www.instagram.com/natsuko.sano_natsuyasai/

編集後記

山梨県早川町で、国蝶であるオオムラサキの幼虫に出会いました。
食樹の「エノキ」を植えました。蝶の姿が見られる夏が楽しみです!

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :農家さん

ライター情報

  • Noumusubi
  • 虫博士Daiya

    虫や自然が大好きな現役中学生。生き物や自然が人に関係する農業の楽しさに魅了されています。現在は、生き物のことも大切にした農業体験へ参加して楽しく学んでいます。自然界の面白さや昆虫の魅力をお届けします。

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