超大玉極甘柿を狙って“攻める”!フルーツ王国福岡県うきは市のサクサク食感「太秋柿」はいかが?
サクサクのあま~い大きな柿こと「太秋柿」をはじめ様々な柿を作るのは、西見柿農園の西見夫妻。今回は夫の隼耶(じゅんや)さんに、お客様の「こんな柿は初めて!」を引き出す“攻め”のこだわりを伺いました。
フルーツ王国うきは市で3世代続く柿農家
――農家になるまでの経緯を教えてください。
実家が約65年続く柿専業農家で、20歳のときに家業を継いだ形になります。2歳上の兄がいるのですが、長男である兄は農家を継がず美容師の道を進みました。後継者がいない中、農作業が間に合わなくなっていたため、次男である僕に白羽の矢が立ったんです。高校卒業後、農業研究施設での2年間の研修を経て実家に就農しました。
当初はやらされている感覚でしたが、柿作りを覚えるにつれて効率よく作業が行えるようになり、毎年品質が上がっていくことに喜びを感じられるようになりました。
当時は、多くの人と同じように「農業ってちょっと格好悪いんじゃないか」というイメージを持っていましたね。でも今では楽しんで作業しています!
――ご家族で農業を?
僕と妻、両親と弟、パートさんで作業することが多いです。弟は元警察官で、野菜農家で働いた後、今はうちで柿作りの修行中です。
西見柿農園のInstagramでは柿だけでなく、僕の家族もたくさん登場しています!よかったらご覧ください。
まるで梨!?サクサク食感のビッグサイズ「太秋柿」
――どのような柿を作られているのですか?
太秋柿(たいしゅうがき)という一般的に皆さんがイメージされる柿とは一味異なった柿を作っています。「こんな柿は初めて見た!」と驚かれることが多いんですよ。
――「太秋柿」の特徴を教えてください!
太秋柿は「サクサク食感」で「大玉」、かつ高糖度でとてもあま~い柿なんです。
まるで梨のようなサクサクとした歯触りで、他の柿とは異なる食感を楽しめます。食感は梨に例えられることが多いのですが、僕たちは「まるで太秋柿のような梨」と逆に例えるようにしています。でも、梨の知名度の方が圧倒的に高く、残念ながら全然浸透していません(笑)。
糖度は20度ほどにまで上がるものもあります。また、芯がないので切りやすく、捨てる部分が少ないのも良いところです。大きく切って口いっぱいに頬張って、甘い果汁をたっぷり堪能してください!
また、お客さんが箱を開けた時に驚くほど「大玉」なのもポイントです。
一般的な柿(例:富有柿)の3Lと呼ばれる大きいサイズのものが約310gなのに対し、太秋柿はこれを軽く超えて500gほどになるものもあります。画像は生育中の太秋柿です。箱を開けた瞬間、見たことないような大きな柿にびっくりすると思いますよ!
太秋柿の生産量自体それほど多くないので、大玉サイズになるとスーパーに並ぶことは滅多になく、かなり珍しいと思います。
西見柿農園の太秋柿は、約380g以上の大玉をお届けします。箱のサイズに合わせて詰める際、全ての柿の大きさをそろえるが難しいため、箱の端には380g以上の柿を、中央には特に大きいものを入れるようにしているんです。そうすることで見た目のバランスも良く、贈り物にも喜ばれています。
また、太秋柿以外にも富有(ふゆう)、秋王(あきおう)、早秋(そうしゅう)、西村早生(にしむらわせ)といった様々な品種の柿を作っています。
今回楽天ファームで太秋柿の他に「早秋柿(そうしゅうがき)」も販売するのですが、早秋柿はなんといっても真っ赤に近い、鮮やかな濃いオレンジ色に美しく色づくのが特長です。画像からもわかるように、ブルーム※が少なくつやつやしており、見た目がとても華やかですよ。初めて見ると食品サンプル!?と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。果汁が多めのジューシーな柿が好きな方におすすめです。
※ブルーム…果物や野菜の果皮の表面の白い粉のように見えるロウ上の天然物質。熟した果実から自然分泌されるもの。
超大玉を狙って“攻める”!
――柿作りのこだわりを教えてください。
太秋柿はもともと大きくなる品種特性を持っているのですが、更に“攻めて”大玉になるように管理しています。これは、太秋柿だけでなく早秋柿や全ての柿で行っています。西見柿農園の栽培テーマは『一果入魂』!より大きくより甘く、一玉一玉を大切に育てているんです。
―― “攻める”とは?
西見柿農園では着果量を他の一般的な栽培方法よりもかなり減らして栽培しており、摘蕾(てきらい)と呼ばれる蕾を落としていく作業にいくつかポイントがあります。
1つ目のポイントは「柿専業農家だからこそできる早めの摘蕾」です。
早い時期に行うほど、蕾に養分が集中する時間が長くなるので実は大きくなります。柿の他にぶどうなど他の作物を複合的に作られている農家さんだと、柿の摘蕾時期がぶどうの繁忙期と重なってしまい、どうしても作業が遅れてしまうんですよね。
早期に摘蕾作業に取り掛かれるのは、柿専業農家の強みだと思います。
2つ目のポイントは「一度のタイミングにしぼった摘蕾」です。
一般的な他の柿農家さんは、2回に分けて摘蕾・摘果作業を行います。例えば春に一度行い、夏に仕上げ摘果といって最終的に残したい実以外を落としていく作業を行うんですよね。
西見柿農園の場合は、一度の摘蕾作業で思い切って一気に落としてしまうんです。
このように、早い時期に一度の摘蕾で将来の柿の実を厳選することが、西見柿農園の「大玉の柿」を狙った栽培方法のポイントなのですが、実はかなりリスクが高いんです。
というのも早い時期に作業を行ったり、最初から一気に蕾を落としたりしてしまうと、収穫できるまでに虫の被害に遭ったり、台風や雹などの自然災害に遭ったりする可能性が高まってしまいます。
また、生理落下といって剪定が良くなかったり樹の調子が悪かったりすると、樹が自ら実を落としてしまうこともあります。
昨年の早秋柿では、残しておいた実の内半分が落ちてしまいました。雨の量などが影響していると思うのですが、ハウス栽培ではなく露地栽培のため水分の調整がなかなか難しいんですよね。少しは諦めつつ、大玉を狙った攻めの姿勢はやめることなく、日々作業に取り組んでいます。
色づき鮮やか「樹上完熟」が絶対ルール
――他にこだわりはありますか?
大玉狙いの他に、樹上での完熟を徹底して完全に色づいてから収穫することにもこだわっています。
作業予定の兼ね合いや手間がかかるなどの理由で、樹上でしっかり色づくまで完熟させてから収穫することはなかなか難しいことではあるのですが、西見柿農園ではそこを妥協せず、しっかり樹上で完熟させてから収穫しています。
まだ青みが残る若い状態で収穫してしまうと、その後色づいて熟したように見えても、やっぱり食べた時に若干渋みは残っちゃうんですよね。
樹上完熟で収穫することで、渋みが残ることもありません。
また、実が大きくなる時期と実がオレンジ色に色づいていく時期が重なっているので、樹上完熟を目指すことで最後まで実を大きく育てることもできます。
こだわりゆえに、他の農家さんより収穫・発送時期が遅くなるため「まだ発送できないのか?」という催促されることもあります。
また、お客様に安心して召し上がっていただけるよう、農薬は必要最低限の使用で、除草剤は使いません。できるだけ使用しない方が土も良くなると思います。西見柿農園では園地のある場所ごとに毎年土壌診断を行い、肥料の量を調整しています。
どこを食べてもあま~い!おすすめ切り方をご紹介
――おすすめの食べ方はありますか?
そのまま召し上がっていただくのが一番美味しいと思うのですが、切り方にポイントがあります。
柿はくし形切りが一般的だと思うのですが、食べる部分によって甘くないということがあるかと思います。
一方で、太秋柿はどの部分を食べても甘いんです!そのため、それが感じられる切り方として「スライス」をおすすめしています。中心も端も全体に糖度がのっており、どこから食べてもサクサク甘く美味しく召し上がることができると思いますよ。
また全ての柿に当てはまるわけではないですが、早秋柿は2粒程度、太秋柿だと1粒程度しか種が入っていないので切りやすく食べやすいですよ。
――保存方法を教えてください。
太秋柿のお届け予定時期である11月頃だと常温で10日はもつと思います。長く保存したい場合は、ビニール袋に入れて冷蔵庫に入れてください。柿はへたで呼吸するらしく、濡らしたティッシュなどをへたに当てて呼吸を防ぐようにするとなお日持ちすると思います。
ただ、冷蔵庫内で冷風が当たり続けて凍ってしまうと果肉が透明になり柔らかくなってしまいます。そのため、なるべく常温で保管していただき、早めに召し上がっていただくのがおすすめです。
太秋柿も早秋柿も、熟すと他の柿と同じように柔らかくなってしまいます。早めに食べていただくのが一番良いと思いますが、もし熟しきってしまった場合は、へたの部分を切ってスプーンですくうようにして召し上がっていただくこともできますよ。
農業14年が見極める!選果のこだわり
――農業をしていて一番嬉しいことは?
贈答用の柿を箱詰めしているときが一番嬉しくなります。濃く色づいた大きく立派な柿を見ると、一年間の努力の成果が出ているようで心躍りますね。
実は、品質を見極める選果作業は全て僕一人で行っています。
皆が収穫したものを、丸一日かけて僕の目を通して選んでいるんです。一度の収穫で2トン、全部で5~6トンくらいを全て一人で見ていきます。
選果後のサイズ分けや梱包作業は皆で行っていますよ。画像では妻が箱詰めしてくれています!
――5~6トンをおひとりでチェックするのですか!?
はい。柿に生理障害(樹や果実自体の生理的異常により発生する障害)が起きているかは、慣れていないと分かりづらいんです。障害が発生していると、収穫したての時は同じような見た目の柿でも、翌日には既に柔らかくなってしまいます。へたの状態などを見ながら、悪そうだなというものはよけておき、一日様子を見て状態を確認するようにしています。
また、太秋柿は、品種の特性により「条紋(じょうもん)」と呼ばれるひび割れのような黒い筋が果皮の表面にできてしまうんです。この筋が多く入ってしまうと見た目が悪くなるので、そのようなものは「家庭用」としてお届けします。
実はこの条紋が入っている柿の方が甘くて美味しいという試験結果もあるらしく、「条紋は甘い証」なんですよ。贈答用も家庭用も、皮を剥いてしまえば味に違いはなく美味しく召し上がっていただけます。
農業は「必ず結果が出る」のが面白い!
――農業の好きなところを教えてください。
「結果が必ず出る」ところです。勉強すればするほど、畑を見て回れば見て回るほど分かることがあります。学んだこと、気づいたことを試してみて、次の年すぐに結果が出なくても、継続的に行うことで少しずつ必ず良くなっていくことが楽しいです。
農家は皆さん何かしらテーマをもって取り組まれていると思います。今年はこの害虫の予防をしよう、昨年はこの辺が病気にやられたな…など、結果を受けて対策をして、次の年につなげる。ちょっとずつ良くなるよう取り組む。作業を効率化させて、栽培面積を増やして…それで皆さん結果が出ていらっしゃると思います。
僕が就農した当時は、害虫が大量発生しており、4haのうち1haは「諦めている園地」だったんです。僕はそれが嫌だったんですよね。せっかくなら全て完璧に作りたい。そう思い、父親に相談して教えてもらいながら、ちょっとずつ工夫し続けてきました。今は4haから6haに栽培面積は増えていますが、どんどん良い柿ができています。面積が増えても14年も継続すれば良いものができる、実際結果が出ている。そこが農業の楽しいところだと思います。
――これからの西見さんの目標は?
まだまだ栽培面積を増やしていき、楽しんで儲かる柿作りをしたいです。
周囲には実家が柿農家の現サラリーマンという方が結構いるのですが、やっぱりなかなか「農家になる」踏ん切りがつかないみたいなんですよね。というのも、柿だったらある程度の面積を栽培しないと生活は厳しいのですが、今から農地を確保して広げるとなると、特にお子さんがいらっしゃるような方にとってはなかなか難しいのが現状です。どうしても「継ぐか、継がないか」は経済的な面の影響が大きい。
だからこそ、僕が金銭的な面で結果を出し「やれば儲かる」形を見せて、後継者候補を柿農家にしたいです。西見柿農園が柿農家をしっかり盛り上げて、「柿農家やりたい」と思ってくだされば良いなと思います。
あと、地味なイメージのある柿の地位を向上させたいです。今風のお洒落なパッケージを検討しているのですが、今は僕の奥さんの達筆手書き文字デザインで「西見柿農園」と書いてあります(笑)。
これからもこだわり続け、海外産に負けない圧倒的な高品質を維持していきたいです。
味も見た目も驚くこと間違いなしの西見柿農園の自慢の「太秋柿」「早秋柿」を是非お試しください。
◎西見柿農園のInstagramはこちら
◎西見柿農園の太秋柿・早秋柿は楽天ファーム楽天市場店でご購入いただけます!
編集後記
うちの柿はここが違う!この作り方にこだわっている!と盛りだくさんでお話してくださった西見さん、説明の比喩に柿ではない果物(梨はもちろん、パッションフルーツやパパイヤまで)がたくさん登場し、笑いが絶えない取材時間になりました。
梨のようにサクサク食感が楽しくて超大きくて超甘い柿!どんなものか想像できなかったのですが、西見さんの情熱とプレゼンの上手さにすっかり虜に。今年の収穫時期が待ち遠しいです。
- この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
- 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
- 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。