高知発オーガニックトマトは力強い味わい!有機トマト農家が「続く農業」の先で目指す未来とは?

高知発オーガニックトマトは力強い味わい!有機トマト農家が「続く農業」の先で目指す未来とは?
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公開日:2022.08.05

高知県でトマトやミニトマトなどのオーガニック野菜を作るのははるひ畑の杉本和也(すぎもとかずや)さん。農業や有機野菜の在り方に対して「違ってもいいのでは?」と話します。静かに燃える想いを伺いました。※有機JAS認証(転換中)を取得しています。

目次

高知県でトマトを作る有機農家

高知県でトマトを作る有機農家

――転職して農家に?
はい。以前はSEやプログラミングの仕事をしていたのですが、14年前の27歳の時に就農しました。現在は高知県の南国市と大豊町の2か所に圃場を持ち、トマトをメインににんじんや玉ねぎ、スナップえんどう、ほうれん草、ズッキーニ、さつまいも、じゃがいも、かぼちゃなどの野菜を作っています。これらは有機JAS認証(転換中)を取得して作ったオーガニック野菜です。

――農業をしようと思ったきっかけはなんですか?
小さい頃から自然が好きだったので、自然に関わることをしたいと思っていました。でも、親が農家というわけではなかったので、自分で実際に農業ができるとは思っていなかったんです。大人になり、「新規就農者という人たちがいる」「実家が農家ではなくても農業ができる」といった様々な情報を耳にしたり、本を読んだりと、農業にどんどん興味を持つようになりました。
あと、叔父さんがミニトマトを作っていたので、その楽しそうな様子に影響を受けて「僕もやるぞ!」となったのが大きいですね。農業の技術や知識は叔父さんから教えてもらいました。

「有機農業」を選んだのには理由

――「有機農業」を選んだのには理由が?
叔父さんが有機農業をしていたというのが一番大きな理由です。農業を始めた入口が有機農業だったので、慣行農業(化学合成農薬や化学肥料を使用する一般的な栽培方法)を知らなかったんですよね。もし知っていたら病気や虫が発生したときに「農薬かければ楽なのにな」ということもあったかもしれないです(笑)。
それを全く知らなかったこともあり、迷わず有機農業一択でした。

――ミニトマト農家の叔父さんが師匠だからトマト農家に?
そうですね、それが一番大きいです。
有機農業で新規就農するとなると、少量多品目栽培で野菜セットを販売するなど、色々な種類の野菜を少しずつ作る方が多いですよね。僕も最初は色々作ってみたのですが、難しくて…。
高知県の大豊町にある圃場は標高の高いところにあるので、平地より涼しいんです。そしてトマトは気温の高い平地の夏は暑すぎて作りにくい。大豊町がトマトを作るのにぴったりな環境だったこともあり、トマトをメインで作るようになりました。

エネルギーたっぷりトマトの秘密

エネルギーたっぷりトマトの秘密

――杉本さんの有機トマトの特長を教えてください。
大玉トマトもミニトマトも、甘さ、酸味、うまみのバランスが良いことが特長です。
そのためには「元気に育てる」ことにこだわっています。

――「元気に育てる」とは?
わざと水を与えずに糖度をあげるというトマトの栽培方法がありますが、それをうちではあえてしないようにしています。トマトをいじめて絞り過ぎるよりは、健康的にのびのびと育てたいんです。そうすると、単純に甘さだけではなく、酸味やうまみも出るんじゃないかなと思っています。

高知県はフルーツトマト発祥の地で、周囲のトマト農家さんはフルーツトマト作りに取り組まれている方が多いんです。それに対してうちのトマトは「高糖度」ではないですが、味わいのバランスの良さの面で美味しいトマトだと思います。

脇芽を取り除く作業

――他にこだわりはありますか?
残渣(作物を栽培した際に圃場に残る茎や葉などの植物体)を圃場の外に持ち出さず、全てすき込んで土に戻しています。例えば、脇芽を取り除く作業でも、取った脇芽は土の上に落として土に返します。そのため、画像のように昨年のトマトの残りから再び根を張り、芽が出ることもあります。
こうすることで土の中から出ていくミネラル分をできるだけ少なくしているんです。
また、これは特にこだわったわけではないのですが、トマトが育つ土が赤土であることもプラスになっていると思います。

赤土は、褐色で粘土質が高く、適度に水はけが良い

――「赤土」ってなんですか?
赤土は、褐色で粘土質が高く、適度に水はけが良いので、植物はわずかな水分を求めしっかりと根を張り、必要な養分だけを少しずつ吸収します。このような環境で育った野菜はエネルギッシュで美味しいと言われているんです。

また、高知県は日照時間が長く、南の方に位置していることから温暖な気候なのも強みだと思います。

加熱でうまみ倍増!農家直伝トマト料理

加熱でうまみ倍増!農家直伝トマト料理

――おすすめの食べ方はありますか?
どんな食べ方でも美味しく召し上がっていただけるのですが、僕は大玉トマトを加熱して食べるのが好きです。加熱するとよりうまみが増すんですよ。
シンプルに一口大に切ってフライパンで炒めるだけでもとろっとして美味しいですし、カレーやスープなど煮込み料理にも使えます。オリーブオイルと卵で洋風卵とじにしても良いし、にんにくと唐辛子を効かせたアラビアータも最高ですね。
ミニトマトはそのまま生で召し上がっていただくのが一番かな。

――すごい!色々な料理に展開できるんですね。
そうなんです。意外に何にでも使えますよ。
日本では「トマトを加熱する」調理方法は文化としてまだまだ根付いていないと思います。もっと多くの人に火を通したトマトの美味しさに気付いてほしいです!

「農業がしたい」多様な希望の受け皿に

「農業がしたい」多様な希望の受け皿に

――杉本さんが思う農業の良いところは?
基本的に外で作業を行うので、四季や日の傾きで一日の時間を感じられるところです。サラリーマンだと、建物の中で仕事をしていたら、一日中太陽を見ることもなく、仕事終わり外に出たらもう太陽が沈んで暗くなっている…なんてことが当たり前ですよね。農業は朝日を見て、夕日を見てと自然に時間の変化を感じることができます。

――若い方も働かれていますね?
そうですね、はるひ畑には20代から60代まで幅広い年代のスタッフが約10名います。僕が高知県で農業法人を立ち上げたのは、もちろん規模が大きくなり人手が必要になったという面もあるのですが、山間部に雇用を生み出したいという気持ちがあったからでもあります。
例えば、圃場の一つがある高知県大豊町は、町内で若い人が働こうとなると、働く場所が役場か社会福祉議会くらいしかないような過疎地なんですよ。すごく選択肢が限られているでしょう?働く場所がなければ、人はどんどん外に流れ出てしまう。逆に働く場所があれば、働く人が増えるかなと思ったんです。
農業界は高齢化が進み、辞めてしまう方も多いですが、田舎に仕事を作ってそれが継続できるよう、チームで農業ができたら良いなと思っています。

――スタッフには「将来独立して農業をしたい」という人も?
もちろんいますが、人それぞれ考え方やペースは違います。農業というと自営業なので、初めは雇用という形で農業をしていても、最終的には独立して起業するというイメージがあると思います。でも、農業はしたいけれど独立して自分で経営するまでは…という人ももちろんいるんですよね。はるひ畑が、色々な形の「農業がしたい」と思う人たちの受け皿になれたらなと思うんです。

杉本さんが考える「続く農業」とは?

杉本さんが考える「続く農業」とは?

――農業をする上で大変なことはありますか?
もちろん有機栽培をする上で病気や虫にやられることはあるのですが、そこまで大変に思うことはないですね。
僕自身、バランスが良いのかなと思います。

――「バランスが良い」とは杉本さんの性格ですか?
そうですね。こだわりすぎず、こだわらなさすぎないというイメージでしょうか。
例えば栽培方法でも、こだわりすぎるとコスト度外視になってしまうので、継続することが難しくなります。かといって、大雑把に取り組んでいてもうまくいきません。
僕は自分が「これが良い」「これが正しい」と思っていることでも、新しい情報や知識で覆ることが絶対あると思っているので、こうだ!と決めつけることはしないようにしています。「この堆肥を使っているから絶対美味しい野菜ができる」というように決めつけてしまうとそれ以上成長はできません。
こだわるところと控えるところのバランスがちょうど良く、柔軟に考えられるところがここまで農業を続けることができた理由の一つになっていると思います。
農業=独立して起業と決めつけず、「農業をしたい」という多様な想いを持つ人を受け入れているのも、この考え方からですね。

なんやかんや必死でやっているうちにいつの間にか続いていたという感覚もあります。運が良かったのもあるかな。

オーガニックが“普通”になる未来

オーガニックが“普通”になる未来

――杉本さんのこれからの目標を教えてください。
最終的には人に任せて引退したいです(笑)。というのも、今は様々な業務に追われているのですが、栽培にもう一度力を入れたいなという想いがあります。
今は忙しすぎてできていないのですが、自分が学んだことや得た知識を最大限に使って、栽培面でもっと試行錯誤したいですね。そのためにスタッフの育成にも力を入れたいです。

――5年後、10年後の日本の農業はどうなっていってほしいですか?
慣行農業が全て悪いとは思わないのですが、環境や人体への害が懸念されている有機リン系やネオニコチノイド系の農薬はなくなっていけば良いなと思います。
そのためには、オーガニックが「特別なもの」である現状を変えたいです。例えば、一般的なスーパーの青果コーナーに置かれているにんじんや玉ねぎなど家庭の定番野菜を有機野菜にしたい。普段使いの野菜こそ有機栽培で作られたものにしたいという想いがあります。

有機野菜は他の野菜と比べて高価格ですよね。というのも、有機栽培をしている農家は色々な品目の野菜を少しずつ作って、「オーガニック」という付加価値をつけて販売している方が多いです。でも実際のところ、栽培品目を増やすとコストがかかってしまう。有機野菜の価格が高くなってしまうのは、有機栽培自体にコストがかかるからではなく、この栽培品目の多さ故の部分もあると思います。逆に品目を絞ってたくさん生産できれば、抑えた価格設定にできますし、普通のスーパーに有機野菜を置くことも十分狙えると思うんです。

今の有機野菜は、健康意識や環境配慮意識が高い人、経済的な余裕がある人向けになってしまっていたり、お中元やギフト用になってしまっていたりとまだまだ「特別」なものなんですよね。
中々難しいですが、健康や環境も全然気にしていないような、普通の人が手に取るものが知らないうちにオーガニックになって、そのような人たちの健康を人知れず支えていけたら良いなと思います。

オーガニックをもっとスタンダードに!そんな想いを込めて育てたトマト、ミニトマトを気候穏やかな高知県よりお届けします。太陽の光をたっぷり浴びた力強い味わいを是非お試しください。

◎はるひ畑のトマトは楽天市場で購入できます。

編集後記

有機野菜に対するイメージ、農業に従事することに対するイメージ、生産者を目指す人にとっても、有機野菜を生活に取り入れたい人にとっても、どれもハードルが高くなってしまっている現状があります。それに対して「決めつけなくていい」「違ってもいい」と話す杉本さんは、ご本人が「柔軟だ」とご自分の性格を分析される通り、農業、そして有機農業を多角的に見ていらっしゃいました。そんなはるひ畑さんの有機トマトはある意味“普通の”トマトなのだと思います。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :農家さん

ライター情報

  • Noumusubi
  • 額見奈央

    楽天農業株式会社の2020年新入社員。石川県生まれ、奈良で学生時代を過ごして、愛媛にやってきました。「人にも環境にも優しく、人のつながりが生まれ続いていく」そんな地域に根差した農業を目指しています♪女子大出身・農業未経験女子だって農業ができることを発信していきます。

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