皮ごと食べても安全な国産バナナ!家造りのプロが岡山の新名物に見据える「幻のバナナ」とは?
岡山県笠岡市で農薬不使用のバナナを栽培するのはプランターファームの小堀秀男(こぼりひでお)さん。なんと建設会社も営む二刀流農家!小堀さんが作るのは「幻のバナナ」。幻と呼ばれる理由を伺いました。
二刀流で追い求める暮らしの安全性
――農業と他のお仕事もされているとか?
はい、建設業と農業の二刀流です。農家である前に建設業者なんですよ。建設業では、住宅の安全性を考えて、住む人が健康で過ごせる家造りを目指しています。衣食住という言葉がありますが、建設業で「住」の安全性を考える中で、「食」の安全性も考えなければいけないなと思ったのが農家になったきっかけです。安全安心なものを作らなければいけないという思いから、農薬を使わないバナナ作りを始めました。
――果物王国の岡山で「バナナ」を選んだ理由は?
他の農家さんが作っていないものがいいかなと考え、バナナを選びました。岡山県笠岡市にはぶどうやいちごなど、果物や野菜を作る農家さんがたくさんいらっしゃいます。農業について何も分からない新人が、先輩農家さんと同じものを作っても追いつくことができないでしょう?昔ながらの熟練農家さんの邪魔にならないようにと考えたんです。
――大きなハウスがたくさん!
バナナ作りのために大きなハウスを建てました。建設業者なのでハウス建設はお手のものです。餅は餅屋ですね。最近は国産のバナナがだいぶ増えてきたとは思いますが、まだまだ珍しいと思います。
流通量0.01%!?幻のバナナとは
――どんなバナナを作っているのですか?
「グロスミシェル種」という品種のとても珍しいバナナを作っています。実はバナナには色々な種類があり、大きいバナナ、小ぶりなバナナ、赤いバナナなんてものもあります。その中で、このグロスミシェル種のバナナは、一般的なバナナと比べると小ぶりなのですが、華やかな良い香りでとにかく甘い!甘いだけではなく、やや酸味も感じられて後味がすっきりしているんです。「幻のバナナ」と呼ばれることもあります。
――「幻のバナナ」…その理由が気になります。
今は世界で流通しているバナナのほとんどがキャベンディッシュ種という品種ですが、まだバナナが高級フルーツだった昭和初期はグロスミシェル種が主流でした。ところが、1950年代にバナナの病気が流行し、1960年代にはこのグロスミシェル種はほぼ全滅してしまったんです。
それから、スーパーなどで見かける日本人にとってお馴染みのバナナは外国産のキャベンディッシュ種となりました。反対に、現在グロスミシェル種の流通量は約0.01パーセントといわれています。これが「幻のバナナ」と言われる理由です。
――そんな幻のバナナを「農薬不使用」で?
そうですね。実は、虫の被害など大変なことはそれほどありません。なぜかというと、バナナは熱帯生まれの植物なので、日本のような温帯にはバナナにとって悪い虫があまりいないんですよ。もちろん熱帯地域にはいない虫がつくこともあるので、見つけたら捕まえてハウスの外に放しています。
外国産のバナナは木全体に農薬を撒いたり、花が咲いたら一つずつに農薬を撒いたりしますが、日本で作る私のバナナは農薬を使いません。
――皮まで食べられるのですか?
はい、農薬を使っていないので、皮ごと食べられるほど安全安心です。でも美味しくはないです(笑)
お試しで皮ごと輪切りにして食べてみるのが良いかもしれません。皮と実で食感の違いが楽しめますし、皮の栄養をとることができますよ。
有機肥料をたっぷり使い、ミネラルを与えて美味しいバナナを目指しています。
BBQのデザートに「炭火焼バナナ」はいかが?
――食べ頃の目安やおすすめの食べ方を教えてください。
シュガースポットと呼ばれる茶褐色の斑点が出てきたら食べ頃…とよく言われていますが、これは好みですね。
シュガースポットが出てくると糖度は上がりますが、果肉は柔らかくなる。柔らかい果肉が苦手だなという人がいるでしょう?糖度より硬めの果肉の食感を楽しみたい方は、皮がまだ黄色のうちに食べるのがおすすめです。食べ比べて、好きな味と食感のバランスを探してみるのも楽しいかもしれませんね。
食べ方では、冷凍して牛乳と一緒にミキサーにかけてジュースにするのもおすすめです。後は、炭火で焼くのがまた美味しいんですよ!
――「バナナの炭火焼き」ですか!?
はい、より甘くなるんですよ!作り方は、まだシュガースポットが出ていない黄色いバナナを皮付きのまま丸ごと炭火でじっくり焼きます。湯気が出てきたくらいのタイミングで皮を開く!とろっとする一歩手前のような食感で、食べてみたら美味しかったんです。
行楽シーズンにバーベキューをして、デザートに作ってみてはいかがですか?
農業は人間の力ではどうにもできない!建設業との違い
――建設業と農業…違うところは?
農業はいくら私たちが徹夜しても思うように育ちません。逆に、建設業は徹夜して残業をすれば工事作業は少しでも前に進みます。
「おおきゅうなれ!おおきゅうなれ!(大きくなれ!大きくなれ!)」と言っても農産物は大きくなってくれない。本当に自然、天候任せで、私ら人間の力ではどうにもできないのだなぁと思います。
あと、建設は完成したら建物という形が残りますが、農業はお客様の元に届いて食べてしまったら形には残りませんよね。
だけど、ものを作るという部分では一緒です。愛情をかけたらかけた分だけ応えてくれるのかなぁと思います。形には残らないかもしれませんが、岡山のプランターファームのバナナを食べた!という思い出に残るといいですね。
――農業をしていて嬉しい瞬間は?
バナナを食べていただいたお客さんから美味しかったよと言われることが嬉しいです。建設だったら、完成した建物が成果ですが、農業は食べていただいた人からの感想が成果。お客さんから感想をいただくときが一番嬉しい瞬間ですね。
プランターファームのバナナのレビューをお待ちしています!
岡山県の自慢の一品を目指して
正直、こだわった農業を始めて思うことは、なかなかお金儲けにならんなぁ、余裕ができんなぁということです。皆さんどうしても安いものばかりに目がいって、農家が毎日休憩なしで一生懸命作ったものは高いと言ってなかなか手に取らない。同じ作り手で、同じ作り方で、同じ品質のものだったら安い方が良いんですよ。でも、全て同じではありません。「ええもんはええんじゃ」「安全安心なんじゃ」ときちんと伝えて、消費者が見直してくれるようになったら良いなと思います。価格が安いものに対しては「作る労働力にはどれくらいの給料が支払われているのだろう?」と考えてみたり、価格が高いものに対しては「どんな人がどんな方法でどんな想いを込めて作っているのだろう?」と考えてみる。そういった商品の“向こう側”をみてほしいです。
――小堀さんの未来の展望を教えてください。
プランターファームのバナナが笠岡市の名物や岡山県の名物になったら良いなと思います。
岡山県笠岡市は、農産物はもちろん、海が近くて魚が美味しい町です。また有人島が7つもあり、岡山県で島が一番多い町でもあります。プランターファームのバナナを、そんな笠岡市の自慢の一つにしたいです。地元の人にもたくさん食べていただきたいですし、地元の人が市外や県外に出るときに、お土産として選ばれるようなものを作りたい。
一人でも多くの人に食べていただきたいので、プランターファームのバナナは個包装にこだわっています。ちょっとしたプレゼントやおすそ分けもできますよ。
食の安全性を考えて真心を込めて作った極上の幻バナナを是非お試しください。
◎プランターファームの「幻のバナナ」は楽天ファーム楽天市場店でご購入いただけます!
編集後記
岡山弁をまじえながら優しく語る小堀さんが「安さばかりに目がいってその向こう側を見とらんでしょ」と仰ったとき、なんだかハッとしました。私たちの手元に届くまでに、食べ物はもちろん全てのものに背景があり、多くの人が関わり、そしてその関わった人の数だけ想いがあります。特に食べ物は私たちが毎日必ず手に取るもの。日々アンテナを立て、買い物する前に立ち止まってみるだけで昨日まで手にしていたものが全く違うものに見えてくるかもしれません。そんな小堀さんのご趣味はベランダキャンプとのこと!炭火焼バナナの誕生の瞬間が見えた気がしました。
- この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
- 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
- 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。