親子みたいな師弟農家!愛媛の里芋「女早生(おんなわせ)」と農家女子を育てる師匠の話

親子みたいな師弟農家!愛媛の里芋「女早生(おんなわせ)」と農家女子を育てる師匠の話
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2020.10.29

愛媛県大洲市で里芋や大根を育てるエレファントファームの【右】水本公三(みずもとひろみ)さんと農業女子の【左】村元有紀(むらもとゆき)さん。血縁を超える絆で支え合う、師匠と弟子の話を伺いました。

目次

農家になる「覚悟の選択」と「えいや!な選択」

――農業を始めたきっかけを教えてください

水本師匠:40歳の頃、勤めていた会社で本格的に農業に携わるようになったのがきっかけですね。元々、実家が兼業農家ではあったのですが、高校卒業後は、色々な仕事をしました。例えば、電話の回線、防水事業、鉄鋼業、精密機器の取り扱い、そして酪農もしました。そんな中で、会社の方針と自分の体調について相談をする年齢のタイミングも合って、よし、農業を本格的にやってみるか!と覚悟を決めました。過去の仕事の経験が農業に活きるので楽しいですね。

村元さん:私は友人の紹介で農家になりました。都内の農業高校を卒業した後、東京でOLをやっていたのですが、日々同じことの繰り返しでモヤモヤしていました。そんなとき、気晴らしに友人と愛媛県へ旅行に来たんです。そこで突然、この農園で働けるご縁をいただきました。とてもワクワクして内心では即決だったのですが、一旦落ち着いて考えようと、まずは東京へ帰っていつもの生活に戻りました。しかし、やっぱりエレファントファームで農家をやりたい!えいや!と選択をしました。

師匠の心配と弟子の順応力

水本師匠:最初は、か細い女の子が来たらどうしようと心配していました。うちに来てくれる気持ちはうれしかったのですが、自分自身が農業は危険な仕事であることを痛感しているので、その覚悟を持っているのかと不安だったんです。しかし彼女に会ってみたら、割としっかりしていて(笑)、この子なら大丈夫だなと思いました。また彼女のご両親も挨拶に来られて、家族全員がこの子を応援しているんだとわかったので、しっかり預かろうと決めました。

村元さん:最初にお会いした時から、物腰が柔らかくて優しい人です。水本さんを頼りにする周りの住民や友人の方々がたくさんいるのも、水本さんの人柄の良さだと思うんです。いつも一緒に行動している私にも色々話しかけてくださって、本当にいい師匠に恵まれました!農家として地域の方と触れ合う中で、井戸端会議がどんどん楽しくなってきています。

何でもチャレンジする農業女子!師匠の支えにも

村元さん:農家になって2年4カ月になりますが、今は一人で作業できることが増えて、軽トラックや管理機(農業で使う機械)、トラクターの操縦もスムーズにできるようになりました。
最近では、軽トラに機械を固定する紐の縛り方もマスターしました。師匠に教えてもらうことも多いですが、まずはやってみよう!という気持ちを大事にしています。

水本師匠:就農当初からそうですが、彼女は自分で考えて色々チャレンジしてくれます。危険な作業や機器のメンテナンスなどは、事故にならないよう厳しく注意しますが、しっかりそれを吸収してくれるので安心できます。私も歳をとり、だんだん体が追いついてこない時があるのですが、それを察して動いてくれますし、私ができない事務作業やパソコン・スマホの使い方など、裏方の仕事もやってくれるので、いつも助けてもらっています。

みんな大好き!おかわり続出の里芋コロッケ

――愛媛の里芋「女早生(おんなわせ)」のおすすめの食べ方を教えてください

村元さん:それはもう里芋のコロッケです!なかでも水本師匠の奥さんが作ってくれるコロッケが絶品で、大好きです。師匠と一緒に自分で育てた愛情たっぶりの里芋なので、なおさら食べちゃいますね。他には煮物もおすすめです。味が染み込んだ里芋は本当にたまりません。

水本師匠:私も里芋コロッケですね。大好物です。私だけでなく、孫や幼い子供にも大人気で、みんなお代わりをねだるくらいにバクバク食べてくれますね。しかも、他の里芋ではなく、エレファントファームの里芋の時だけ、ここまで食べてくれるんです。里芋は子供には人気のない食べ物と思っていたのですが、うれしいですよね。

村元さん:リピートしてくださるお客様もうれしいですね。契約栽培でも今年だけで2回注文してくれる方がいらっしゃいました。あと、お届けしたお客さまからオリジナルで作った里芋料理の画像やコメントをくださると、本当にありがたいですね。

水本師匠:今年はコロナの影響で自粛中ですが、愛媛県大洲市には「いもたき」という食文化があります。秋に河川敷で里芋が主役の鍋をみんなで楽しむんです。私たちが作る里芋「女早生(おんなわせ)」という品種は、独特な粘りととろけるような食感でこの芋炊きでも大活躍です!溶けすぎないように、上手に火を通すのがポイントですね。

この地域は、高品質な里芋を作る条件を満たしています。すぐ近くを流れる「肱川(ひじかわ)」は昔から何回も氾濫を起こし、川の砂を農地に残してきたそうです。この川の砂が水はけが良くて、水持ちの良い土壌を好む里芋にぴったりで、病気を防いでくれる最高の土壌なんです。

農地からお客さまのもとに届くまでも気持ちを込めて

村元さん:農作業は、午前7時~12時と、午後13時~18時にしています。ただ夏はとても暑いので、早朝や夜遅くにシフトして作業をします。

水本師匠:農作業は役割分担をしてやっています。里芋に関しては、私が葉っぱと茎を刈り取る担当で、彼女がスコップで掘り返す担当です。里芋の作業を午前中にやって、昼を挟んで午後からは他の作物の作業をします。

村本さん:農地以外の作業は、助っ人マン(水本さんのご家族)と一緒にやっています。里芋の泥を落とすときも、お客さまの手元に届いたときに喜んでもらえるよう意識をしています。お送りする段ボール箱には、自分で作った手紙を入れたり、特製のスタンプを押したり工夫をしています。自信作の里芋ですから、愛情も伝わるように発送しているんですよ!

水本師匠:本当に、よ~色々考えてやってくれるな~、と関心してます。

弟子がやりたいこと、師匠がやっていること

村元さん:これからは、自分が満足できるレベルの作物を作り抜いていきたいですね。農業高校の出身なんですが、実際に農家になってみると、思い通りにならないことばかりです。だからこそ水本さんの力をお借りしながら、胸を張れる作物を育てていきたいと思います。

水本師匠:私は次世代、次々世代が農業を続けられるような未来を作っていきたいです。その地域にあった作物を、いかにうまく作れる人を増やしていくか?そもそも、その地域に合った作物を見極められるのか?その目的は食っていける農家を増やすことです。その実現に向けて、農業にもっと明るいニュースが届けられるように、これからも頑張ります。

編集後記

後継者不足、未経験からの就農、地方への移住など農業は様々な課題を抱えていますが、今回の取材を通じてお二人の姿が課題解決のヒントになるのではと思いました。村元さんの活発さと、水本さんの覚悟と懐の深さ。まずは行動をすることが大事だ!と勇気をいただきました。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :農家さん

ライター情報

  • Noumusubi
  • 谷口智紀

    楽天農業株式会社の農業サポート部。給食の献立表にワクワクした幼いころから、食への執着はとまらず、大学で農業に対する好奇心へと変わっていきました。愉快な生産者さんや仲間と一緒に、仕事やプライベートでも、農業への想いを発信していきます。美味しい人生送りましょう。

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