中学2年生の虫博士Daiyaによる「あの人に会いたい!」東京⇄沖縄めんそーれ農業リモート対談

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最終更新日:2021.07.06 公開日:2020.10.15

中学2年生の虫博士Daiyaがずっと会ってみたかった、農業家ナンクルナイチャ~吉見真一さん(沖縄農村事務所)。今回は沖縄と東京をオンライン会議でつなぎ、沖縄の魅力から農業と教育までお話を伺いました。

目次

リモートインタビューの提案

こんにちは。虫博士Daiyaです!
僕は、実際に農業の現場で実践している人の話を聞くのが好きです。だから、農むすびライターの沖縄農村事務所のナンクルナイチャ~吉見真一さんをいつか訪ねて会いに行く!と心に決めていました。

実は、僕のルーツは沖縄にあって、毎年夏休みには沖縄へ行っています。母が沖縄出身で、お祖父ちゃんが沖縄に住んでいるんです。でも今年は、コロナの影響で、沖縄へ行くことができずに夏が終わってしまいました。そして同時に、沖縄で活躍する吉見さんへ会いに行く予定も流れてしまいました。

そこで勇気をだして、リモートでのインタビューをお願いしてみました。

吉見さんへ聞きたいことをお送りしたところ、すぐに取材OKの返事をくれて、とてもうれしかったです。

取材当日は、母とはりきって準備をしました。想像以上に自分が緊張していたことに驚きました。

沖縄で育てる農業の魅力

【Daiya】吉見さん、本日はお時間いただきありがとうございます。早速ですが質問です。
大阪出身の吉見さんが沖縄に惹かれた理由は何ですか?

【吉見さん】海が近い、台風がある、やはり自然豊かっていうのが沖縄のイメージです。実は、僕も親が沖縄出身なんですよ。小さい頃から、お祖父ちゃんが沖縄に住んでいることで、すごく憧れがありました。

その当時、今から30年前だと飛行機の料金が高くて、大阪から沖縄まで10万円くらいかかりました。そうなると簡単に行き来はできません。沖縄へ行くのは海外旅行と同じくらいの感覚がありました。
そんな中、1度だけ小さい頃に沖縄へ連れて行ってもらった時、自然との触れ合いや、海が近いのが印象的でとてもいいと感じました。それが沖縄に惹かれた理由です。

【Daiya】吉見さんのルーツも沖縄にあるんですね。僕との共通点や共感できるところが、たくさんあって、ますます沖縄に行きたくなりました。

次の質問ですが、沖縄に移住して驚いたことは何ですか?

【吉見さん】沖縄に移住してきて一番驚いたことは、みんな下の名前で呼ぶことでした。「吉見さん」ではなくて、「真一」って呼んでくれるんですよ。だから沖縄の人はフレンドリーだなと温かみを感じました。また、人付き合いが濃いと言うか、地元愛が強く土地に愛着を持った人が多いので、うらやましいなと感じます。

あと、お城が多い!東京ドームと同じ位の面積の城が20個くらいあるんですよ。日本で言うと戦国時代やそのちょっと前の時代に、こんなに小さな島で城を作る技術があったのだなと、すごく驚きました。

【Daiya】そうなんですね。吉見さんに言われるまで、下の名前で呼ばれることを僕は不思議に思わなかったのですが、確かに東京では苗字で呼ばれることに気がついて面白かったです。

害虫対策と台風対策

【Daiya】今年は台風が10月にも来ましたが、台風対策は、どんな事をするのですか?

【吉見さん】台風は3つの方法で台風対策をしています。

(1)普段からの対策

台風は必ず沖縄に来ますので、普段から場所を守る対策をしています。
具体的には、畑の周りに風を避けるような木を植えます。有名なのが「フクギの木」で、防風林として畑を守ってもらいます。あとは暴風ネットを立てたりします。

沖縄では、そこまで台風被害が出ないんですよ。
なぜかというと、沖縄の人はもともと台風の対策をしているからです。家もコンクリートで台風に強い作りにしていますし、農業も当たり前のように対策をしています。

(2)台風直前の対策

台風が近づいてきたら、紐でとにかく結ぶ!あらゆるものを紐で結ぶ対策をしますね。ハウスバンドというものが農業にはあり、ビニールハウスも飛ばされないように縛っていくという作業をしています。

(3)台風後の対策

台風が去ると、塩水とか風の被害が残ります。どうしても風で植物が弱るんですよ。それと沖縄に住んでいる人がよく経験するのが、車が潮風でサビてしまうことです。台風の後というのは、相当な塩が海から飛んでくるので、塩水を流してあげる作業をします。

 

【Daiya】沖縄の台風が大変なことは知っていましたが、直前だけでなく、普段からと、台風が過ぎたあとも対策が必要なのですね。

台風の他に、害虫の対策もしていると思いますが、マンゴーやパイナップルにつく虫は、どんな虫ですか?その対策は、どんな事をしていますか?

【吉見さん】マンゴーやパイナップルにつく虫は、スリップス、アザミウマ類、ダニ類、ハダニって言われるものや、最近困っているのがバッタです。他に貝殻虫もいますけれど、一番、気になるのは「キドクガ」とかです。

その対策は、虫の中でも肉食と草食があるから、食物連鎖のサイクルをイメージしています。
キドクガを食べてくれる虫はカメムシ、カメムシを食べてくれる虫はカマキリとかヤモリ、そういうサイクルが上手く流れるには、どうするのか?を意識しています。

これを「天敵栽培」っていうのですが、天敵をどうやって呼び寄せるか?というと、「バンカープランツ」という、虫をおびき寄せてくれる草や植物を、わざと植えてあげるんです。だから栽培するハウス全体を、マンゴーの島というか、そんなイメージを持ってやっています。

【Daiya】吉見さんのマンゴーの島、行ってみたいです。
虫の対策に植物を植えるというと、僕が以前の記事で紹介した「コンパニオンプランツ」は、来てほしくない虫を、その虫が嫌う植物と、その虫が来ちゃう植物で誘導する方法でしたが、バンカープランツの「天敵をおびき寄せる」という発想は斬新で、すごいなと思いました。

【吉見さん】昔は、バンカープランツなどの研究者はバカにされることがあったんですけど、今は自然に優しい栽培方法がフィーチャーされてきて、コストもかからないという研究結果が出ていたりするんですね。

そうだ虫博士のために畑から持ってきましたよ。これ何だかわかりますか?

(Zoomのカメラから吉見さんが見せてくれた袋に入った虫)

(Zoomのカメラから吉見さんが見せてくれた袋に入った虫)

【吉見さん】これが、マンゴー農家を困らせているキドクガの幼虫です。今、大発生中です。トゲがあるので、刺さると手がかぶれたり、タオルとかにもトゲがつくと、それは、もう痛くて大変です。

【Daiya】ええ!それでも農薬を使わずに、虫対策も手作業で行い、天敵栽培という自然のサイクルを大切にしている吉見さんを尊敬します。吉見さんの「マンゴーの島というイメージ」という言葉に、僕は、吉見さんが楽園を作り守っているように感じました。

「農業×教育」=遊ぶ

【Daiya】農業大学で面白かったことは何ですか?

【吉見さん】僕が農業大学に行ったのは、実は、28歳です。だから10歳年下のクラスメイトと一緒に学ばせていただいたのですが、やはりジェネレーションギャップも面白かったし、何より視察をすると僕しか喋らなくて、僕ばっかり質問できたので、すごく楽しかったです。

農家さんに「どういう栽培をしているんですか?」「どこに出荷しているんですか?」とか、学生なのでズバズバ聞けたんです。もう、年齢は大人ですけど、学生という身分を使って、いろんな質問をさせていただいたのが一番、面白かったと思います。質問をすることで、答えてくれる人のことも想像しながら質問をするっていうことを、そこで学べたことが、すごく良かったと思っています。

【Daiya】吉見さんの書いた記事にあった「農業×教育」なのですが、もし、吉見さんが学校の先生だったら、どんな授業をしますか?

【吉見さん】すごくうれしい質問ですね。僕は農業には教育が入っていると考えていて、これを言うと「農業が、なんで教育なの?」って言われるんですけど、僕は、一緒に遊ぶってことをしたいですね。教えるってことではなくて、生徒の方に教えてもらうと言う場を用意できることが、畑なんじゃないかなと考えています。

【Daiya】吉見さんにとって「遊び」って何ですか?

【吉見さん】僕にとって、「遊びとは?」時間を忘れることですかね。例えば、なんかしんどいなーという時間の場所で学ぶと、眠くなったりします。だから眠くならない学び場所をつくりたくて、それが畑の上なのかなーと思うんですよね。実際に、眠くなれないので。畑では僕が教えるというよりは、こういうやり方が良いよとかみんなで提案し合って、どんどんやっていくことが理想で面白いです。

【Daiya】吉見先生の「遊ぶ授業」が受けたくなりました。
僕は、吉見さんが元デザイナーから農業家へ転身した異色の経歴にも興味がありました。しかも、大阪から沖縄へ移住した勇気、そして農業大学に通い専門分野を学んだ努力がカッコイイと思います。僕も将来、農業のことを学べる道へ進みたいので、視察の話にワクワクしました。

吉見さん、これも以前の記事で気になったことですが、「メンタルの自己コントロール」は、どんな事をしていますか?

 【吉見さん】これ中学校2年生から知っていたら、すごい大人になっていたなーと思うんです。今日は特別に教えます。
それは「毎日、玄関の掃除とトイレ掃除をやること」です。
自分と入り口と出口を整頓しておくと他が乱れても、必ず、そこにも戻ってこられるので、イライラしても、入り口を掃除すると明るく元気に、イヤイヤながらでも気持ちは笑顔で、トイレ掃除することをやっています。

【Daiya】メンタルの方法が、とても意外だったのでビックリしました。僕は部活で卓球をやっているのですが、試合で対戦相手や会場の雰囲気にのまれて負けてしまうことがあります。そのため、メンタルが強くなりたいと思いました。吉見さんの方法は簡単そうなので、僕もやってみます。

インタビューを終えて、玄関の掃除とトイレ掃除をまずは1週間やると決めてはじめました。でも予想外に続けるのが難しくて、まだまだ僕は未熟だと思いました。ただやってみると、練習試合で全勝できたので効果が出たかも知れません。僕は、できる範囲で頑張ってみます!

トンボと台風は関係があるの?

最後は、吉見さんから僕にいくつか質問をしてくれました。

僕は今、コロナの影響で思うように動けないので、逆に家に呼べる虫、例えば蝶とか、トンボとか、ちょっとした、いろんな虫を呼ぶようなことをしているとお話をしました。

すると吉見さんから「例えば、トンボを呼ぶのは、どうするんですか?」と質問されたので、庭に人工の水辺(ビオトープ)を作って虫に来てもらっていることを伝えました。

よく、沖縄では「台風が近づくとトンボが増える」と聞きます。
トンボは群れをなして飛ぶ習性があって、南風が多い夏に、季節風に運ばれながら移動し渡ってきます。だから南方から来た群れと沖縄で羽化した成虫が混ざることで、トンボの大群になっている可能性があるそうです。

また昔から、トンボが低空飛行すると雨が降るという言い伝えがあります。その理由は、空気中の水分量が多くなると、トンボのエサとなる蚊などが水気を帯びて、下の方を飛ぶようになるので、エサを求めたトンボもまた低空飛行をするというわけです。

科学的根拠がなくても、昔の人たちは、生活に活かす知恵として自然界の情報を大切にしていたことが素敵だと思います。青い空や海の沖縄に合わせて、イメージ画像は、僕が撮った青いトンボのシオカラトンボです!コロナが落ち着いたら沖縄へ行きたいという人たちが増えたらいいなと僕は思っています。

ナンクルナイチャ~吉見さん、今回は僕のルーツである沖縄の農業の話、そして興味のある教育の話など、ためになる話をたくさんしてくださり、ありがとうございました。とても楽しかったです。今度、吉見さんの農園がある名護市の東村へ農作業を手伝いに行かせてください。

僕は、もっと小中校で農業を深められる機会を設けて、自然や食、農業のいいところも伝わる教育が進むことを願っています。そのために、僕は農業家の人たちに直接お話を聞いた面白さをこれからも伝えたいです。

編集後記

秋の虫コオロギが外で鳴く音に癒されています。
また来年、いつも通りの夏が来てほしいです!

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :農家さん

ライター情報

  • Noumusubi
  • 虫博士Daiya

    虫や自然が大好きな現役高校生。生き物や自然が人に関係する農業の楽しさに魅了されています。現在は、生き物のことも大切にした農業体験へ参加して楽しく学んでいます。自然界の面白さや昆虫の魅力をお届けします。

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