これからも100年続いて欲しいものだけを!農家さんとの信頼関係を大切にする野菜の仲人

これからも100年続いて欲しいものだけを!農家さんとの信頼関係を大切にする野菜の仲人
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2019.12.09

Rakuten Ragri(ラグリ)の新しい100%オーガニック野菜セット「全国旬セレクト」シリーズ。 このお野菜たちを全国の有機農家さんと繋いでくれる野菜の仲人、すいてんの社長・後藤和明さんに話を伺いました。

目次

これからも100年続いて欲しいものだけを

この野菜セットは、すべて私がこれまで出会った全国の有機農業(オーガニック)の農家さんが栽培してくれたものです。

もともと私は、らでぃっしゅぼーやという有機・低農薬野菜、無添加食材などの宅配をする会社に25年おりました。人生の四半世紀です。らでぃっしゅぼーやでは商品開発の部長として、日本全国のみならず海外にも足をのばし、様々な農家さんとの出会いがありました。その中で大切にしていたのは、生産過程で農家さんが健康を害さない農業です。

昔の話になりますが、牛がひっくり返るような強い農薬を使っていた時代があって、それにより肝臓をやられ、どれだけの人が大好きなお酒が飲めなくなってしまったことでしょう。もちろん今は改良をされておりますが、まずは農家さんの健康を守るということが原点にありました。

そしてやはり環境保全型の農業が重要です。その1つの核になりえるオーガニックの素材のものを、1から自分の手で直接やってみたいと思ったのが、すいてんを起業したきっかけです。今から2年前、私が55歳の時に、これからあと四半世紀、80歳までのあらたな挑戦としてはじめました。 農業に関わってからすでに27年。

すいてんは、国内外を歩きまわり「作り手」と「食べ手」の双方が納得する商品開発をしてきた私が、今まで100年続いたもので、これからも100年続いて欲しいものだけを扱う会社です。ですからこのラグリの全国旬セレクト野菜セットも、すいてん後藤が出会った自信作の中から生まれています。

日本のオーガニックは難易度が高い

海外視察でアメリカのカリフォルニアに行ったとき、なんてオーガニックの栽培をやりやすい環境なんだと思いました。

育成期間中に、雨も降らない、カラッとして湿気もない、病気もない、虫もいない。虫がいなければ鳥もこないという、まるで大型ハウスで守られたような環境でした。

それに比べて日本は高温多湿で草だらけ、虫も病気もケタ違いに多い。オーガニックで育てるハードルが高い上、さらに日本人は見た目を気にしますから、本当に大変です。肌感覚では100倍くらい違う気がします。

ヨーロッパも5回視察をしました。冷涼で安定した日照りがあるので、アメリカほどではないけれど、日本よりは楽だと思います。

日本で有機農業(オーガニック)をやるのであれば、北海道が一番やりやすいですね。

オーガニックで栽培できる作物、できない作物

すいてんでは、オーガニックの有機JAS認証まではいかないまでも、そこにつながる特別栽培(減農薬や無農薬)の国産野菜も扱っています。
簡単にいうと、オーガニックが難しいもの、もしくはまだ栽培が不安定なものです。

オーガニックが特に難しいのはアブラナ科の作物。キャベツや白菜、ブロッコリーはかなり希少になります。ラグリではそれが販売されていますから、それはすごいことです。またサニーレタスはまだ作りやすいですが、普通の球体のレタスが非常に難しい。ですからもし玉の有機レタスができたら、飛ぶように売れると思います。

根菜類はできるようになりましたが、北海道など気温が低くなると、ニンジンも玉ねぎも、どうしても小玉になってしまいます。化学肥料で太らせるわけにはいきませんので、時間もかかります。

トマトは時期によります。年間を通して有機だけで作るのは、日本ではまだできていないようです。
長ネギも難しいですね。生育期間も長いですから、サビ病を防ぐための農薬は最低限必要だと思います。

今まで一番つらかったのは東日本大震災

農産に関わり一番つらかったこと?
それはもう原発事故に尽きる。

生産者はもうどこに怒りを向けていいか、わからない状態で、1千万円の売上げ予定が急に100万円になるとか、10万円になるとか、ゼロになるという現実がありました。

私の立場としては10年、20年仕入れてきたものを止めざるを得ない状況。もし法的に止めざるを得ないなら説明もつきますが、まだ基準が何も決まっていない中で、生産者に宣告しなくてはなりませんでした。仕事とはいえ、本当につらかったです。
自分は所詮サラリーマンで給料がもらえるから、生産者の立場になって考えると想像を絶しました。

私ができるのは、まず基準をつくることでした。現地にいって、機械でベクレルを測ったり、国にきいたり、農水省にかけあったりしました。並行して支援もしないといけないから、津波の被害が大きかった陸前高田に支援物資をもっていくなど、震災から半年間は、東京と東北をいったりきたりしていました。

今でもまだ、福島の生産者は風評被害に苦しんでいます。オーガニックであっても、放射能の値を気にする人もいます。東日本のものはいらないと、平気な顔をしていう人もいます。私の立場としては、どれも認識しておかないといけない事実です。

理想は沖縄の小規模・家族経営

今まで一番うれしかったこと?
楽しかったのは、沖縄視察にいって40人くらいでどんちゃんやったことです(笑)

これはベトナム視察の写真です。私は有機農業の勉強会を企画して、国内外へ大勢の人たちとでかけています。

その中でも沖縄はすごかった!
とてもポジティブで、土地はない、金もない、学問もあんまりない、台風はくる、そんな土地でありながら、うまく沖縄ブームにのって、マンゴーもパイナップルもすべて完売できている!おそるべし沖縄!そこに行くだけで参加者みんなが元気をもらいました。

なにより沖縄は人柄がいい!

その結果、家族をとても大事にしています。家族で農業を営む「小規模・家族経営」で、家族の絆が深まり、子供たちも農業を継いでいくという理想的なスタイル。後継者がいる農家さんは、説得力もあるし、腹の据え方が違います。

後継者ということでいえば、自分が知っている全国のオーガニック農家さんの3分の2は後継ぎがいます。オーガニックであれば、ある程度の価格で売れますし、契約栽培もできやすく、経営の安定につながりますから、お嫁さんが来やすいというのが結構大きなポイントです。

反面、オーガニックにいきなり飛びこみ辞めてしまう人も多くみてきました。農的暮らしとか、ロハスとかに憧れるのはいいのですが、技術もお金もないと続きません。プロの農家さんであっても、まずは農薬を減らすところからチャレンジした方が、オーガニックに成功されているように思います。

オーガニックだから美味しいわけでない、だからこだわる

基本的に美味しいものは、適地適作で生産し、その産地は稼ぎがでますので、あえてオーガニックはやりません。つまり適地適作でないところがオーガニックに挑戦してきた傾向があり、オーガニックで美味しいというのはなかなか難しいことでした。

しかし2010年くらいからは、新しい若い農家さんたちのチャレンジもあり、オーガニックで栽培できる作物の品種が増え、除草技術や有機資材も向上し、美味しいオーガニックができる農家さんが増えてきたと感じます。

これまで数えきれないほどの農家さんに出会いましたが、一番印象に残るオーガニック農家さんは、北海道の十勝にあるいずみ農園の泉さんです。家族・小規模経営で、20ha(東京ドーム約4個分)もの畑を、100%オール有機でやっています。実はオーガニック農家の多くは、3分の1くらいをオーガニックにしながら並行して無農薬や減農薬をやっているので、泉さんのような方はそういません。

泉さんは70歳くらいの親父さんなのですが、30代のころからオーガニックをはじめていました。当時はまだオーガニックの認定もなかったのに、土に入れる資材へ徹底的にお金をかけ、北海道の寒さにたえる冷害に強い土づくりをしたのです。その結果、そのニンジンが評判になり、学校給食に採用され、子供たちのために除草剤、農薬、化学肥料をやめていくうちに、いつの間にかオーガニックになっていたそうです。

泉さんはオーガニックではとても難しい長芋やかぼちゃ、小豆、豆類、さらに先述した玉のキャベツも栽培し、家族経営で安定しています。そして息子がまたいい男で、自然農法の学校に通い、親父からも学んで、品質と味がピカイチ!泉親子と飲みに行くと、親父と息子で有機農業の熱いトークが始まるんだよ。365日、有機農業の親子です。

かあちゃんも徹底していて、出荷も素晴らしい!

だから泉さんは、技術もあり、品質も高く、なぜ有機が大切かという理念と、消費者に安全なものを食べさせたいという想いがバランスよくて、パーフェクト!もちろん安くはないけれど、泉さんのニンジンはすごいんだ!B 品でもすごいんだ!と自信をもっておすすめできます。

販売する立場からすると、オーガニックは日持ちがするのもいいですね。見た目もしっかりしていて、水耕栽培とはやっぱり違います。お客さまからいただく声としては、子どもたちに有機野菜が好評だとか、野菜嫌いの子どもが有機野菜のお陰で好きになったとか、そういうのを聞いたりします。

それからオーガニックは、旬に近いのも魅力です。旬をずらすには農薬が必要になってくる場合が多いので、旬というのは当たり前だけどとても大事なことです。
日本列島は産地によっても旬がかわります。新しいオーガニック野菜セット「全国旬セレクト」シリーズで、旅するように旬を感じてみて下さい。

編集後記

すいてんの事務所には、これまで出会った農家さんとの写真がたーーーっくさんありました。そのどれもがみんな笑顔!後藤社長のするっと懐に入るお人柄がなんともいえず、飲み行こう!と声をかけられたら、みんな行っちゃう気持ちがわかりました。(担当:Motty)

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。

ライター情報

  • Noumusubi
  • Motty

    農むすび編集長。埼玉県深谷市出身。農家の孫。日テレAD時代、おしゃれカンケイを担当。ラグリでは、農家さんの人となりをドラマティックに伝えたいと取材記事を書きはじめた。好きな農作物はメロン。農業は自然の恵みあってのもの。神社のお祭りで五穀豊穣を祈るのも、大切にしたいと思っている。