伝統「はざまいちじく」を受け継ぐ若手農家に新風!ナチュラル笑顔が眩しすぎる農業女子Wみさき

伝統「はざまいちじく」を受け継ぐ若手農家に新風!ナチュラル笑顔が眩しすぎる農業女子Wみさき
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最終更新日:2023.10.27 公開日:2023.09.06

香川県まんのう町羽間地区で「はざまいちじく」を育てる若手農家チームBettim Farm(ベッティムファーム)に新メンバー!杉山実朔(すぎやまみさき)さんと近江美咲(おおみみさき)さんに直撃取材です。

目次

Bettim farmの新メンバー

Bettim farmの新メンバー

――Bettim farm(以下、ベッティムファーム)に加わった経緯を教えてください。
杉山さん:
こんにちは。杉山実朔(すぎやまみさき)です。
2021年10月、当時働いていた会社の先輩に誘われて、ベッティムファームが出店しているマルシェイベントを訪れたのが最初のきっかけです。そこで、代表の篠原に出会いました。

そこからしばらく経ち、去年、ベッティムファームへオクラの収穫体験をしに訪れた際「ベッティムファームのSNSを担当してくれないか」という話をいただいたんです。

ベッティムファーム

▲SNSに投稿する写真を撮影する様子

そこから、仕事が休みの日に週1回ほどベッティムファームに足を運ぶようになり、去年の7月頃からSNS投稿、投稿用リール動画の編集を担当しています。
篠原と会話する中で、お互いのビジョンの方向性に一致するものがあり、2023年2月からベッティムファームの役員として、チームに加わりました。

ベッティムファーム

――近江さんはいかがですか?
近江さん:
こんにちは、近江美咲(おおみみさき)です。
私はもともと、まんのう町羽間地区の近くにあるオーガニックファームで働いていました。
でも、その農場がなくなることになり、次は自分で農業をやりたいなと考えていた時に、たまたま篠原と知り合ったんです。

篠原は私の兄の知り合いで、兄から「妹が農業している」と聞いて、農園まで遊びに来てくれました。
そこで話す中で「一緒にチームとして農業をやってみないか」と誘われたんです。

ベッティムファーム代表の篠原さん(左)と近江さん(右)

▲ベッティムファーム代表の篠原さん(左)と近江さん(右)

――近江さんは以前から農業に携わっていたのですね!
近江さん:
もともと自然が好き、物づくりも好きで、気づいたら農業をしていました。
長野県の枝豆農家さんのもとで働いたのをきっかけに、りんご農家さん、お花の農家さんなど様々な農家さんのもとで働いてきましたね。

――香川県に移住したのにはきっかけが?
出身地は大阪府なのですが、6年ほど前に両親が香川県に移住しました。実家の近くに帰ろうかなと思ったのがきっかけです。
どこで農業をするのか、何を作るのかよりも、どうやって作るのかを知ったり考えたりする方が楽しいんですよね。だから、方法や考え方はこだわりたいのですが、農業をする場所はこだわらなくともどこでもできると思っています。

杉山さんはなぜ香川

――杉山さんはなぜ香川に?
杉山さん:
私は香川県出身なのですが、岡山の高校に進学し、卒業後はスポーツ推薦で東京の大学に進学しました。大学卒業後は、東京でホットヨガの会社に入社し、ヨガのインストラクターとして4年間勤めました。

その後地元である香川に戻り、からだに優しいお料理を提供しているカフェで働きつつフリーのヨガインストラクターとしてヨガを教える生活を2年送り、ベッティムファームに参加する直前はブライダル関係のお仕事をしていました。

手をかけて“美味しいもの“を作る

――代表の篠原さんも野球をされていましたよね。杉山さんもスポーツを?
杉山さん:
私はずっとフィギュアスケートをしていたんですよ。
浅田真央ちゃんのようなシングル・スケーティングをしていたのですが、高校卒業後は、シンクロナイズド・スケーティングという団体競技に転向しました。
これは、アーティスティックスイミングのスケート版のようなスポーツです。
進学した大学が、日本で唯一部活動としてシンクロナイズド・スケーティングに取り組んでいる学校だったんです。

ブライダルのお仕事もとても素敵な仕事だったのですが、自分の身体や心を整えること、それを伝えることが自分にとっても幸せなことなんだと気付き、やはりその道を進もうと思ったタイミングで、篠原と共にベッティムファームの新体制をつくりました。

マッチョになる!?でも農業は魅力的だった

マッチョになる!?でも農業は魅力的だった

――「農業」に対する最初の印象はいかがでしたか?
近江さん:
自然の中で野菜を育てる…。最初は、ゆったりとしたのほほんとしたイメージが農業にあったかもしれないです。
いざやってみると、力仕事だし、朝から晩まで働いてハードだし、融通が利かないことが多いし、思っていたのとは違ったなと思いました。

 ――やはりつらかったことも?
近江さん:
大雨で育てていた作物がだめになったときはつらかったです。
台風などで大雨になると、畑の中に水が溜まって水没してしまいます。雨が降る前に溝を掘って、排水できるような水路を作るのですが、うまく水が除けられないと作物の根っこが腐ってしまうんです。
予測できない天候や災害による作物への影響は辛くなりますね。

 杉山さん:
自然相手のため、スケジュールを組むのは難しいですね。
あと、個人的には農業をしていると全身マッチョになるのが少しつらいような、嬉しいような…(笑)。

マッチョになる!?でも農業は魅力的だった

――マッチョ!農作業で身体に変化が?
杉山さん:
はい、ムキムキになりました。腕の筋肉なんかすごいですよ。
鍬(くわ)を持ったり、刈払機(先端に取り付けた刃を高速回転させて草を刈り取る機械)を使ったりするので仕方ないですね。
でも、良いなと思うのは健康的な肉体になることです(笑)!あと、不安定なところを歩くので、体幹が鍛えられます。O脚も改善されて脚が綺麗になったと思います。
普段から筋肉の使い方を意識している部分もあると思うのですが、もっと意識して筋肉を使うようになったら、農作業で色々なトレーニングを編み出せるのではないかと思っているくらいです。

近江さん:
農業は筋肉がつきますね。もう筋肉痛にならないですもん。

杉山さん:
みさきちゃんは「これ持てるの!?」と思うものも普通に持っちゃうんです。小柄な身体のどこにそんなパワーがあるのかって思いますね。

――他にも気になることはありますか?
杉山さん:
日焼けするのはもう免れないですね…。

近江さん:
お昼には日焼け止めのスプレーをかけ直すのですが、だめですね。あと、土を触るので爪がすごく真っ黒になります。

杉山さん:
手にマメもできます。たくましくなりますね!

農業と理想のギャップ

――想像とのギャップに嫌気がさすことは?
近江さん:
私が農業を始めたのは21歳くらいだったのですが、その時の私は元気が有り余っていて(笑)。
しんどいのが楽しいというか、とにかく働くのが楽しくて、朝早くに起きて夜9時まで働く…というような生活を繰り返していました。
でも、学生時代からバイトも含め色々な仕事をやってみた中で、一番楽しくて時間も忘れて没頭できるのが農業でした。身体はもちろん、気持ちの面もすごく健康でいられた実感があって…。「しんどいけれど、健やかな状態でいられる」。これが農業だなと思っています。

杉山さん:
私はまさか自分が農業するとは、とは思いましたね。
ずっとヨガをしてきて、「身体に優しいことをしたい」という想いはありましたが、まさか自分が土に触れる仕事をするとは思っていなかったです。

父方の祖父母も母方の祖父母もお米や野菜を作っているという環境ではあったので、農業自体は自分にとってそれほど遠いものではありませんでした。
でも、両親は兼業で農業をしていて、休みの日や仕事から帰ってきた後に農作業をしているのを見ると、大変そうだなと思っていましたね。
一方で、綺麗な野菜を作ることができた時や、たくさん野菜が売れた時の嬉しそうな両親を見て、やりがいを感じられる職業なんだろうなと漠然としたイメージも持っていました。

でも、みさきちゃんが言っていたように、農業は心身ともに元気になる、エネルギーが自分の中で巡っていくような感覚は、実際に取り組んですごく感じます。
私は、野菜や果物がどんな風にできて、土づくりはどんな風にして…といったことを見たことがなかったし、もちろんそれを自分が携わって取り組んだこともなかったので、食べ物、身体に入るものができる過程を、全部実際に見て知ることができるのは、農業をして良かったことだなと思います。

季節限定「はざまいちじく」を堪能あれ

季節限定「はざまいちじく」を堪能あれ

――「はざまいちじく」はどんないちじくですか?
近江さん:
私にとって、生のいちじくを食べたのは「はざまいちじく」が初めてでした。
手で割ったときの蜜が滴っているような見た目と、その甘さに感動したのを覚えています。初めての生いちじくが「はざまいちじく」で、他のいちじくはもう食べられないかもしれないです(笑)。

はざまいちじく

杉山さん:
母方の祖父母の家にいちじくの木があって、季節になると自分でもいで食べて…ということをしていたので、いちじくは「限られた時期にしか食べられない味」という特別感のある果物でした。

はざまいちじくを最初に食べた時は、実を手で持ったときのふっくらしている感触や色味が、他のいちじくと全然違うと感じたのを覚えています。
甘みもしつこくなく、「美味しい!」と思いましたね。

ベッティムファーム

――イベントでスムージーを作っている様子をSNSで拝見しました
杉山さん:
スムージーのレシピは、二人で考えたんですよ。今のベッティムファームの取り組みの一つに「朔(さく)」という私のブランドの活動があり、「"自分に還る時間"を豊かにするパートナー」というコンセプトをもとに、「朔のおやつ」というお菓子を作っているんです。
ベッティムファームで作っているはざまいちじくや野菜など、規格外で出荷できないものを有効活用してロスを減らしたいという想いと、そのおやつを通して少しでも自分の身体に優しくしませんかというメッセージを込めて作っています。

女性農家がこれからの農業を先駆ける!

ベッティムファーム

――「女性が農業をする」ことの強みはなんだと思いますか?
杉山さん・近江さん:
丁寧!

 ――ハモりましたね!詳しく聞かせてください。
近江さん:
お客様に対する気持ちの部分は男女変わりないと思うのですが、「作業の丁寧さ」は少し違うなと思いますね。
男の人って基本的に、がーっとやってがーっと終わらせる!みたいな人が多い気がします。もちろん、細かく作業をする人もいますよ(笑)!

杉山さん:
私たちがとりこぼしのないように支えるというようなイメージですね。

近江さん:
でも、没頭してしまうところは自分の悪いところでもあるなと思います。客観的に見ることができなくて…一つの作業に集中しすぎて全然終わらなかった、みたいなことがよくあります。
丁寧さとスピード、どこかで折り合いをつけなければいけないというのが課題ですね。

ベッティムファーム

――ご自身のベッティムファーム内での役割は何だと思いますか?
杉山さん:
空気を整えること、輪を整えることかなと思います。

近江さん:
私は、生産業務をメインに担当しているので、ベッティムファームの中でも「野菜を作ること」、生産面を頑張ることが役割だと思っています。今年、来年、再来年、3年、5年くらいのスパンで、「自分の方法でちゃんと野菜を作る」ことを目標にしています。
「人間的な役割」…だったらよくわからなくて。

杉山さん:
ありますよ!みさきちゃんは「癒し」です!
例えば、パッと畑の方を見たら真ん中にちょこんと座っていたり、「おらんな~」と思ってふと見たら軽トラの横の狭い溝に横たわっていたりとかするんですよ!可愛いです(笑)。

――逆に、近江さんから見た杉山さんの印象は?
近江さん:
みさきさんは明るいし、場の空気を柔らかくしてくれます。
ちょっと空気が悪くなってきたな…と思ったら絶対変えてくれる。ベッティムファームに欠かせない存在です。すごいです。

――皆さんお互いを尊重し合っている素敵な関係ですね
杉山さん:
みんな結構我が強い方だと思いますよ!というのも、「自分はこうしたい」という想いがみんなあるんです。
でも、ぶつけ合うことはしないですね。頑固だけれど、攻撃性があるわけではなくて、各々に「私はこうしたい!」という軸がちゃんとある感じかな?
自分たちの軸を壊し過ぎず、無くし過ぎず、ちょっとずつ寄り添って取り組んでいます。

――マイルールや大事にしていることはありますか?
杉山さん:
「今日」ってどうしても「昨日の続き」、過去がずらずら続いている感じがしちゃうんですよね。でも、誰と会うにしても、毎日会うにしても、日々自分の中をリセットする。
その日一日を、またまっさらな気持ちになって過ごしたほうが、曇りがない状態で相手のことを見れたり、相手からの言葉を受け取れたりできると思うんです。
だから、毎日を上書き保存じゃなくて新規保存したい。そうありたいなと思っています。

近江さん:
一瞬でも、自分一人の時間を持とうと思っています。
仕事をしているときも、誰か人とずっと一緒にいるときも、それが家族であっても、自分の時間がないと余裕がもてなくて、いつの間にかしんどくなる。人間関係もうまくいかないな…というのを今までの経験で感じていて。
だから、10分くらいでいいんです。トイレで瞑想するのも良い。何も考えず脳みそを真っ白にしてぼーっとする時間を大事にしています。
あとは、美味しいものを食べる!かな(笑)。

ご縁やワクワクが生まれ巡る場所で

ご縁やワクワクが生まれ巡る場所で

――お二人にとって「ベッティムファーム」はどんな場所ですか?
近江さん:
新しいことが始まる場所ですね。篠原の人脈もあって、毎週色んな人がベッティムファームを訪れてくれるんですよ。人と新しく出会う、やったことがないことに出会う。
ベッティムファームでは、そんな初めてで、やったことがないことも「やろう!」と言ってくれる。新しいこと、ワクワクがたくさん生まれる場所だなと感じています。

杉山さん:
ベッティムファームは色んなご縁が繋がって、エネルギーが巡る場所だと思います。

近江さん:
農業は一人ではできないことが多くあります。そんな中、誰かの助けが合って成し遂げられることがある。それを感じるときがすごく嬉しいんです。
農作業自体も渋いけれど好きですし、自然の中で出会える景色や感動があるので、それらに出会えた時は嬉しくなりますね。

杉山さん:
一人でしようと思うと、なかなか身体的にも精神的にもしんどいようなことも、皆でわいわい、楽しいことをしながら、笑い合いながら作業をする。そしてそうやってやり遂げた時の達成感!
大変だけれど、チームのみんなで楽しく働けているというのがすごくありがたいなと思っていますね。

――今後の目標を教えてください。
杉山さん:
畑で収穫祭、ヨガや音楽などのイベントができたら良いなと思っています。空気や景色が心地良いここ羽間で、大人から子どもまで自分の手で作物を収穫して、その場でそれをみんなで食べる。

あと、ヨガを通して身体を動かして自分の身体との親交を深める。
音楽ともコラボして、皆で楽しめるような野外イベントがあると良いなと思っています。

近江さん:
楽しそう~!
私は、もっと地球や人に優しく、美味しい野菜を作りたいです。そのために色んな農法に挑戦したい。
色々な方法がある中で、「これが良い」と言われたからその通りにするのではなく、毎回実践してみて、これは地球に優しいのかな、人に優しいのかな、そういったことを考えて、自分たちで選び取っていかなくちゃいけないなと思っています。10年くらいかかりそうですが(笑)。

杉山さん:
何をするにしても「人」がいるからできることがあります。いちじくや野菜は食べてくれる人がいなかったら作ることができなくなる。
だから、食べてくれる人、手伝ってくれる人、全ての人に感謝しています。

はざまいちじくを通して、感謝と元気を届けられたら嬉しいです。

◎ベッティムファームのはざまいちじくは楽天市場で購入できます。

2023年は大好評完売いたしました。来年の受付をお楽しみに!

編集後記

去年は代表の篠原さんをはじめ、ベッティムファームの男性陣を取材させていただき、溢れる情熱に圧倒されました。そんなベッティムファームさんにご挨拶にうかがうと、可愛らしい女性二人組が!つなぎ姿と笑顔が素敵で迷わず取材を申し込みました。 大切にしたいこと、やってみたいこと。たくさんの希望に満ちているお二人がキラキラ眩しすぎる! 自身を理解しよう、大切にしようとしているからこそ生まれるのだろうナチュラルな輝きにたくさんパワーをいただきました。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :農家さん

ライター情報

  • Noumusubi
  • 額見奈央

    楽天農業株式会社の2020年新入社員。石川県生まれ、奈良で学生時代を過ごして、愛媛にやってきました。「人にも環境にも優しく、人のつながりが生まれ続いていく」そんな地域に根差した農業を目指しています♪女子大出身・農業未経験女子だって農業ができることを発信していきます。

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