佐藤錦は孫ほどかわいい！桜が満開のさくらんぼ王国でとにかく美味しい秘密を社長に直撃

ようこそ山形県天童市へ。たきぐちファームは自然豊かなこの大地で、果樹はさくらんぼ、すもも、桃、西洋なし、りんご、水稲はつや姫、はえぬき、雪若丸、コシヒカリ、野菜はさつまいも、オクラ、小松菜、アスパラガス、ほうれん草を育てる複合農業をしています。

現在（4月下旬）は、さくらんぼの花が咲いているところです。桜の代表ソメイヨシノはピンク色ですが、佐藤錦は白い桜を咲かせます。ただ、この畑には5種類のさくらんぼの木がありますが、花だけでは皆さん区別がつかないと思いますよ。

この2つの花の違いはわかりますか？右はめしべがありません。霜の被害でめしべが枯れてしまったんですよ。

元気な花は真ん中にしっかりめしべがあるでしょ？でも霜の寒さに耐えきれないと、こんな風に枯れてしまうんです。今年は花が咲き始める4月になってから氷点下になったので、霜の被害が結構ありましたね。

今はさくらんぼ花を枝に対して最適な数に減らす作業をしています。たきぐちファームのさくらんぼが順調に実りますよう、みんなでがんばって育てていきます。

 ――（スタッフさんに）滝口社長はどんな人ですか？

とっても優しい人ですよ。みんなの話をしっかり聞いて、働きやすいように考えてくれます。BBQにも誘っていただき、みんな楽しみにしています。

――佐藤錦の畑に、それ以外の品種も植えてあるのはなぜですか？

佐藤錦は自分の花粉だけで実をつけられないので、受粉樹になる他の品種が必要になるんです。

――佐藤錦だけ植えても佐藤錦は実らないと？

そうですね。だからたきぐちファームでは、佐藤錦の他に紅秀峰（べにしゅうほう）、紅さやか、ナポレオン、高砂という5品種のさくらんぼを育てていますよ。

 ――佐藤錦以外のさくらんぼは地元でしか食べないとか？

紅秀峰は出荷するけれど、それ以外は場合によるかな。
ナポレオンという缶詰のシロップ漬けになっている品種は、実が小さい時でないと出荷できないのだけど、本当はしっかり熟して枝がとれてしまう位の頃がすごく美味しいんです。そこまでいくと傷つきやすくて商品で出せないので、農家でないと食べられないと思います。

――どの品種が好きですか？

よく聞かれますが、やっぱり佐藤錦はかなり美味しくて何個でも食えます！

ただ育てるのが非常に大変！毎年同じ量が採れるという確証がないし、1本1本の樹勢によって実の付き方も変わってくるし、今年は霜の害もあったし…自然の力が大きく関わってきますね。

それに比べて、紅秀峰と紅さやかは自家受粉ができるので確実になります。摘果をして大粒にすることもできるので育てやすいです。

紅秀峰は甘みが強くて美味しいので女性に人気です。ただ紅さやかはそこそこ美味しくない（笑）早い時期に実がなるので出荷することもありますが、佐藤錦に手をかけたほうがいい場合は放っておきます。

ナポレオンは缶詰用の小さなハート型で、わりと美味しいです。繊細で傷つきやすくて、すぐに茶色くなってしまうので生食用では出回りません。缶詰はナポレオンだからできるけど、佐藤錦だとあの赤い着色やシロップ漬けはできないのではと思います。

高砂は昔からある品種で、種が大きく果肉が薄く、食べ応えもない（笑）最近では受粉のためになることもありますが、美味しい佐藤錦にとってはそれも大切です。

さくらんぼの受粉は主に「マメコバチ」という蜂にしてもらっています。ミツバチより一回り小さくて、はちみつはとれませんが、刺さないし、オスメス関係なく働いてくれるので頼りになります。

ちなみにこの猫も頼れる相棒です。収穫後に貯蔵が必要なラ・フランスをねずみから守ってくれます。

栽培のこだわりは、有機の堆肥と地力に化学肥料を少し組み合わせて、食味を引き出すことです。
特に、さくらんぼやラ・フランスなどの果樹には、アミノ酸系の酒粕、米ぬかの微生物肥料を併用することで、自慢の味に仕上げています。

さくらんぼ畑では、木の根元ではなく、木と木の中間に堆肥をまいています。こうすることで畑全体の地力があがって、元気で美味しい実をつけるようになるんです。

さくらんぼは鮮度が命なので、届いたらすぐに冷蔵庫に入れて、遅くても5日以内に食べ切って欲しいのですが、もし食べきれない時はカルピスにいれて凍らせてください。そのまま冷凍してしまうと食味が落ちてしまうので、カルピスに入れるのがポイントです。

写真のように枝をとってもいいですし、製氷機にカルピスを流して、枝がついたまま１つずつ入れていくと、とってもおしゃれなデザートになります。

あとはさくらんぼのジャムも贅沢ですがおすすめです。種があるので、粗目のザルでこす作業が大変ですが、とっても美味しいので、さくらんぼ農家ではおばあちゃんが作ってくれたりします。

――最近は1粒ずつ並んださくらんぼを見かけますが、なぜこの包装？

鮮度が命のさくらんぼだからこそ、美味しく食べるならバラ詰めのほうが絶対おすすめです！きっちり並んだ石垣詰めは綺麗ですが、人手の温度がどうしてもかかってしまうので、あえてバラ詰めでお送りしています。

その日収穫したものはその日うちに選別し、発泡スチロールの外装に保冷剤を入れ、次の日にはお客様の手元へお届けできるようしています。離島の方はプラス1日かかりますが、発砲スチロールを開けた時に、冷気がほわっと山形の美味しい空気と一緒にでるような、そんなイメージで心を込めて梱包をしているんです。

お客様からは「他のさくらんぼと全然ちがう」「さくらんぼ本来の味がする」「今まで食べたなかで一番美味しい」とお電話をよくいただきます。

さくらんぼは私たちのかわいい孫のような存在なので、段ボールなんかでは送れません。特注の発砲スチロールにいれて大切にお届けしますので、どうぞ召し上がってみてください。

★2022年の佐藤錦は完売しました。2023年もお楽しみに！