国産アボカドを愛媛の特産品へ!なるべく農薬を使わんように濃厚で美味しいアボカドにこだわるけん
愛媛県松山市の興居島(ごごしま)でアボカドを育てる順ちゃん農園の西原順一郎(にしはらじゅんいちろう)さん。珍しい国産のアボカドを愛媛の特産品にしよう!とはじめた、こだわりの栽培について伺いました。
島に生まれ、島への通い農家となる
愛媛県松山市の高浜港からフェリーで約10分。興居島(ごごしま)という南北に細長い島に順ちゃん農園はあります。島につくと、西原さんが車で畑まで連れて行ってくれました。約12分で到着すると、まずはイノシシの罠を確認。この日は掛かっていませんでしたが、海を渡ってイノシシが泳いでくるので、今は増殖中だそうです。
――農家になったきっかけを教えてください
生まれ育ったのは、ここから西にある釣島(つるしま)というところ、親も周りもみんなみかん農家で、長男は高校を出たら島に戻ってみかん農家をするのが当たり前やったけんね。
この小さな島が釣島で、僕も高校は松山まで行ったけど、卒業するとすぐ島へ戻ったんよ。
でも、うちのじいちゃんは大工で、父の代からのみかん農家やったけん、釣島には畑が少なくて、隣の興居島に畑を広げたんよ。そして興居島に家も購入したんだけど、子供の進学や別の仕事の関係とかで、今は松山に住んで島に通っとるんよ。
――毎日通勤で島まで通うのは不便ではないのですか?
フェリーで10分ぐらいやし、島にも車を置いとるけん、不便なことないんよ。船代も片道250円でそんなに費用も掛からんし。家族と松山に住むほうがいいけん。
アボカドを愛媛の特産品に!栽培とこだわり
――なぜアボカドの栽培をはじめたのですか?
みかんの値段が本当に安い時期があって、何か他にできないかといろいろ挑戦したんよ。パクチーもやってみたけれど、輸送の際の冷蔵障害のクレームが多くてね。
そんな時、みかん農家のグループからの情報で、アボカドを愛媛県の特産品にするために県が苗を配ると聞いて、やってみることにしたんよ。実際に苗木を植えたんは2008年やったかな。
――アボカド栽培のこだわりは?
なるべく農薬を使わんようにしています。みかんの栽培では県からエコファーマーの認証をもらっているけれど、アボカドはまだ栽培の基準がなくてエコファーマー認証の制度がないんよ。
でもアボカドの栽培は、みかんよりもっと農薬を減らしているんよ。アボカドは花が小さいけん、実を付けるために虫さんたちの活躍が絶対に必要!ハチさんもハエさんも大事にしていますよ。
お気に入りの品種を増やし、シンプルに素材の味を楽しむ
――これまで一番美味しいと思った作物は?
自分で苗から育てたアボカドが一番美味しい!今、作っとる品種はハス、ベーコン、ピンカートン、フェルテ、あとは愛媛で生まれた品種の福徳利(ふくとくり)、吉田のハス、鹿島。お気に入りの品種はベーコンとフェルテかな。
自分で食べたアボカドの種は、土に植えて苗木を育て、台木(土台となる植物)にします。それから穂木(違う種類の植物)を台木につなげる接ぎ木をして、お気に入りのアボカドの品種をどんどん増やしていってるんよ。
――どんな品種を増やしているのですか?
やっぱりお気に入りのベーコンとフェルテかな。あとは収穫の多い表年(おもてどし)と収穫の少ない裏年(うらどし)の差が少ないハスを増やしていますよ。
――どのような食べ方がおすすめですか?
うちではいつもサラダに入れて食べているんよ。シンプルに濃厚な味を楽しむのが一番うまい!
趣味は大工仕事、小屋は夫婦で
――最後に西原さんの特技や趣味を教えてください
祖父が大工やったけんかな、手先が器用で自分でいろいろ作るのが好きなんよ。ちょっと板があったりするとすぐ棚を作ったりね。この小屋も4年前に夫婦2人で作ったんよ。
やっぱりいろいろ作るんが好きなんよね、果樹もアボカド以外に植えていて、フィンガーライムやトマトの木(タマリロ、ツリートマト、木立ちトマト)なんかもあるよ。この写真はトマトの木で、これから面白くなっていく果実のひとつやと思うよ。
これからもなるべく農薬を使わない農業にこだわって、農家と消費者がともにそういう仕組みを作っていけるような形になるようがんばるけん、よろしくお願いします。
- この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
- 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
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