北海道・旭山動物園のパッケージで届く「白くまコーン」とは?生で食べると甘すぎる農法もすごい
北海道のコワモテ農家がつくるのは『白くまコーン』という可愛い名前の白いとうもろこし!しかも旭山動物園の公認とはどういうこと?益パパファームの深瀬益一(ふかせますいち)さんにその秘密をうかがいました。
白くまコーン誕生秘話…旭山動物園の公認になったわけ
――白くまコーンというのは北海道の品種なのですか?
いいえ、品種ではなく、私が名づけました。
――え? 深瀬さんが?
はい、自分でとうもろこしを栽培することになり、「北海道の朝獲れとうもろこし」という売り出し方は皆さんされているので、何か自分のとうもろこしに付加価値をつけなければ売れないなと思っていました。ある時、お酒を飲みながら他愛もない会話をしているときに、ここ旭川と言えば…「白くまコーン」という名前のアイデアがおりてきました。
旭山動物園に問い合わせたところ、いいですよとお返事いただき、今に至ります。
ちなみに、とうもろこしを入れる化粧箱にも旭山動物園で展示されている動物のイラストを入れたオリジナルデザインになっています。
旭山動物園の今がわかる!毎年変わるパッケージ
――とても可愛いデザインですね!
実は化粧箱のデザインは毎年変わるんですよ。旭山動物園に新しい施設ができたり、動物の入れ替えがあったりすれば、それらを紹介するイラストを入れています。今年も新しく制作しました。
「孫が化粧箱をとっておいてほしいと言います」「お盆に孫と食べたいから毎年注文します」というお手紙やメール、電話をいただくのが嬉しい瞬間です。
一度、誰かの軽トラの荷台に白くまコーンの化粧箱がのっているの見かけたことがあります。きっと道具入れか何かに再利用されていたんですね。他の普通の段ボールだと廃品回収に出されてしまうけれど、こんな風にとっておいてもらえているのを見ると嬉しかったです。
――旭山動物園に何かお礼などしているのですか?
出荷できなかったとうもろこしを寄付しています。農薬をあまり使わないので、虫食いなどで出せないものが結構でるんです。それがレッサーパンダ、鹿、狐、猿、鳥といった動物たちのエサになると聞いています。鳥用には、輪切りにしたとうもろこしを串にさして、ついばめるようにしているようです。近所にいるうちの鳥にもやってみようかな(笑)
甘~い白くまコーンに誘われる北海道の動物たち
――動物園以外にも北海道にはいろいろな動物がいそうですね?
畑の場所によっていろいろですが、シカ、アライグマ、ハクビシン、タヌキが現れることがあります。旭山動物園の動物は可愛いですが、この動物たちは丹精込めて育てた白くまコーンを食べてしまうので困ります。
例えば、シカは実の先端だけかじって木を倒してしまいます。芯だけ残して綺麗に全部食べてしまうのはアライグマです。狐はその場で食べずにどこかに持って行ってから食べているようです。
タヌキは去年近くに巣をつくっているのがわかっていたのですが、畑の中には入られたくなかったので、お供えのように、出荷できないハネ品のとうもろこしを「これは食べていいからね~」という気持ちでに畑の外に置いておいたんです。すると中には入ってきませんでした。そこに罠をかけなかったし、お互いそういうルールをつくったんですよ(笑)
甘さの秘訣は贅沢な土づくりと職人技の収穫タイミング
――動物たちも食べにくる…ずばり、白くまコーンの甘さの秘訣はなんですか?
堆肥を畑にごっそりいれています。そうすると、とうもろこしが太くなります。土が良くなるんですね。土は層になっているので、堆肥は一度だけ入れるのではなく、毎年入れることが良い土づくりにつながると思っています。
ここは昔、蕎麦の畑でした。私が引き継いでから4年経ちますが、蕎麦のあとは土地が痩せていたので1年目はうまくいきませんでしたね。だからしっかり堆肥を入れて、他の農家さんより良いものができているのがわかって、自信がでてきました。
白いとうもろこしは、あまり大きくならない品種ですが、400g以上のものを収穫してお届けしています。今回、楽天ファームで出品させていただく白くまコーンは、私自身が手間も愛情もたっぷりかけたものです。堆肥をごっそり入れているのでとっても甘いですよ。
あとは、収穫するタイミングの見極めがとても大切です。
白くまコーンの収穫は8月10日頃から始まります。苗の定植は3日ほどかかっても問題ありませんが、収穫作業はタイミングから3日遅れたらもうアウトです。
一気に熟しすぎててシワシワ状態になったり、雨が降った後に気温が30度ほどまで上がると、今度は腐ってしまったりします。
――シワシワのとうもろこしは熟しすぎだったんですね?
そう過熟状態です。そうなると、とうもろこしの実の粒がつぶれたようにへこんでしまいます。とはいっても糖度はかなり高くなっています。でも実がかたくなってしまうんですよね。スープにすれば食べられますが…。収穫する人の判断が大切になってきます。
――とうもろこしは皮で中が見えないし…何かコツがあるのですね?
どこで見るかですよね。私は手の感触で見ます。触ってみたときの粒のパンパン度で、これはもう今日か明日だなというのがわかります。
また、動物が食べるようになったら一定の糖度になっているとわかります。食べられてしまっては困るのですが、収穫時期を見極めるには動物たちに対してありがとうという気持ちになります(笑)
農家直伝!おすすめのレシピ&保存方法
――おすすめの食べ方を教えてください。
まずは生で食べてみてください。生が一番甘みを感じます。でも甘過ぎると食べ飽きてしまう人も多いんです。
そうしたら次は軽く塩ゆでして召し上がることをおすすめします。乾燥を防ぐため、皮を2、3枚つけたまま茹でてください。ぺろっと食べられますよ。
あとは、出汁漬け、コーンスープにするのもおすすめです。
【白くまコーンの出汁漬けのレシピ】
1.白くまコーンは皮を剥き、横に3等分に切り、それを更に縦に6等分にする
2.ゆでる、またはレンジで加熱する(約5分)
3.熱々のうちに、めんつゆ程度の濃さの出汁に漬け込む
4.3~4時間漬け込み、味が染みたら完成
【白くまコーンのスープのレシピ】
1.白くまコーンはコーンカッター(なければ包丁)で実と芯を分ける
2.ミキサーにかける
3.鍋にうつし、牛乳でのばしコンソメを加える
4.食感がほしい方はそのまま、滑らかな舌触りがお好みの方はザルなどでこして完成
――そ、そんな贅沢に使える程たくさんのコーンが届いたら、どう保存するのがいいですか?
冷蔵庫に、皮付きのまま、真っ直ぐ立たせた状態で入れてください。到着後5日以内に召し上がることをおすすめしていますが、その間糖度は少しずつ落ちていきます。一度に食べきれない場合は軽くゆでた後、ラップに包み、粗熱がとれたら保存用袋に入れて冷凍しておくといいですよ。
白くまコーンは、堆肥をたっぷり使う一方で、化学農薬はほぼ使わず、有機栽培でも使える生物農薬を使い、除草剤も散布していません。ですから除草がとても大変です。畝にマルチをはり、通路に防草シートをはり、ミニ耕運機で1列1列を耕していって…こだわりの農法は手間も時間もかかりますが、それだけ甘く、安心安全な白くまコーンを召し上がっていただける自信があります。
旬の時期は1か月ほどの限られた期間です。旭山動物園の可愛い動物のイラストが描かれたパッケージとともに、極甘の白くまコーンをお届けします。ぜひ北の大地の恵みをご堪能ください。
編集後記
コーンスープにするとうかがったとき、思わずもったいない!と声が漏れ出てしまいました。しかし「パッと一番良い旬の時期に、美味しいものを満腹食べるのが良い!」という深瀬さんの言葉に納得。年中食べることができるお野菜も増えてきましたが、お野菜や果物の旬は季節を感じられる大切な要素。毎年変わる化粧箱の可愛いイラストは大切な人と毎年楽しめますように…そんな素敵な想いが込められていました。
- この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
- 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
- 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。