高校1年生の虫博士Daiyaが都会で生息する究極の日本ミツバチを追う!ハチミツが腐らないってホント?

高校1年生の虫博士Daiyaが都会で生息する究極の日本ミツバチを追う!ハチミツが腐らないってホント?
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公開日:2022.09.15

高校1年生の虫博士Daiyaによる「ミツバチ調査」。第三弾は、都内にある「NPO法人中延日本蜜蜂保存会」へ取材に行ってきました。都市養蜂の活動へ参加し採蜜作業の体験や、ハチミツの味くらべも交えてご紹介します。

目次

都市養蜂の活動がスタートしました

都市養蜂の活動がスタートしました 御神木

前回の第一弾と第二弾の記事で登場しているのは、西洋ミツバチでした。今回の第三弾は、日本ミツバチについて取り上げます。

僕は、やってみたかった養蜂の願いも叶って楽しく学んでいます!きっかけは、家の近くの神社にある御神木(ケンポナシ:樹齢約300年)の幹の空洞に日本ミツバチが巣を作っているのを見たことからでした。とても身近な場所なのに、今まで気づかなかったので驚きました。そこで保護している団体のことを知り訪ねてみました。

都市養蜂の活動がスタートしました

「NPO法人 中延日本蜂蜜保存会」理事長の青木弘道さん(写真右)が優しく迎えて説明してくれました。活動内容は、日本ミツバチの保護を目的とし、都市部の市街地を利用した養蜂活動によってハチミツを採る都市養蜂でした。貴重な日本ミツバチの養蜂をしている人に出会えて嬉しかったです。

すると青木さんから「活動に加わって」と誘ってもらえて、僕も都市養蜂の一員として活動がスタートしました。

青木さんのお話によると「都会で蜂が育つわけがない、考えられない」と驚く人が多いそうです。まずは先入観を持たないことが大切だと教わりました。確かに、都市養蜂は、環境的にビルやコンクリートで植物や自然のイメージがなくてミツバチが蜜を集めるのは不可能に思えるかもしれません。だけど、都会にも緑はあって、周りに蜜源植物があれば都市でも養蜂はできます。ただし、都市養蜂のデメリットは近隣の方とトラブルにならないよう、周囲の環境、地域との連携や理解が重要になります。養蜂を条例で禁止しているところもあるので気をつけたい点で注意が必要です。

日本ミツバチ(和蜂)と西洋ミツバチの違い

日本ミツバチ(和蜂)と西洋ミツバチの違い

日本で流通するハチミツは、日本ミツバチの蜜と西洋ミツバチの蜜の大きく2種類に分けられます。それぞれの特徴が大きく違うところも面白いです。画像は、日本ミツバチです。

西洋ミツバチとは、ヨーロッパやアフリカ・中央アジアなどを原産地としていて、家畜として改良され、日本では明治時代にアメリカから輸入されたと言われています。現在、スーパーなどの店頭に並んでいる商品や、加工食品の原材料に使用されているハチミツのほとんどが、西洋ミツバチのハチミツです。

それに対して、日本蜜蜂はもともと日本列島に住んでいた在来種です。西洋ミツバチに比べて飼育が難しく採蜜量も少ないため、商業的に不向きと言われています。

ハチミツに関していうと、西洋ミツバチは一種類の花の蜜を1度に大量に集めるので、「レンゲ蜜」や「アカシア蜜」などの「単花蜜」と呼ばれる一種類の蜜だけのハチミツになるのに対し、日本ミツバチは年間を通じて様々な花から蜜を集めるので「百花蜜」と呼ばれます。学んだことを整理して、表にしてみました。

ハチミツについての違い

ハチミツについての違いは、この表の通りです。
蜜源の花が違うということの他に、採密回数や採密量も西洋ミツバチが日本ミツバチより多く、それが価格にも反映されているのがわかると思います。

日本ミツバチ(和蜂)と西洋ミツバチの違い

日本ミツバチ(和蜂)と西洋ミツバチ(洋蜂)の見分け方は、体全体が黒っぽく小さめなのが日本ミツバチ、体全体が黄色っぽく大きめなのが西洋ミツバチです。

日本ミツバチ(和蜂)と西洋ミツバチの違い

体の特徴や生態についての違いはこちらの表にまとめました。
日本ミツバチは習性として危機回避を自分たちで行っていますが、西洋ミツバチは養蜂家さんの手が必要なようです。

ハチミツが腐らないってホント?

ハチミツが腐らないってホント?

ハチミツは、古来より食べられていて、腐敗しない、または腐敗しにくい食品です。『日本書紀』や『続日本書紀』にも掲載されたほどだそうです。僕は、初めて知った時はビックリしました!

腐らない理由はハチミツ自体が強い殺菌力をもっていて、ハチミツ自体水分が極端に少なく細菌が繁殖できない状況下にあるからです。密封しておけば瓶の中でバクテリアは存在できないのです。

ただし、純度100%のものは腐りませんが、水あめなどの添加物が入っているものは、この添加物が悪くなると、傷んで食べられなくなってしまいます。

また、ハチミツもお味噌や納豆と同じく発酵食品って知っていましたか?
このことに、驚く人も多いそうです。そしてハチミツの成分を有効に身体に取り入れるには、そのまま食べるのが良いそうです。はちみつの酵素やミネラル、葉酸などは加熱に弱く、40℃前後から成分が壊れやすくなるからです。ハチミツの取り方でおすすめは、そのままスプーン1杯程度をなめて食べることです。ハチミツが喉をコーティングし、粘膜を保護してくれるので、乾燥する季節は喉のケアにも良いです!

ハチミツの味くらべ

<ハチミツの味くらべ>
これは僕が採蜜作業の体験で採った日本ミツバチの巣蜜で、そのまま食べたのは初めてでした!市場に出回るのは僅かで希少なものなのです。

日本ミツバチのハチミツは、色が褐色に近く、ねっとりして濃厚で深い味です。どこで育てたのか場所によってハチミツの味が変わるとされています。

1年(写真:左)のハチミツと、熟成3年(写真:右)のハチミツでは、味が違い、1年目さっぱりした甘さで奥深い味わい、3年目は、より濃厚で酸味とコクがあり滋養味たっぷりです。

日本ミツバチ養蜂についてインタビュー

日本ミツバチ養蜂についてインタビュー

銀座の画廊屋から街のお助け隊コンセルジュへ転身し、さらに活動を広げ日本ミツバチを保護し都市養蜂を行っている「NPO法人 中延日本蜂蜜保存会」理事長の青木弘道さんへお話を伺いました。

Q1:日本ミツバチを養蜂するきっかけは?

パリ・オペラ座の屋上でミツバチが養蜂されているということを雑誌で知りました。そして偶然にも「銀座ミツバチプロジェクト」のリーダーに出会い、指導を受けました。初心者には日本ミツバチは難しいから西洋ミツバチを勧められたのですが、そう言われると「難しい方をやってみたくなった!」と言うのが、日本ミツバチをはじめたきっかけです。

当時は、社会性のある仕事だし街おこしの良いアプローチにもなると思いました。しかしリーダーが言った通りの難しさで、その年は全滅。翌年も新しいものを取り寄せて、全滅。損失が大きかったです。

いろいろ独自で調べたり、専門の人に会いに行ったり、日々試行錯誤しながら、2005年から数えて今年で約 17 年になります。日本ミツバチをやっている人からすると、まだ駆け出しみたいなもの。10年、20年やっても、「こんなことあるの?」と言うくらいに複雑で奥が深い日本ミツバチ。それだけに逆に面白いです。

Q2:日本ミツバチの養蜂の魅力は?

私は偶然に始めたので、正直に言うと魅力を感じてやった訳でないけど、やっていくうちに愛情が湧いてくる。毎日お世話をしている積み重ねで、蜂さんたちも私の体臭を覚えるんですよね。そうすると、不思議なことに攻撃してこない。ただ初めてやる人のところには向かってくる場合があります。ですから、活動の時も初めての人は網をかぶってもらうようにしています。

古来より日本独特な文化として伝承されてきた和蜂養蜂技術を次世代に伝えること。そして一連の活動を通して地球環境問題に関心を持つ人が一人でも増えると、やりがいみたいなものを感じます。やりがいっていうのは生きがいにもなるし。

日本ミツバチも西洋ミツバチも含めて、人間が手に入れる食糧の3分の1は、受粉をミツバチに頼っているのね。だから人類にとってミツバチを保護することは大切なことなのですよ。しかし、学校の教育で取り扱わず「蜂は刺すから、危険だから、逃げなさい」と怖いイメージだけを与えてしまうのは残念に思います。その役割を教育の中で説明することを大事にしてほしいです。

日本ミツバチの養蜂で大変なこと

Q3:日本ミツバチの養蜂で大変なことは?

都会の場合、分蜂(ぶんぽう、蜜蜂の引っ越し)に苦労や苦戦があります。
縦型の重箱型スタイルの場合は、分蜂をキャッチするのが非常に難しい。これがスムーズに行くように、蜜蝋を塗ってバナーで焼いて染み込ませる工夫をしています。日本ミツバチには巣の中の環境が悪化すると別の棲家へ移動する「逃亡癖」があるんです。だから気温など外的環境に左右されやすく、日本ミツバチは箱の中に入ってくれるように工夫が必要になります。

そのために「どうするか?」美味しいハチミツを作るためには?純度を高めるためには?
いろいろ考えて、テクニックとかを研究して、質の良いハチミツに仕上げる。そうゆう裏技みたいなものは、日本ミツバチでないとできない面白さもあります。

私は難病患者で倒れて、生存率の2年と脅かされてから、もう15年経っても生きているんですよ。日本ミツバチのハチミツと西洋ミツバチから採れるプロポリスのおかげで生きていると言ったら、みんな不思議がる。先の質問に戻るけど、だから生きがいみたいなものになっているね。

以上、
僕がお話を聞かせていただき驚いたのは、どんなに困難な時でも「どうするか?」を工夫して行動しているところでした。日本ミツバチに対する誇りや情熱、そして優しさが伝わってきました。本やインターネットでは知れないことがたくさんありました。青木さん、ためになる話をたくさんしてくださり、ありがとうございました。

環境に優しいサステナブルな選択

環境に優しいサステナブルな選択

日本ミツバチの保護活動を通した都市養蜂は、地球の未来環境をも考える、サステナブルな選択を意識することにつながると思います。

ミツバチは人と一緒に共存していると言うことを忘れず大切にしたいです。なぜなら前回の記事で紹介したアインシュタインが言ったミツバチが絶滅したら人類も滅びると言うようにミツバチは農業で受粉と言う大事な役割を担う昆虫だからです。もしミツバチがいなくなれば受粉が成功しなくなり作物がならなくなり次第に食糧危機が起きてしまいます。

この記事を通して、日本ミツバチの今の状態を知ってもらって、少しでも興味を持ってもらえたら僕は嬉しいです。

調査・取材協力
NPO法人 中延日本蜂蜜保存会

編集後記

今、僕が気になっているのが「アクアポニックス」という循環農法です!
魚と植物を1つのシステムで一緒に育てるところが凄いと思います。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。

ライター情報

  • Noumusubi
  • 虫博士Daiya

    虫や自然が大好きな現役高校生。生き物や自然が人に関係する農業の楽しさに魅了されています。現在は、生き物のことも大切にした農業体験へ参加して楽しく学んでいます。自然界の面白さや昆虫の魅力をお届けします。

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