愛媛県・離島暮らしの海と山の恵みで育てるみかんと島レモン!中島が誇るすごい「いよかん」の秘密

愛媛県・離島暮らしの海と山の恵みで育てるみかんと島レモン!中島が誇るすごい「いよかん」の秘密
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2021.03.31

愛媛県松山市の離島「中島」で柑橘を育てるNPO法人農音(のうおん)の田中佑樹さん。島暮らしならではの海の恵みと山の恵みを活用した、こだわりのみかんについて伺いました。レモンの農家レシピもご紹介します。

目次

島暮らしならではの農業をやりたい

愛媛県松山市の沖合15㎞、瀬戸内海に浮かぶ「中島」

こんにちは。NPO法人農音は、愛媛県松山市の沖合15㎞、瀬戸内海に浮かぶ「中島」で、柑橘栽培と移住者支援などをしています。

中島は、忽那諸島(くつなしょとう)の最大の島で、松山市の高浜港から高速船で約30分、フェリーで約1時間の離島です。山の斜面にみかん畑が広がり「みかん花香る島」とも呼ばれてきた柑橘栽培の有名な島になります。

「みかん船」という昔の輸送船

この写真は、今はなき「みかん船」という以前の輸送船です。昔は「海上では霧で迷ってもみかんの花の匂いがするほうに行けば中島に着く」とまで言われていたほどでした。

今では輸送も大型トラックに乗ってフェリーに変わり、人口とみかん畑はずいぶん減ってしまいましたが、それでも日本屈指の柑橘産地として全国に知られています。中島を知ってもらうことは、中島のみかんを知ってもらうこと。島のPRも兼ねて、9月〜5月のみかんシーズンはほぼ毎日、様々な柑橘たちを全国に送り出しています。

選果には機械を使わず、箱詰めも一つ一つ手詰め

選果には機械を使わず、箱詰めも一つ一つ手詰めで行っています。柑橘は意外と繊細で、外部からのダメージが加わるほど味がぼやけてしまいます。ですから味の輪郭をはっきりさせ、品種ごとの違いを楽しんでもらえるよう、手詰めで丁寧に扱うことにこだわっています。

これからの農業は過去50年とは変わり、工業的な効率的生産と、循環を意識した自然派の農法で二極化が進むのではないと感じています。そんな中、せっかく島で暮らしているので、自然との共存にこだわった島ならではの農業をやりたいと常々思っていました。

そこで考えたのがこちら!

海の恵み(魚や海藻、海水)と山の恵み(山菜類)から発酵液肥

海の恵み(魚や海藻、海水)と山の恵み(山菜類)から発酵液肥を作りました。ちょっとグロかったらすみません。
島の恵みを存分に生かしたこの発酵液肥を、必要に応じてみかんの樹に散布する農法を『島みかん農法』と名付けて実践しています。

基本的に農薬は使いません。でも必要なときには使うようにしています。人間でいうと「日常的には薬を飲まないけれど、客観的に見てもう飲んだほうがいいでしょという段階では大人しく飲む」みたいな感覚です。ですから使うときはしっかり効く薬を選んで、最低限の量で症状を回復させることを優先しています。

そういえば去年、春頃に木を枯らす害虫のカイガラムシが大量発生してしまって、まいったな~と思っていたら、初夏にはカイガラムシがカラカラに干からびていたんです。よく見ると天敵のてんとう虫が増えていました。この時は、「農薬を使わなくてよかった。てんとう虫まで殺しちゃうところだった。」と、ほっとして教訓めいたものを得ました。

イノシシとは食いつ食われつ

中島はイノシシが多い

中島はイノシシが多いです。中島の人口2300人に対し、イノシシは3000頭とも言われています。
いざ収穫へとみかん畑にいくと、上手に皮をむいて食べた被害の形跡が...これはイノシシの仕業です。

去年は温州みかんの南柑20号が1トンほどやられました。みかんの実だけでなく、枝もバッキバキに折られました。
広い園地だったので柵の見回りが間に合わず、気付いたときは時すでに遅し。鉄の柵がねじ曲げられて、通り道が作ってありました。イノシシは味を覚えてしまうと、道をふさいでも別の所から何が何でも入ってくるんですよ。生きるためのすごい執念です。まさに野生!忙しさにかまけて油断しすぎました。まさかそこまで食うとは思ってなかったです。

ただ、もちろんショックですけど、実は恨みはそんなにありません。というのも中島で暮らしはじめてから、肉を買ったことがないんです。

イノシシを獲って、自分でさばいて、冷凍庫にいっぱい入れています。こちらは普段から彼らの命をいただいているし、みかんくらいは食われても文句は言えないなと、イノシシとは食うか食われるかのフェアな生活をしていると思っています。

温州みかんだけでも100品種

多品種産地としても知られる中島では、50品種以上の柑橘

多品種産地としても知られる中島では、50品種以上の柑橘が育てられています。
その内、農音で栽培している品目は、温州みかん類(日南1号・宮川早生・南柑20号・石地)、いよかん、レモン、甘夏などがあります。他にも10品種以上、少しずつ植えてみては自分の農法で育てられそうか確認を重ねています。

温州みかんは濃厚な甘みと爽やかな酸味、いよかんならキリッとした酸味と食感、レモンなら鋭い酸味とまろやかな甘味、甘夏なら苦味やほのかな甘味といった具合に、その品種ごとの本来の持ち味を活かすように心掛けています。

一般的に温州みかん類だけでも100品種あると言われていて、農音ではその中から4つ選んで栽培しています。

<日南1号(にちなんいちごう)>
9月下旬に出荷、極早生(ごくわせ)のみかん。さわやかな酸味を楽しむ品種なので、緑が残るうちから食べられます。

<宮川早生(みやがわわせ)>
10月中旬から出荷する、温州みかん。甘みが強くなってきて、一般的に好まれやすい味です。その時期はまだ早生なので鮮度が大事。もぎたてすぐのピンピンした酸味がある状態で食べるのがオススメです。

<南柑20号(なんかんにじゅうごう)>
11月中旬~1月中旬、いわゆる冬のみかんの代表格。濃厚な甘みになり、昔ながらのこたつで食べるみかん。収穫後、2~3週間追熟させて酸味を調整するので、さっぱりというより濃厚でまろやかな甘みが売りの品種です。

<石地(いしじ)>
12月下旬~1月、晩生(おくて)寄りの中生(なかて)のみかん。糖類の質が変わり種で独特のコクがある甘さで、酸味が少ないのが特長です。見た目は丸っこくて、肌はピンと張っています。温州みかんにしては珍しくトゲが多めで、農家としては樹の性質も気難しいと感じます。

どれが一番好きですか?とよく聞かれますが、この品種が美味しいというのは、その年によって違います。天候の微妙な違いで、糖や酸のバランスが変わってくるからです。

2020~2021年で言えば、圧倒的に南柑20号が美味しかったです!しかし美味しすぎたのか、収穫後半はほとんどイノシシに食べられてしまいましたが(汗)

愛媛のいよかん、中島産をぜひ!

愛媛県松山市の沖合15㎞、瀬戸内海に浮かぶ「中島」

いよかんが真価を発揮する、美味しさの秘密を知っていますか?
これまで、いよかんの旬は12月中旬~3月下旬とされていたのですが、今シーズンからは「1月中旬までには食べてもらいたい柑橘」に切り替えました。

いよかんのポテンシャルが活かされるのは、キリっとした味と粒立ちの良い食感がわかる鮮度のよい早い時期です。一般に認識されている、手がべちょべちょになるいよかんは鮮度が落ちたもので、本当はもっと食べやすい果実なんです。

いよかんの皮をむくと、まずとってもいい香りが漂います。房状の薄皮をひらくと、中からツヤツヤしたハリのあるさじょう(房の中のつぶつぶ)が出てきます。口に入れるとプチプチして、特に鮮度が良ければパキパキと音がして踊るように弾けます。すっきりした酸味が楽しめるのは、その奥で十分な甘みがしっかり味を支えているからです。そして、かすかに残るほろ苦さ。上等ないよかんは嗜好品といっても過言ではないレベルの味わいがあります。

「愛媛のいよかん、いい予感」と言われ、愛媛県内では広い地域で作られていますが、いよかんは寒さには弱いため、適地といえるのは松山市周辺の一部。その中でもメインの産地は中島で、40年ほど前には中島はいよかんの超一級産地として知られていました。

生産者オススメ!いよかんの食べ方は、1房ずつむいて、お皿に盛りオリゴ糖をちょっとかけてラップして一晩なじませる。すると翌日は、もうこの上ない美味しさです。来シーズンはこの食べ方で中島のすごい「いよかん」をぜひ!

島レモンの農家レシピ

農薬不使用 太陽と潮風を浴びたミネラルたっぷり島レモン(訳あり)

中島の「島レモン」は、糖度が9~10度あるのが特長です。よく9度でも高いと言われているので、島レモンはただ酸っぱいだけでなく、柑橘ならではの甘みが感じられます。

画像は「農薬不使用 太陽と潮風を浴びたミネラルたっぷり島レモン(訳あり)」です。外皮に目立つキズがあるものが入りますが中身には大きな影響はありません。

レモンのおすすめの食べ方は、そのままドリンクや唐揚げに絞ったり、紅茶に浮かべたり、酢飯の酢の半分をレモン果汁にしたり…

レモンカード

これは女性メンバーが作ってくれた「レモンカード」です。レモンの皮を削って果汁と砂糖、卵、バターで煮詰めて作ります。先日テレビで他のレモン農家さんにも紹介されていたようです。

愛媛県松山市の沖合15㎞、瀬戸内海に浮かぶ「中島」

一番のおすすめは、やっぱり自家製レモネード(写真左)です。これを冷やした炭酸やお酒で割ると、すごく贅沢なひとときが過ごせます。

では最後に、農音オリジナルのドレッシング(写真右)のレシピをご紹介します。

<レモンと玉ねぎのドレッシングのレシピ>
・レモン果汁 50㏄
・オリーブオイル 50㏄
・醤油 50㏄
・蜂蜜またはメープルシロップ 50㏄
・玉ねぎのすりおろし 1/4個分
*保存は冷蔵庫で。2週間ほど保存できます。

夢はハサミとノコギリだけで!

ハサミとノコギリだけで樹を元気にできる技を身に着ける

中島という土地は基本的に柑橘が美味しいので、味については自然の力を信頼しています。これからも島暮らしという自然の恵みを生かし、環境負荷にも考慮した、無理なく持続可能になるサステナブルな農業をしたいと思っています。

柑橘農家としての個人的な夢は、樹の状態を的確に把握して、ハサミとノコギリだけで樹を元気にできる技を身に着けることです。これからもがんばって中島を盛り上げていきます。

編集後記

元バンドマンが島暮らしで農業と聞いて、チャラチャラしているのかと思いきや、むしろその逆でした。自分のことだけでなく、仲間のこと、地域のこと、地球全体のこと…など、大きな視点で考えて、みんながハッピーになる行動をしているすごい人!それにしても、肉を買ったことのない島暮らしは気になりませんか?次回はそこを詳しくご紹介します。(担当:Motty)

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :農家さん

ライター情報

  • Noumusubi
  • Motty

    農むすび編集長。埼玉県深谷市出身。農家の孫。日テレAD時代、おしゃれカンケイを担当。農家さんの人となりをドラマティックに伝えたいと取材記事を書きはじめた。好きな農作物はメロン。農業は自然の恵みあってのもの。神社のお祭りで五穀豊穣を祈るのも、大切にしたいと思っている。

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