脱サラして家業を継いで米農家へ!品質管理20年のプロが作るコシヒカリは、こだわりがすごい

脱サラして家業を継いで米農家へ!品質管理20年のプロが作るコシヒカリは、こだわりがすごい
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最終更新日:2021.07.06 公開日:2020.10.08

静岡県磐田市でコシヒカリを育てる米農家の前田尚雄(まえだひさお)さん。4代続く田んぼを引き継ぎつつ、無農薬や減農薬にチャレンジ!20年間培った品質管理のスキルを活かした、こだわりの米作りを伺いました。

目次

脱サラして、米農家を継ぐ

――米農家の4代目なのですね?

そうですね。今は、天竜川水系の水を使用して、農薬・化学肥料を使用しないコシヒカリを栽培しています。

9月はちょうど早生(わせ:早く収穫できる)品種の収穫で大忙しでした。

本格的に就農したのは4年前になります。
それまでは化粧品・健康食品の製造会社に勤めていました。そしてサラリーマンをやりながら、休日には実家の農家を手伝うという生活を20年ほど続けました。

 ――まだ定年退職には早いですよね?

そうですね(笑)父の足がよくないのもあって、継いで欲しいと言われました。兄は中学校の教師で、農業はなかなか手伝えないというのもあり、私の方が農業の知識があったんです。

――米農家の後継者は弟に白羽の矢が?

ええ、これまで先祖から受け継いできた農地を、これからも活かしていかなければならない!という使命感に駆られました。それが脱サラの理由です。

品質管理の経験を生かした特別なお米

ずっと品質管理の仕事をしてきたので、自分が育てた作物でもきっちり検査して、1等級のものだけをお客さまにお届けするようにしています。

お米の等級は、1等級、2等級、3等級とあるのですが、これは主に外見として判断されます。
・被害粒(ひがいりゅう):病気や虫害などで傷ついた米粒
・着色粒(ちゃくしょくりゅう):表面に色がついてしまっている米粒
・異種殻粒(いしゅこくりゅう):品種が違う米粒

今年は特にカメムシが多くて、被害粒への対策が大変でした。

黒くなっている斑点米は見たことありますか?あれはカメムシが原因だったりします。お米につくカメムシは何種類かいますが、こんな赤いカメムシ(アカスジカスミカメ)もいます。

この黒い米粒が多く入っていると、等級が低くなってしまうので、出荷するときは選別機で黒いものを飛ばしていきます。

ちなみにこういった検査をしないと「コシヒカリ」と品種を表示することはできません。

お米の品質には水分値も大切で、15%前後に調整します。
すごく乾いてしまうと粒が割れやすくなったり、水分値が高いと変質しやすくなったりして、どちらも食味が落ちてしまうため、保存するときも15%くらいに保つようにしています。

――自宅で水分値15%を保つには?

ベストは冷蔵庫に入れてもらうことですね。

――前田さんも自宅で冷蔵庫に入れていますか?

いや、入れていないです(笑)仕事用の大きな冷蔵庫から、10㎏くらいずつ、1カ月に家族4人で食べ切れる量を出すようにしています。
ただ一人暮らしを始めたばかりの次男は、白米にこだわっているので、送ったお米をジップロックで小分けして冷蔵庫に入れています。これはおすすめです。

趣味はエンデューロとワンオク

――趣味にある「エンデューロ」って何ですか?

ああ、オフロードバイクです。昔はレースにも出ていました。

――すごいところを走っていますね?

はい、自然の野山や岩、川を走るレースです。モトクロスともまた違います。
富士山の麓のレースでは、短くて90分、長くて3時間走り続け、耐久レースなので沢山走った人が勝ちとなります。天竜川の河川敷の大会で、15人中2位を獲ったことが私の最高成績です。

――すごいですね!最近の趣味はどうですか?

Youtubeでワンオク(ONE OK ROCK)を見つけて、あまりのかっこよさにハマってしまって、ライブに行ったりしています。

――え!どんな格好で行くんですか?

若者と同じで黒ずくめで!(笑)
ワンオクのファンは年齢層が広いと感じます。音楽は他にマイファス(MY FIRST STORY)、リンキン・パーク、フーバスタンクをよく聴きます。

国産オリーブを静岡で!

――5年後、10年後の日本の農業で目指したいのは?

今後の日本の農業に関しては、車や電化製品といった工業製品のように、農産物も海外にアピールしていきたいです。日本の美味しいお米を、ヨーロッパや北米の人たちに届けたいと思っています。

その他に、稲作だけでなくオリーブ栽培も自分ではじめているので、それを軌道にのせたいですね。

サラリーマン時代に、健康食品としてソフトカプセルを作っていたのですが、その中身のベースにしていたのがオリーブオイルでした。
実は、はじめてオリーブオイルに触れたとき、「こんないい香りがするんだ!」と感動したのを覚えていて、就農と同時に、オリーブも育てはじめたんです。

あとから知ったのですが、静岡の茶畑は年々減っていて、特にここ磐田市や静岡の西部では、お茶からオリーブへの転作が増えているようです。国産のオリーブオイルはまだまだ少ないので、盛り上げていきたいと思います。

これからも天竜川水系の水を使用して、農薬や化学肥料を使わない安全安心な美味しいお米と、香り豊かな国産オリーブオイルをお届けできるよう、品質にこだわりながらがんばります。

編集後記

実はユーザーさんからコメントがつくほどの「コワモテ」な前田さん。Zoomオンラインの取材とはいえ少し緊張しました。しかしなんでも穏やかに話してくださり、若者に混ざってワンオクのライブにいくと平然とおっしゃるので笑ってしまいました。バイタリティ溢れる前田さんには、周りの方を元気にする不思議なパワーがあると思います。(担当:Motty)

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :農家さん

ライター情報

  • Noumusubi
  • Motty

    農むすび編集長。埼玉県深谷市出身。農家の孫。日テレAD時代、おしゃれカンケイを担当。農家さんの人となりをドラマチックに伝えたいと取材記事を書きはじめた。好きな農作物はメロン。農業は自然の恵みあってのもの。神社のお祭りで五穀豊穣を祈るのも、大切にしたいと思っている。

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