1人でする農業と、地域とつながる循環型農業を目指す!人にも環境にもやさしいパプリカ農家熊岡さん

1人でする農業と、地域とつながる循環型農業を目指す!人にも環境にもやさしいパプリカ農家熊岡さん
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2020.09.30

農業が盛んな茨城県石岡市でパプリカを育てている熊岡健太さん(31歳)。1人でする小さな農業へのこだわりや、農業で地域とつながることを目指した、ダチョウ王国との循環型農業のお話などお聞きしました。

目次

パプリカ農家への情熱はいつから

――まずは熊岡さんが農家になるまでの経歴・経緯をお聞かせください。

実は農業を仕事にするかは特に考えていませんでした。ただ、生まれ育った環境もあり、農村的な空気や生活が好きだったので、農業もいいもんだなと自然に感じていました。

大学では地域振興を専門に学びました。卒業後は関連した仕事に就きたかったのですが実現せず、改めて就活をする中で、農業を仕事として考えるようになりました。そして、とある農業法人から内定をもらい就職しました。そこでは、人と土地と資材をふんだんに使った農業をしていました。社員は野菜を育てているという感覚ではなく、まるで自然を舞台にした工場みたいで、生産効率を重視した大量生産の農業スタイルに次第に違和感を持つようになり退職しました。

そして次に、働くなら自分が好きな仕事をということで、甘党の私は、地元の和菓子屋に就職しました。やる気に満ち溢れていましたが、だんだん体調を崩してしまいました。自宅で療養生活を送る中で、庭の草木や周辺の自然に触れる生活を通して、改めて農業の良さを実感しました。そして、個人としての農家を生業にすることを決意し、現在に至ります。

――具体的にはどんな農業ですか?

先に両親も農業をしていましたが、あくまでも別の経営体として考え、1人で農業をすることを前提に行っています。 その上で、a.持続可能であり、b.心身のバランスが取れ、c.地域振興を実現できるような農業を目指しています。

 a・必要以上に肥料や水などの資源を使いすぎないようAI潅水システムを利用。

b・体や心の健康も意識し、無理をせず、頑張り過ぎない範囲で働く。

c・今後は近隣の動物園から出る堆肥をもらえることになりました。堆肥を活用して生産に繋げるのはもちろんのこと、そのやりとりが農業以上の人的交流の広がるきっかけをつくり、巡り巡って地域を知ってもらう役割が果たせるようになりたいと考えています。

1人でする小さな農業へのこだわり

――なぜ、1人農業をやろうと決めたのですか?

先に両親がかぼちゃをメインに農業をしていて、私が加わり3人で作業すると収入も3倍以上になるのではと思い計算してみたのですが、そうでもなかったのです…。だったら自分1人で違う作物を育てた方がいい。そこで、1人でやることを前提に、実際にビジネスとしてやっていけるのか色々調べました。土地は家族から借りることができる。では、何を育てるか。毎日の農作業のスケジュールも自分で組み立てました。

DAYタイムスケジュール(パプリカ収穫時期)

- 7時に起床   朝食

- 8~10時     収穫したパプリカの袋詰め

- 10時~      出荷

- 12時        昼食

- 13~15時      収穫

- 15~16時      おやつ(酪農も休憩時間で軽食をたべる)コーヒーと牛乳。

- 16~17時      収穫

- 19時        夜ごはん

- 20~21時      袋づめ

- 23時        就寝

――パプリカをつくろうと思ったきっかけは?

以前勤めていた農業法人と違うことをしようと思いました。人・肥料・水をふんだんに使うやりかたではなく、限られた資源で環境にも良い農業をすること。そうすることで、地下水の使用量も大幅に減り、地盤沈下を防ぐことができます。そして、肥料もあくまで堆肥などの地場産の肥料の使用割合を高めていくことを考えました。そのやり方が実現できて、周りの農家が作っていない作物を調べてみました。

――それでAI潅水(はんすい)システムを導入したのですね。これはどんなものですか?

イスラエルなどの砂漠地帯で野菜を育てる水やりシステムです。AIを活用して農作物の成長に必要な最適な水分量を算出し、水やり、肥料やり作業を自動化するスマート農業システムには、少ない水を活用する土壌センサーや、日射量、土の水分量、濃度、土の表面の温度を感知するセンサーがあり、作物の状況によって最適な量を調整します。ふんだんではなく、必要な時に必要な分だけやるという点、生産量があがり環境や資源資材にも優しく持続性があるという点が、自分がやりたいことを総取りできると感じ、自分の畑への導入しました。
そして、このシステムで効果のでやすいのがトマトやパプリカなど、実が成る野菜でした。効果が高い野菜の中でも、自分が作りたいと感じ、しかも周りが作っていないという理由から、パプリカの栽培を決めました。

自然を感じる味わい深いパプリカ。その秘密とは

――楽天ファームの成長履歴など、お客さまとのやりとりで工夫していることは?

みなさん、パプリカは最初は全て緑色だということはご存知ですか?徐々に個体ごとに黄色や赤へ色づいていきます。パプリカの味については、甘さや糖度で比較されがちですが、それだけではない特有の青みや香りなど、自然の味わいがあります。赤いパプリカには濃く深みのある味わい、黄色のパプリカはクリアでライトな味わい。ぜひ、赤と黄色を食べ比べてみてはいかがでしょう?

やっぱりパプリカは完熟が甘くて特にお子さまに人気があります。毎回メッセージをくださるMomosakuraさんからも「こどもがぱくぱく食べてます!」という声があり、お子さんがうれしそうに食べている姿を想い浮かべてやったー!って思ってます(笑)

他にも、それぞれの苗に名前のタグを付けて、自分の野菜を保有している感覚を持ってもらえるようにしたり、発送・梱包をするときは、簡単なお礼状を添えるなど工夫をしています。蛍。さんから「苗に自分の名前が書いてて、普段よりワクワク楽しめました!」とコメントがもらえてうれしかったですね。

ラジオ番組に紹介されました!

――農業をやっていて1番うれしかった出来事はありますか?

ラジオ番組に取り上げられたことです。私が農業を始めたての頃に放映スタートしたTBSのラジオ番組にて、農業がテーマの時に応募メールを送ったら、幸運にも採用されたんです!!

――すごいですね!ラジオ番組のどんな企画ですか?

野菜嫌いの名物パーソナリティが「自分が愛でて育てた野菜だったら、食べても美味しく、野菜嫌いを克服できるんじゃないか」という内容でした。そして実際に番組の取材で畑に来ていただき、その様子が放送されました!よりパプリカの甘さを引き出し、野菜の青みを和らげる料理家が監修の野菜嫌いのためのアレンジレシピをご紹介します。

◎野菜嫌いが絶賛!甘さがクセになる「麻婆(まーぼ)パプリカ」レシピ

<材料>2人分(所要時間:15分)
・赤と黄色のパプリカ   2個
・レトルトミートソース 1パック
・豚ひき肉を足す          100g       
・きざみネギ                お好みで
・オイスターソース(※) 大さじ2 

<作り方>
Step1:パプリカの甘みを引き出す
パプリカを縦に四等分してタネなどを取ります。小さい鍋にお湯を張り、ザルにパプリカを乗せて、中火で沸騰させ10分蒸します。

Step2:パプリカの皮を剥く
粗熱を取った後に冷水にさらすとカンタンに皮がむけます。
野菜が苦手な人は、えぐみや生の青みが苦手な方も多いと思いますので、食感的にも舌に残るパプリカの皮を取り除き、旨味と甘みが強い果肉のみを食べれます。

Step3:麻婆ソースを作る
レトルトのミートソースで麻婆ソースを作ります。小鍋にごま油をひき、ひき肉を入れます。パプリカはすでに火が通っているので軽く炒め、そこにレトルトのミートソースを入れます。煮立ったら、隠し味のオイスターソースを加えます。盛り付けにお好みで長ネギのみじん切りを乗せて完成!

※番組では食べるラー油を紹介していましたが、お子さまにも食べやすいオイスターソースに代えてご紹介しました。

地域とつながり「完全循環型農業」を目指す

――農業を超えた地域とのつながりとは、例えばどんなアイディアがありますか?

2つあります。一つ目は「循環型農業」。近所にある「ダチョウ王国」へ虫食いで出荷できないニンジンを持って行き動物のエサにしてもらったところ、従業員の方と顔見知りになり、堆肥(たいひ)をもらいたいというお願いを快諾してくれました。排泄を使った質の良い堆肥で土を作り、パプリカの栽培に役立てたいと思います。上の図のように、動物たちと自然の恵みで流れをぐるぐる循環させて、それを継続することで、地球環境にもやさしい「循環型農業」が実現できます。こうしてビジネスだけではなく、それ以上の関係性が築けたことが、自分でもうれしい発見でした。

そして次に「営農体験」です。たとえば、収穫体験だけではなく、草取りから種まきも含めて、生産が一巡するまでの作業を体験することです。このアイディアは、スーパーで売られている野菜しか見たことがなく、野菜が加工後の形に育つのだと理解している子供の姿をTV番組で見て衝撃を受けたのがきっかけでした。野菜を作る立場の私が、野菜がどのように育ち食卓に届くのかをきちんと伝えなければと思いました。

――これから、5年後、10年後自分はどうなりたいですか。また日本の農業はどうなっていて欲しいですか?

まずは自分に目を向けて考えると、現在の収入では今後家族を養っていくには不十分なので、納得できる水準にできる営農方法を探っていきたい。とはいえ、あくまでも1人で行う小さい農業を続けていきたいので、規模拡大や雇用を作り出すことは目指しません。そこをクリアした段階で、市内の販路の開拓や、前述の営農体験や栽培体験などの交流事業を手掛けたり、地域との関係性を深めていきたいですね。

日本の農業については、5年後、10年後、さらに集約化が進むのではないでしょうか。より多くの人が農業に興味を持ち、愛する農村の風景が維持されるような取り組みがもっと広がっていってほしい。それを叶えるには、自治体や地域とも一緒に、広い視点で進めていく必要があると考えます。

熊岡さんの素顔

――最後に、熊岡さんについて教えて下さい。特技や趣味、ハマっているものは?

中学生の頃からラジオを聴いていて、今でも農作業のお供には欠かせないくらい大好きです。お気に入りの番組や、その日のニュースを聴き流したりしてます。

また、大学時代にクレープ屋や饅頭屋でアルバイトをしたり、和菓子屋に就職するくらいの甘党です。そして両親が酪農をしていて自宅の隣に牛舎があり動物が好きになりました。牛乳は今でも毎日飲んでますよ(笑)。写真はわが家の長女?のねねちゃん(黒猫)です。

――農家になって、家族や周りの声はいかがですか。

おそらく、私が農業を始めて1番よろこんでくれているのは祖母ですね。出荷できない傷物の野菜を近所に配りまくったり、祖母はすごく楽しそうにしてくれてます。同じ敷地内に暮らしているものの、会社へ働きに出ていた時は祖母に会えるのが夕食の時くらいでした。徒歩圏内の自分の土地で農家になりいつでも気軽に家族と会えるので、改めて農家になってよかったなと感じています。

☆現在パプリカのお試し便をやっています。今が旬のパプリカを2kgと3kgから選べます。

編集後記

生業として1人で小さな規模で農業をすることを目指している、熊岡さんのまっすぐな情熱がじわ~っと響いてきて応援したくなりました。自分も家族との時間も、まわりの地域も大事にされていて、身近な人との日々のしあわせを育てていく生き方っていいもんだなと思いました。自分にとって大切なものって、意外と身近にあるのかもしれませんね。取材しながらHappyのヒントもいただけてラッキーです♪ そうそう~、今回の記事の写真のため私も麻婆パプリカを作ってみました!フルーツみたいに甘くてやさしいお味で、野菜嫌いなお子さまを持つお母さんにトライしてもらえたらうれしいです♪(Kika)

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
CATEGORY :農家さん

ライター情報

  • Noumusubi
  • Kika

    農むすび編集部。兵庫県出身。祖母は愛媛のみかん農家。段ボール箱で毎年みかんが届き1日10個以上食べていた。趣味はARTと旅とワイン。金融から農業のメディア編集にチェンジ。農家ってカッコイイ!子供たちが憧れる職業となるよう、農家さんの人生に向き合い、心に響く記事作りを心掛けている。

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